国境の南、太陽の西

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062060813

感想・レビュー・書評

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  • 2017/02/06 読了

  • あらすじ[編集]
    バブル絶頂期(1988年 - 1989年頃)の東京が主な舞台となっている。小説の前半3分の1ほどは、主人公が会社を辞めバーを開店するまでの半生が描かれている。
    「僕」は一人っ子という育ちに不完全な人間という自覚を持ちながら、成長と共にそれを克服しようとする。義父の出資で開いた「ジャズを流す、上品なバー」(文庫版、95頁)が成功し、二人の子供を授かり、裕福で安定した生活を手にするが、これはなんだか僕の人生じゃないみたいだなと思う。そんなとき、小学校の同級生だった島本さんが店に現れる。
    登場人物[編集]
    始(ハジメ)=僕
    1951年1月4日生まれ。一人っ子。大都市郊外(近畿地方と思われる)の中産階級の住宅地から大学入学を期に東京に移る。教科書出版社を退職後、港区青山にジャズバー「ロビンズ・ネスト」を開業。バーを2軒経営する。
    島本さん
    小学校5年生の終わりごろ、「僕」の学校に転校してきた同級生。一人っ子。生まれてすぐに患った小児麻痺のせいで左脚を軽くひきずっている。「僕」とは別の中学校に進学する。
    有紀子
    「僕」の妻。5歳年下。教科書出版社勤務時代の夏休みの旅行の時に出会う。「僕」との間に二人の娘をもうける。
    有紀子の父
    中堅の建設会社の社長。子供が3人いる(兄、有紀子、妹)。「正規の教育はほとんど受けていなかったけれど、仕事に関してはやり手だった」と「僕」は記している。
    大原イズミ
    「僕」の高校生時代の恋人。父親は日本共産党員の歯科医師で、3人兄弟の長女、妹、弟がいる。「僕」がイズミの従姉と関係をもったため深く傷つき、「僕」と別れる。
    大原イズミの従姉
    京都在住。「僕」の2歳年上。「僕」が高校3年の時に出会い、関係をもつ。

  • なんとなく再読(多分4回目)で初の感想。
    男が浮気ではなく本気になっていく様子が愚かしく悲しく虚しい。運命的な再会を前にした時の無力感やら絶望感もよく表れている。
    建設会社の社長がいかにも土建屋らしく前面に押し出てくる動的な印象に対して、他の登場人物が全て一歩引いた感じで静的だった。それと島本さん、もしかするとこの人は初め(12歳時点ではなく店に現れた時)からこの世に存在してなかったのではないかなと思った。雨の夜がお好きみたいだし。
    これを読んで今度はスプートニクの恋人を再読したくなった。

  • 何というか、他人事とは思えない物語。読み始めて数ページでそう思ったけれど、ずっとその気持ちは続いていて、ラストで最高潮に達し、ラスト一行まで続いた。思い切り感情移入し、先を読む手が震えるような気がした。

    もちろん、主人公と僕は違う人間だし、個々のディテールにおいて同じであることは、当然ながらあり得ない。僕は彼のような人生を送っていない。しかし、彼の持つ人生への違和感と、自分自身への不快感は、ディテールを超えて僕に響いてくる。だから思うのだ。「これは僕自身の物語だ」と。

    没入しながらも、語り手と主人公の間にかすかな揺らぎがあって(語っている「僕」は、いつの「僕」なんだ?)、それが時々違和感となる。まあ、僕の読みが甘いのだろうけど。それもこれも、まるで自分自身の物語として、僕自身が読んでしまったからかもしれない。

  • 12歳の頃に惹かれあっていたハジメと島本さん。
    20年以上が過ぎ、2人は再会してしまう。

    妻子があるにも関わらず、ハジメは島本さんのこと以外考えられなくなり、島本さんと一緒になろうと決意するが、島本さんが何も言わず居なくなってしまった。

  • ずっと拒否してきた作家さんでしたが、図書館のおすすめコーナーに置いてあったので、なんとなく借りてきて半日で読んでしまいました。
    今まで感覚的な作家んで合わないと思っていたのですが、やっと分かるようになってきたみたいです。言葉の、やり取りだけで話を進めてゆく小説ではない感覚で読者に語りかけてゆく感じが、ひょっとしたらこの人らしいのかな?と思ったり

    なんか気に入ったので、他の作品も次に読んでみようと思う。

  • 読みながら、村上春樹は表現したいことを書いているのか、こう読んでほしいと思うままに書いているのかどちらなのか分からなくなった。でも、個人的には後者のような気がする。読み方はあなたに任せますよ、ご自由に解釈なさい、なんて生易しい作品じゃなくて、病的なまでの倒錯した愛情を生々しいままに読みなさい、その狂おしさと儚さを存分に味わいなさい、ってガツーンと提示されたような印象です。読ませ方を熟知してるのかな。細かいところ突っ込んだらキリがないけど、彼女を片足不自由にしたのも、そこに必然性があったんだろうな。それが治癒したことにもきっと。因果関係ではなくて、そのことが作品に与える影響から感じなければいけないな。演繹法じゃ答えは出ない。

  • こんなにも女性のことを好きになることがあっただろうか?と読みながら自分の過去のことがちらちら思い出されて落ち着かない気持ちになった。

    初恋の人、島本さんからハジメくんに、タイトルになっている「太陽の西」の意味が語られる場面。

    シベリアの農夫の話。
    毎日毎日、地平線しか見えない畑で働いて、ある日心の中の何かがぷっつり死んでしまって、鍬を放り出し太陽の西に向けて歩き続けて、そのうち死んでしまう、それがヒステリア・シベリアナ。

    この話し、人生か何かの比喩なんだろうけど、その日々があまりにも今の自分に近すぎて、なんか無性に泣けてきた。真夏なのに寒気がするくらい。

    太陽の西って、どんなところなんだろう。

  • 高校時代に読んだ。当時はいまいち大人の世界というかよくわからなかった。しかし今も主人公にも足が悪い彼女にもいまいち共感できない部分が…(苦笑。

  • 最初タイトルだけ見て、遠くの広大な土地への旅の話? と思った。内容はそうじゃないけど、全部読んだ感想としてはそれでもだいたい合ってる気がする。

    初恋の人ってそれほど引きずるものですか。そこまで運命なんですか。

    主人公、小学生のハジメは、転校してきた島本さんのお世話係的なことから仲良くなって家に招かれて一緒にいままであまり聴いたことのない音楽を聴いて…たしかに濃密な時間を過ごしている。一人っ子同士だったというのもある。でも要は初恋で、最初に意識した女の子で、刷り込みみたいなものじゃないのかな。中学生では別々の学校になり、何時の間にか疎遠に。そして彼女は綺麗な思い出の中だけで生きていた。

    高校生になって付き合ったイズミ。酷い別れ方をする。
    会社員になって知り合い結婚した有紀子。娘2人と幸せな家庭を築いている。

    この時点で島本さんには何も伝えてないけど、皆に同じように愛してるとか好きだとか言ってるような。こういう男は若い頃だったらまずこれで嫌いになってた。でも話の流れは面白い。どうなるのかなと思う。

    島本さんと再会して時々会って話をしたり、突然会えなくなってまた彼女のことを考えると止まらなくなったり、それでまたやっと会えればそれはかなり運命の人だと思うよね。感動だよね。でも他の女性たちは?

    なんというか皆、男にとって都合のいい女達。理想的ですね。ちょっとした浮気相手も含めて。

    男性からするといろいろあっても上手くいってる男の話だけど、女性目線で見るとさらにいろいろありそう。

    島本さんが消えたのは、いまのハジメの生活を壊してまで幸せになりたくはなかったのか。なにか許されない状況、例えば家庭の事情があったり、体調(死亡説?)だったりしたのか。
    それともいっそこの人のことは全部夢や幻想オチとか。それなら同時にお金が消えた謎も解決するんだけど。

    妻の有紀子があんなに出来すぎなのは、実はもっとすごい体験をしたのでは。義父の言及だけでははっきりしないけど、有紀子とはそういうところから惹かれ合ったのかもしれない。

    一番最後まで気になったのはイズミと従姉のこと。決して身体を許さなかったイズミ。イズミと付き合いながら、ハジメの初体験の相手だった年上の従姉。
    勝手な想像だけど、この従姉の死因はイズミにあったのでは。直接ではないにしてもイズミがしたなにかがきっかけで従姉が亡くなって、ハジメのことに加えて、それでイズミは病んでしまったのかなと。ハジメは自分だけのせいだと悔やむことではないかもしれない。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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