- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061840362
作品紹介・あらすじ
どんなことでもツー、カーでわかってしまう"特殊な関係"の"あたし"こと真美と祥子。けれど、そんなあたしたちの間にも、誰も知らない"悩み"がいっぱい!ふたりをからめている不思議な糸の正体って、一体なんだろう?-現代のファンタジストが描く、若い女性の奇妙な愛と夢の長編青春物語。
感想・レビュー・書評
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人の心が読めちゃって悲しいやつどれだっけ?って思ってたらこれだった。
ここら辺から素子さん、暗い感じの作品が続くんだよね。うーん詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
帰省中に再読。タイトルの由来になったピンクフロイドの名曲「Wish You Were Here(https://www.youtube.com/watch?v=IXdNnw99-Ic)」の英詩が冒頭に掲げられている。超能力者が登場するからSFではあるのだけど、それよりもむしろ心理の掘り下げが凄いのでサイコサスペンス、あるいはもういっそ純文学的な読み方をしたほうがしっくりくるかも(文体はあれだけど)個人的には私の読んだ新井素子の作品中では最高傑作だと思っている。
それぞれ複雑な生い立ちながら、幼馴染で親友で一緒に上京した真実と祥子。東大にあっさり合格するほどの頭脳を持ちながらも世間的な常識はなく人見知りで内向的な祥子の面倒を、しっかり者の真実がサポートしてきた。しかも祥子はコントロールできないながら念動力のある超能力者。しかし綾子という美貌のカウンセラーに出逢ってから、祥子が変調を来たし・・・。
作中で真実と祥子の関係性は疑似母子、共生、などの言葉で分析されているが、今ならざっくり共依存に分類されるかもしれない。世間知らずの祥子の世話を焼くことで、この子には私がいなくては、私が面倒みてあげなきゃ何もできない、と考える保護者役の真実は、実際にはそういう祥子に必要とされる自分、が好きなだけであり、必要とされていたいあまり祥子を束縛していることに気づかない。一見、歪んだ友情の話ではあるけれど、その根っこには祥子、真実どちらも家族に愛されなかった経験が大きなトラウマになっており、最近だと毒親、面前DVなんて言葉もできて、子供が親の影響で心に傷を負う様々な要因も一般に知られているけれど、当時20代の新井素子がこれを書けたのは本当にすごいなと思う。
一方で、カウンセラーの綾子は生まれながらの強力なテレパシー能力があり、他人の思考が流れ込んでくるのを防御できない。あまりにも過酷なその半生には、心底ぞっとした。新井素子の文体だから読めたけど、これもっとハードボイルドな男性作家が同じこと書いたらとてもえげつなくて女性は読めないだろう。人間の内面の闇に気づかされる。名作。 -
THE 新井素子、少女漫画展開というか恋愛要素消したらもっといいものが出来上がると思う、文体最高に気持ちが良い
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たぶん25年ぶりくらいに読み返した。
テレパスと、共振関係にあるサイコキネシスの女性二人のお話。
歪んでいる心理描写に
ちょっとホラーのような怖さもあって。
最後が救いがあって
ホッとした -
これも高校生の時以来30年ぶりに読んだのだけど、今の方が響く、というか今の時代の家族関係にも十分当てはまると思った。そして今の流行女性作家で新井さんの影響を受けている人が何人もいると思わされた。
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昔読んだ本の読み直し。
読んでみるとほとんど内容を覚えてなかった。
でも、その分とても楽しく読んだのだけど、しばらく経つとまた内容を忘れかけている(笑)
共生依存している女の子二人と、そこを取り巻く物語。
以下、防備録。
幼なじみの2人。
家庭環境にそれぞれが心の闇をかかえ
二人で支えあって生きてきた。そこに、もう一人の超能力女子登場で、ふたりの関係が崩れ始める。心が読めてしまう彼女は最後、秋芳洞のあたりの何処かの小さな洞窟で幼馴染み二人の力によって、精神を壊しリセットされた状態になる。幼馴染みのうちひとりは姿を消し、後に問題のあった実家で新たに力強く暮らしていた。主人公も、問題の実家に戻るが、そこには以前と違った家族のかたちがあった。そして、心が幼子になった件の女性とその従兄弟と暮し、結婚することになりました。というお話。 -
お酒のおつまみは塩。
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やっぱり少女チックな物語でした。絶えず、頭の中で思考を巡らせているんじゃないかと思うほどの状況表現。依存と自立、もう一人の自分って、一度は考えてしまうようなテーマ。ちょっとくど過ぎるのが多摩に傷かな。思考ドロドロ系にはお薦め。
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ラノベのパイオニア、
新井素子さんをはじめて読みました。
うーん
言葉づかいが独特。
とくに、~が。とか、~で。とかいう文章が多くて、
改行も細かくて、
でも読みやすかったです。
全体的に、
明石路代さんの漫画のような雰囲気でした。 -
・私の感情は、人を愛した時にしか、動かないんだから。
・この世を生き抜く、ということは、地獄を生き抜く、ということだわ。あまりにひどい呪いは、価値体系の逆転を引き起こすのよ。
・人間って、器用な生き物で、ある程度以上の強烈な記憶は、忘れてしまえるのよ。そうしなければ、生きてゆけないから。
・世の中で、一体何が愛情で、一体どれが憎しみなのか、もうすでにあたしには判らないように・・・。