- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061827059
感想・レビュー・書評
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表題作「リベルタスの寓話」に、「クロアチア人の手」が挿入された、御手洗作品。共に中編。2つとも御手洗不在の石岡氏のもとに連絡が入り、連絡を取った御手洗が全ての謎を解き明かす。
「リベルタスの寓話」
ボスニアで怪事件が発生する。
その事件とは、男性器が切断された4つの死体のうち、3つの死体は頭部が切断され、さらに内1つの死体は胴体を縦一直線に切開され、内臓が全て取り出され、代わりに携帯電話や電球等の各臓器の形状に似た物が詰め込まれていたのだった。
そして作中語られる寓話。雑多な人種の集合体であったクロアチアで、総督の選挙で使われた「リベルタス」という子供が中に入るブリキの着ぐるみがあったこと。そして物語の最後には、神の奇跡なのか、人間の臓器に似た物品と少年の心臓をリベルタスに突っ込んだことにより、リベルタスが動き出し、オスマン帝国による侵略から民を救ったことが語られていた。
果たしてボスニアで起きた事件は寓話を元にした見立て殺人なのか?犯人の真の動機とは?
「クロアチア人の手」
芭蕉記念会館で発生したクロアチア人の密室殺人事件。
俳句の国際コンクールで優秀賞を取った2人のクロアチア人を日本が招待し、芭蕉記念会館に宿泊させたのだが、一人は扉は鉄扉で閉ざされた密室で、ピラニアがいる水槽に浸かった状態で溺死体として発見され、もう一人は、会館前の道で車に跳ねられ爆死したという。
しかも密室で殺されたクロアチア人の右手は、ピラニアに食べられてしまったのか、肘から先がなくなっていて・・・。
作者のあとがきで2つの作品が補完された感じ。特に「リベルタスの寓話」の設定が何か微妙だったので、読んで納得。
「クロアチア人の手」のトリックはちょっと強引だと思ったけど、まぁ中編だからいいかって感じで。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とっくに読み終わっている。
御手洗くんの新作、安価な講談社ノベルズで読みたいなぁ
。
愛蔵版なんて、ガラじゃないでしょーに -
表題作と「クロアチア人の手」の中編2作。
御手洗さんは遠く外国からヒントをくれて、石岡くんががんばる回。 -
「自由」「手」「戦争」。トリックが強引すぎるような。御手洗、石岡くんに冷たすぎる。
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御手洗が最後の方だけ活躍する感じ。
ストーリー、トリックともに、なんか現実味がなかった。
私には合わず、でも島田氏の文章はとても読みやすい。 -
久しぶりに読んだ御手洗シリーズ。中編2本立て。
「リベルタスの寓話」
寓話のラストは想像通り。
血液型についても想像通りだったので、謎ときとしては古典的。むしろ、背景の描写に力がこもっていると感じました。戦争とか、民族紛争とかニュースでは聞くけれど、本当に現代にこんなことが起きているのか、と思います。
「クロアチア人の手」
現代的なトリックといえばそうなのかもしれませんが、古典的なパズルゲームが好みなので微妙…。密室以外はよかったと思います。
ただ、高校からの親友に殺意を抱かせたのは、やはり戦争が原因だということを思うと、暗欝たる気持ちになります。 -
2010/05/04 読了。
著者プロフィール
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