異邦の騎士 (講談社文庫 し 26-6)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061850446

作品紹介・あらすじ

失われた過去の記憶が浮かび上がるにつれ、男はその断片的"事実"に戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺した男なのか?そしていま若い女との幸せな生活にしのび寄る新たな魔手。記憶喪失の男を翻弄する怪事の背景は?蟻地獄にも似た罠から男は逃げられるか?希代の名探偵・御手洗潔の最初の事件。

感想・レビュー・書評

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  • 壮絶な物語でした。
    途中から止まらなくなり、夜更かしして一気に読みました。
    本格ミステリとは毛色が違いますが、御手洗潔シリーズとしては外せない一冊です。
    ぜひ、シリーズ順に読み進めていただきたいです。

  • ラストは涙をこらえるのが大変でした!
    バイクに跨りあらわれた名探偵は忘れません!

  • 彼が石岡さんだとは、中学生の僕は考えも及ばなかった。全ての始まりの物語。

  • 中学1・2年生の頃から名前だけは知っていた島田荘司の小説を初めて読んだ。伊坂幸太郎の作風が島田荘司に似ていると言われているが、その理由は最後までわからなかった。

    読みやすいため、ミステリーとしてのストーリー進行がスルスルと頭の中に入ってきた。
    過去に妻と娘が殺されたとわかってからの疾走感が肌に合い、一気に最後まで読んだ。

    ミステリー以外に恋愛要素があったのが良かった。最後の良子からの手紙のおかげで、一緒に20歳の誕生日を祝った彼女との思い出が蘇り感傷的な気分になった。

  • 記憶を失った男がある女性と出逢い暮らし始める。
    失われた過去に怯えながらもその過去と向き合った時に想像を越えた試練が男を待ち受ける。
    そんな切羽詰まった男と御手洗とのやり取りが面白かった。
    所々に散りばめられた伏線。きっと良子にも何か隠されてるんだと予想出来た。
    中盤から読み進める手が止まらなかった。
    このままでは終わらないとは思ったけど、なかなかのどんでん返し。
    そして男があの人だったこと!!そう繋がるのかー!!と驚愕でした。
    作中の音楽を聴きながら読みましたが、ロマンの騎士がお洒落でかっこよく、素敵な音楽を知るきっかけにもなってくれました。
    そして御手洗はやっぱりカッコイイ!!

  • 刊行は4番目ですが、御手洗潔の最初の事件。
    なんとも悲しい話。

  • はるか昔に一度読んだことがあるんだけど、これが初めて読んだ御手洗シリーズだった。
    読み終わって、これは最初に読んだらあかんやつやん!て思ったことだけ覚えてて内容一切覚えてなかったので久しぶりに読んでみた。
    いややっぱりオチ知って読むもんじゃないな。

  • うーん、合わない気がする。
    御手洗以外の登場人物に魅力が無い。トリックが分かった後のスッキリ感も無かった。

  • 悲しい結末だったが、主人公が記憶が戻って救われたと思ったので、読んでる方も救われた。

  • 今まで焦らすように引っ張ってきたが、本書が私を島田信奉者にした作品である。そしてこの作品は私の読書人生の中で未だに永遠のベストとして燦然と輝いている。
    私が読んだのはハードカバー版で、確か講談社の何十周年かの記念書き下ろしシリーズの1冊として刊行されたらしく、えらく豪奢な装丁だったのを覚えている。
    特に西洋画で描かれた馬上の騎士の表紙絵が飛び出してきそうなほど迫力があり、果たしてどんな物語かと胸躍らせた。

    しかしこの表紙とは全然無関係の話が展開される。物語の舞台は騎士が出てくるような西洋の街やお城ではなく、関東の公園で記憶喪失の主人公が目が覚めるところから始まる。その後彼は周辺を彷徨い、紆余曲折を経て知り合った石川良子という女性と同居するようになる。そしてこの2人の生活が語られるのだが、これが実に私の心をくすぐった。当時学生だった私にとって彼らの年齢が近いこともあり、そう遠くない将来の生活のように見えたからだ。そしてこの2人の生活は貧しいけれど小さな幸せというありきたりなモチーフながら、私の願望を具現化したような形だった。

    そして、物語は意外な方向に進む。それは・・・いや詳細を語るのは止めておこう。思いの強さゆえ、微に入り細を穿つように述べてしまいそうで、これから読む方々の興を殺ぎそうだから。ただ颯爽と現れる御手洗の姿にはきっと快哉を挙げるだろう。これは今でも私には全てのミステリの中でも最高のシーンである。そしてなによりも謎解きを主体としたミステリでこれほど胸を打ち、感動するとは思いもよらなかった。本作で御手洗ファンとなった女性が増えたように、私もこれで御手洗、いや島田ファンになり、こんなミステリを書く人はきっと素晴らしい人に違いないと信奉するまでに至った。これは今でも同じだ。

    ただ惜しむらくは「何か面白いミステリない?」と訊かれたときに、本書をお勧めできないことだ。既読の方はご存知のようにこの作品を存分に楽しむにはシリーズに関する予備知識が必要で、この本の前にせめて2作は御手洗シリーズを読まなければならない。
    だから私はよく「島田荘司の御手洗シリーズがお勧めです。『占星術殺人事件』、『斜め屋敷の犯罪』、(『御手洗潔の挨拶』、)『異邦の騎士』をとりあえず読んでみて下さい。これが刊行順で、ぜひともこの順番で読むことをお勧めします」という風に勧めている。『占星術~』が面白いこともあって、幸いにしてこの勧め方で感謝される事が多くなった。今はそうでもないが、かつては多くの島田信者を作ることが私の悦びでもあったようなふしがある。

    本書で教えてくれたのは人を愛することの温かさ、苦しい時にこそ助けてくれる友人を持つことが人間にとってかけがえのない宝石だということだ。それを教えてくれた島田荘司こそ、私にとって異邦の騎士その人だと思うのである。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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