コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061831599

感想・レビュー・書評

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  • 刊行から数年程度で購入していたが、結局随分経って先日読み始め読了。
    コインロッカーに捨てられた少年二人の辿る数奇な運命を描く作品。
    奥付が1984年だから読み終えるのにいちおう40年は経っていないな(苦笑)。
    ということで、ちょっと時代のモードのずれみたいなものはある。
    例えば音楽業界のビジネスの在り様など、戦後の影を引きずっている要素があり、昭和な作品なのだなと感じられる。
    ただし、この小説は完全な現代小説ではなく、当時から見ての近未来が舞台となっていて、そうした異化作用のため、全体としては時代の落差を感じる部分は細部にとどまる。
    それからこの作品は、社会全体をシミュレーションするような視点が中心になるSFというわけではない。
    近未来を舞台にしているのは、少し違った(当時の)現代日本を作品世界の背景にすることにより想像力を膨らませることが目的で、あくまでも同時代の現代社会を描く作品だ。
    そういう意味では、暴力と人間、文明の発達による変質する人間といったテーマを持つ、J.G.バラード後期の長編群(『コカイン・ナイト』以降)と共通する部分が感じられる。
    洗脳、テロリズムといった切り口も有しており、先駆性という意味でもバラードと相通ずるのではないだろうか。
    しかし全体のトーンはバラードと異なり、寓話性が強く、より物語性とパッションが前面に出ている。
    展開も起伏に富んで、次々に思いもかけないことがおこる小説でもある。
    必ずしも端正な小説ではなく、暴力的な描写が多いことを除いても、多様なエピソードに多くの個性的な登場人物がからむ、どことなくゴツゴツした手触り作品である。いまだに多くの支持を集めるのはそうした多面的な顔を持つこと、暴力的な面を多く含むが寓話的で非日常的なタイプの作品であることが要因の一部だろう。

  • 村上龍さん、天才。

  • ハシの頭がだんだんと狂っていくのが悲しかった。
    幸せになっておわってほしかった。
    とりあえず難しかった。私にはまだ早かったかな

  • コインロッカーを胎内としてこの世に生を受けたキクとハシ。巨大な鰐を飼う美少女アネモネ。謎を求めて舞台は南海の暗い海底に移る。破壊の意志を持つというダチュラの凶々しき響き。果してダチュラとは何か?そして、巨大な暗黒のエネルギーがもたらすものは?現代文学の記念碑的作品の鮮烈な終章。

  • 上巻のファンタジー要素は薄まっていたけど、キクのターンはエンタメとして面白いし、ハシのターンはエグくてグロくて、村上龍は同じテーマで書きたいことと読者に寄せたことと、2つを合わせたら相乗効果で更に面白くなると思って書いたんじゃないかと思えた。

    ギリギリのエンタメ性を孕んだ作品

  • 第3回野間文芸新人賞
    著者:村上龍(1952-、佐世保市、小説家)

  • 2019.08.30 読了。

    読み終わった。
    最後、ドタバタとして結局ダチュラどうなった?なんか細菌兵器と化したのかこれ。
    この続きはバイオハザードなのか?

    読書芸人の第一弾だっけ、で又吉さんが推薦していて、他の出演者の方も面白いって言っていた記憶がある。
    んで、10代・20代におすすめ、みたいに言っていたと思う。
    だから青春小説?と思って読んでいたんだけれども、全然違う方向性で驚いた。
    あくまでも上巻のみだと、割と青春感もあってまだ許せる。
    だけどこの下巻。
    めちゃくちゃ。

    正直、上巻のみでスパッと終わった方が個人的には良いと思う。
    ハシのパートが読んでいてすごくしんどい。
    それと歌のセンス半端ないのが非現実的過ぎてハマれなかった。

    上巻は本当に面白かったんだけどなー。
    惜しい作品。


  • あぁ、やっと終わった。
    やっと抜け出せた。

    疲れた。
    ベッドが柔らかくて
    そのままずぅっと沈んでいく。

    死んでるのか、生きてるのかも
    わからない。

    探す。音を。景色を。未来を。

    満員電車の席取り合戦。
    屍も時間も全て踏み潰して。

    キク、ハシ。

  • 生きるための破壊。
    破壊のための創造のようなものを感じた。

  • コインロッカー・ベイビーズ (下)

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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