覗くひと (講談社文芸文庫)

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本棚登録 : 112
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061976559

作品紹介・あらすじ

時計の行商をするために生まれ育った離島にやってきたマチアスは、直前ヴィオレットという若い女性を殺していた-外界とマチアスの意識との有機的な関係を、事物そのものに迫る数学的にまで昇華された文体で描くことによって、青年の荒廃した深層心理をうかび上らせたヌーヴォー・ロマンの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 腕時計のセールスマンであるマチアスは、不景気のため郷里の島で腕時計を売りさばこうと船で帰郷する。昔の友人などを頼りに腕時計を売りさばこうと慌ただしく島をめぐり行商するマチアス。時計は思うほど売れないまま帰りの船の時刻が近づくが、彼の行商中から行方不明になっていた、ある未亡人の末娘で悪い噂の絶えない13才の少女ジャクリーヌが遺体で発見され・・・。

    『迷路の中で』で免疫があったので独特の行ったり戻ったりする文章にはなんとか馴染んだけれど、やっぱり難解だし油断するとどこまで読んだからわからなくなりそうで困った。異常に細かい細部の描写や、時折フラッシュバックのように差し込まれるヴィオレットという少女のイメージ、不安定な時間の流れ、唐突な場面転換、想像と現実の境界の曖昧さは、ある意味映画的で、ロブグリエの脳内映像を文章化するとこうなってしまうものなのかもしれない。

    さらにマチアス自身が一種の信用できない語り手で、ヴィオレットとは誰なのか、時折フラッシュバックする虐げられている少女のイメージ、いつのまにか無くなっている紐、どこかで吸った煙草の吸殻、捨てたボンボンの包み紙、そしてアリバイ作りに躍起になり証拠品を隠滅しようとするが、決定的な場面は描かれていない。

    ロリコンの連続殺人鬼がセールスマンのふりをして訪れた田舎で仕事の合間にちょちょいと少女を殺して逃げ切る、もしかしたらそれだけの筋書きなのだけど、文体、描き方、カメラワーク、視点の切り取り方などで、こんな風にも仕上るんだよという、表現手腕=料理の仕方次第でモチーフ=素材がわからなくなる芸術的お手本のような小説だった。

  • 時計の行商をするために生まれ育った離島にやってきたマチアス。しかし時計は思うようには売れない。帰りの船にも乗り遅れてしまい、数日その島に滞在する。マチアスはその離島で幼い少女を殺害したような流れになっており、物語の後半はその行為が島民に発覚していないか、気にする様子が書かれる。…とはいえマチアスの幻覚が混じるので自分には難解だった。

  • こちらも取り敢えず……という感じで確保したのだが、映画公開帯になっていた。河出文庫の方は解らないが、講談社文芸文庫から出ている2冊は恐らく配本がありそうだw
    あらすじだけを追うとけっこう単純だが、一筋縄ではいかない。現実感の無さというか、実はもっと何か隠れているのでは……という疑心暗鬼を生じさせるテクストというのは余り多くない。好きだなぁこれ。

  • 冒頭からすさまじい衝撃。
    体調が悪かったのも相俟って、はじめて挫折した作品。

  • 自分の立ち位置の不安定さ。

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