- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061828735
作品紹介・あらすじ
信州の名家、新羽家の先代、堂市が変死。東京から葬儀に訪れた孫の医師、桂木優二は、自殺と判断されたその死に、不審感を抱く。葬儀の直後、遠縁の画家、滝見伸彦が転落死。さらに新羽家当主の妻、佳織が失踪する。生前の滝見が白昼夢のように見ていた「妖精」に、連続する事件解決の鍵があると考えた桂木は、米国ボストンに暮らす心理学者のトーマ・セラに、調査への協力を依頼する。トーマは「妖精」の真実に辿り着けるのか!?-。
感想・レビュー・書評
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山間の町、古くから鷺沼で製材業を営む新羽家の先代、新羽堂市が、療養していた自宅で死去。司法からは自殺と判断された堂市の死因に、新羽家に訪れた親戚の医師、桂木雄二は疑念を抱く。不穏な空気が新羽家に渦巻く中、こんどは新羽家の当主に嫁いだ佳織が失踪、そして佳織の妹の夫、滝見が死亡する。桂木は、アメリカに暮らす研究者トーマ・セラに事態の真相究明を依頼する。
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最初のうちは面白く読んでいたが、謎解き部分にきたらなんだか難しく…登場人物も個性がわからなくなっていった…
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妖精のイメージは羽をつけ、空を飛び交うロマンチックな生き物というヴィクトリアン調のイメージが根強いけど、アイルランドの妖精は老人妖精で三角帽を被り髭をこさえているというレプラホーンが主流だ。でもその際、リトルピープルで執念深く、悪戯好きでどこか悍ましいイメージ。忘れられた古代の神々が事件に介在するとき、ミステリの深層を抉りだす。
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旧家を襲う連続変死事件と男が見た「妖精」の正体。前時代的な王道ミステリに最新の脳科学的なアプローチをミックスし、デビュー2作目にして既に、その作風と作家としての方向性を確立しています。殺人事件そのものだけでなく、複数のシチュエーションから「妖精」を見るための条件を炙り出すミッシングリンクものとしての側面も強いですが、肝心のフーダニットとハウダニットについては偶然成り立ってしまっただけの感が強く、あまり褒められません。ただし、ドラマ部分への“謎”の噛ませ方、〆め方は文句なしに上手かったです。
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参考書籍の数が凄まじいミステリ。
脳関係だとこのくらいは必要になってくるのでしょうかね?
面白いか面白くないかでいうとどちらでもないというか、感想としてはむしろ興味深い。
手放しで面白いとは言えないが、つまらないとは言えないくらいな感じ。
あまりミステリ的な謎解きとしては興味がわかないという。 -
信州の山林地主の先代・新羽堂市が変死した。
東京から葬儀に訪れた孫の医師・桂木優二は自殺と判断されたその死に不審感を抱く。
そして葬儀の直後、遠縁の画家・滝見伸彦が転落死。
生前、滝見が白昼夢のように見ていた「妖精」に、連続する事件解決の鍵があると考えた桂木は、米国ボストンに暮らす心理学者のトーマ・セラに調査への協力を依頼する。
第一回福ミス受賞者、松本さんの第2作目。
ざっと4年ぶりですか。
それだけの時間がかかっていそうな、凝った作品でした。
だけどちょっと合わなかったかなぁ~。
滝見が初めて妖精を見たという、マサチューセッツでのプロローグから一転、閉鎖的な田舎の人間関係が思いやられる本編へ。
その導入部のあたりはワクワクしていたのですが、ボストンでのトーマの調査状況が入るようになってからは中だるみ。
日本とボストン交互に話が進むため、日本編でノってきたと思ったらボストン編で失速という。
どうにもテンポよく読み進められず、非常に時間のかかったイライラが募る読書でした。
あと女性が多すぎたので、ちょっと混乱。それもイライラの原因の一つ。
トーマと桂木の調査が一つになってからはサクサク進み、トーマの導き出した答えは非常に興味深く読みました。
想像するしかできないけれど、こういう症状の出る人はとても生き辛いだろうなぁ。
特に子供であったなら、いろんなレッテル貼られちゃうよね。母親も一緒に。。。
エピローグも余韻が残ってよかったです。
だけどその科学的解明と事件の真相が乖離している印象。
最期までボストンと日本という、科学と横溝的世界がうまく融合されてないというか。
動機部分はけっこうなサプライズであったのに、イマイチ感で残念な印象になってしまいました。 -
妖精が出現する幻想的な光景や、その科学的・論理的解明と、まさに島田荘司が提唱する『21世紀本格』。異形の論理に基づく毒殺トリックや旧家に隠された秘密など、全ての謎が複雑に結びついた緻密な構成も見事。
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2013/03/20読了