- Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061965140
作品紹介・あらすじ
野に伏す獣の野性をもって孤剣をみがいた武蔵が、剣の精進、魂の求道を通して、鏡のように澄明な境地へ達する道程を描く、畢生(ひつせい)の代表作。若い功名心に燃えて関ヶ原の合戦にのぞんだ武蔵(たけぞう)と又八は、敗軍の兵として落ちのびる途中、お甲・朱実母子の世話になる。それから1年、又八の母お杉と許嫁(いいなずけ)のお通が、2人の安否を気づかっている作州宮本村へ、武蔵は1人で帰ってきた。
感想・レビュー・書評
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読ませる〜!
朝日新聞に連載された当時、尽きないおもしろさに購読者はみなひっぱられただろう。
言葉が金錦。
滋味掬すべき作品、とはこのこと。
山々が迫ってくる。人々は生に懸命だ。
しかし歴史は美化されるのが常。
武士はほぼ、今でいう半グレ集団。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦前の小説とは思えない読みやすさ
まったく古さを感じない
バガボンドのイメージにどうしても引っ張られる -
宮本武蔵の名前を聞いたことがあったが、どんな人物かよく知りたいと思い読んでみた。
又八と共に関ヶ原の戦いに参戦するところから物語は始まる。宮本武蔵は強いが心のない野獣のようであり故郷では嫌われ者。しかし、沢庵坊の図らいで姫路城に3年間幽閉される間にあらゆる書物を読み、生まれ変わる。そして武者修行、人間修行が始まる。
武蔵の兵法鍛錬に向かう情熱と厳しさに恐れ入る。この青年が、どんな大人に成長していくのか見届けたいと思う。 -
子難しくなくて解りやすいので、どんどん読めます。
獣のような武蔵(たけぞう)から、三年後には宮本武蔵に改め、知性や礼儀を身につけた武蔵は結構色っぽくも映ります。
現実には無い表現もすこーしあって、それが比喩であれど「燃える」武蔵を表現するにはぴったりだったりもします。
とある漫画で宮本武蔵が気になったので、オトナ買いしましたが、手に取って良かったです。 -
新免武蔵は本位田又八とともに、武士として名をあげることを夢見て、故郷の宮本村を飛び出したものの、関ケ原の合戦で落ち武者となり、お甲と朱実の母娘を頼ります。二人は、野武士の辻風典馬の襲撃からお甲と朱実を守りますが、お甲の色香に迷った又八は彼女たちとともに暮らすことをえらび、武蔵は一人で宮本村へと帰ります。
ところが、又八の母親のお杉は、武蔵が息子をそそのかして道を誤らせたと信じ込んで逆恨みし、武蔵を捕らえようとします。山に身をかくしていた武蔵は、宗彭沢庵の説得におうじて山を下りますが、沢庵は彼を千年杉に吊るし、おのれの未熟さに目を向けるように説きます。しかし、武蔵の身を案じるお通が彼を逃がすことに協力し、武蔵はふたたび村を出て、剣客として生きる道をふたたび歩み出します。
武蔵の人間としての成長をえがいている部分では、大時代的な教養主義の印象が濃厚で時代を感じさせますが、ストーリー展開がスピーディで現代でもエンターテインメント作品としてじゅうぶんにたのしめる内容だと思います。 -
宮本武蔵(1~8)
著:吉川英治
物語は天下分け目の大合戦「関ケ原の戦い」から始まる。
悪鬼である新免武蔵とその幼馴染本位伝又八はその負け戦から必死に這い上がろうとする。
天下無双を目指し、共に歩を歩む二人、そして違えてそしてまた交差して、武蔵を中心とした大きなうねりが記されている。
本格的に初めて読んだ時代小説。読みにくさは感じず、血沸き肉躍る感覚がストレート伝わる表現力の高さに冒頭は圧倒された。戦いの描写のみならず、心の内面と成長を描く英雄者という括りには収まらず、当時の日本国の暮らしぶりや文化や息遣いまで触れることが出来る。
多くの著名人が愛読書として挙げる本書。ある人曰く「5回読んで初めて分かり始める。」
深い言葉ではあるものの読んだ今ならその意味はわかる。
5回連続読むものではなく、人生の局面で教えを乞うような触れ方が良いのかもしれない。
大和魂の塊のような武蔵の生き様に誰しもが惹かれ、憧れ、真似していくのは時代が変わっても残り続けるのかもしれない。 -
映画化・ドラマ化・舞台化・漫画化など、様々な形で紹介されることの多い人気歴史小説の第一巻。有名どころの決闘シーンはまだひとつも出ておらず、まだまだこれからという感じ。史実と違う描写はとても多いが、それを気にしなければ、初版から半世紀以上経った今でも冒険活劇として楽しく読めると思う。
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面白い。バガボンドを先に読み、後からこの小説を読んでる。
頭に漫画の絵が浮かび上がる -
私の中学生時分に宮本武蔵ブームがあって、マンガや大河ドラマなど、なんせ武蔵を目にすることが多かった。
そのマンガ『バガボンド』の原作ということで手を出した。
全8巻もある活字の本を読んだことのなかった自分にはちんぷんかんぷんであった。
それから15年ほど過ぎて、現在、武蔵の生まれ故郷とされている作州に住んでいることから、改めて読み返すことにした。
15年で多少は読解の力がついていたのであろう、驚くほどさらさら読める。
今になって読んでみると、武蔵の覇道よりも、又八がどう生きていくのかの方に関心が向かっている。
2巻以降もぼちぼち読んでいく。