- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061593169
感想・レビュー・書評
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バーネット版と1995年の新版を底本とした新訳。訳注と解題が非常に詳細で、作品としての弁明、クリトンのほか、そこに見出せるソクラテスの生と死、政治との関わり、知る、知らないとは何についてなのかなど、哲学的内容に踏み込んでいます。まさに、「書物を探求する」一書。読んでよかった。
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無知の知ソクラテスの社会契約論。また、自らの善に従うことの追求。前提として、完璧な自律心がない人間には通じない論理だろう。クリトンとのやりとりは、非常に分かりやすく、相手に物事を説明したり説得したりする上で重要な技術がこの問答に詰められている。ツッコミどころはたくさんあり、そりゃ屁理屈だろうと斜めに見なければ、哲学の興味深さや清哲な論理の深さに陶酔できる。
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哲学書というととかくとっつきにくく、非常に有名な本書に対してもなかなか手にする勇気がおきなかったが、いざ読みはじめるとどうしておもしろく、気がつけばソクラテスの思想世界にどっぷりハマっていった。有名な「無智の智」という概念をはじめ、非常に示唆に富んだその内容は、やはり一読する価値があるものであったと思い、まずは読み終えたことを素直に誇りにしたい。ただ、それでもやはり簡単には理解できないもので、死さえも畏れずに受け容れる姿勢、あるいは「悪法もまた法なり」(この言葉は直接登場しないが)として、不当な裁判や法律であっても抵抗せずに受け容れるべきだという考えは、その趣旨はわかるけれども、社会全体というおおきな枠組で考えたときに、それがはたしてほんとうに意味があるのかどうか、ちょっと釈然としない。しかし、死刑制度の存廃など、社会問題を議論するうえでも参考になる考えかたであろう。こういう複雑なイシューを、哲学や宗教の論点からのみ検討することは同様に誤りであろうが、しかしある程度の説得力があることもまた事実であり、一方的に死刑賛成とはいえなくさせるような力はある。とにかく、基本的にはすべてにおいてたいへん素晴らしい内容が語られている。哲学をこれっぽっちもわかった気になんてなっていないが(無智の智w)、それでも雰囲気というか、そういう道徳的な感じはじゅうぶんに堪能したつもりだ。そのエッセンスを身体のなかにわずかでも取り込めたことで、今後生きてゆくうえで活かされる場面がきっと来るだろうと思う。
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ソクラテスの公判記録および刑務所の面会。
ソクラテス四大福音書のうちの二つらしい。
ベンジャミン・フランクリンは十三徳の謙譲の項目で、
「イエスおよびソクラテスを見習うべし」としていた。
イエス・キリストの態度は謙譲そのものだったが、
私は正しい人間です!間違っているのはこいつです!
と主張するソクラテスの姿はこれが謙譲か?と思った。
だが、読み進めるうちに弁舌を行なうソクラテスの姿が、
ゴルゴダの丘を登るイエス・キリストと被った。
裁判で情に訴えるという方法を取らずに自らの立場を説明し、
獄中では、彼を助けるために脱獄を勧めに来た親友に対し、
国が判断したのだから死ぬことが正しいと主張するソクラテス。
キリストもソクラテスも人々によって無実の罪で裁かれたが、
彼等の生き方は書物として残り、後世の我々が模範とする正義となった。
なるほど、これが「善く生きる」ということなのかも知れない。
2017/6/18追記
何とも感傷的で取り留めの無い文章を書いてしまったが、
キリストの謙譲とは善行をしているからと言って高ぶらないこと。
ソクラテスの謙譲とは自分は何も知らないという事実を認めることである。 -
表題のプラトン版『ソクラテスの弁明』『クリトン』のほか、クセノポン版の『ソクラテスの弁明』も当書に含まれています。
久保訳はもちろんのこと、当書より後に出版された納富訳と比べても、単純な注釈の数だけでも、また注釈の内容の充実も当書の方が上回っているので、『弁明』『クリトン』を本格的に読みたいという方は、当書がその入り口となるのではないでしょうか。 -
文字も大きくて、読みやすい「ソクラテスの弁明」
最近ふと読み返して見たところ、何度読んでも新しい魅力の発見があり、
もう一度、平明であって、深い問いかけに自分を見つめなおされる。
「善く生きる」ということは果たして何でしょうか。
ソクラテスは、今ここに生きている私たちに問いかけてきているのではないでしょうか? -
問答の方法が学べる本。
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クリトンの友情とソクラテスの信条に涙する「クリトン」<BR>
「ソクラテスの弁明」は現代語訳がたいへん読みやすかったです -
訳がいい。「考えることのない人生は人間にとって生きるに値しない」という有名な一言。
ソクラテスは社会を生きていなかったことが如実に伝わってくる。