- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062091152
作品紹介・あらすじ
法と死の恐怖の間で闘う男たちのドラマ、息をのむクライマックスへ。
感想・レビュー・書評
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昔読んだ、インテリジェンス関係の小説です。
私にとっては非日常ですが、「情報」が何よりも競合差別化になる、というのは、企業経営でも人生においても共通するテーマなのかな、と。
自分では一生かかっても体験することのない世界を、疑似体験することができる、というのが、小説の醍醐味だとつくづく思います。
以下、自分なりに学びのあるフレーズの抜粋:
『情報収集を続けていたのは、単なる軍事機密というような狭隘な世界にさまようような秘やかなたくらみではなかった。情報によってこそ国家が存続するという、紀元前のローマ帝国以来の根源的な魂といえた。』
『コミント機関のスタッフたちは、国民が聞けば腰を抜かしてしまいそうな機密情報と常に接している。1つ1つの情報でいちいち驚いていては、自分がいかに素人かということをPRするようなものだった。重要な情報であればあるほど、顔色1つ変えずに、冷静に淡々と処理していく。それこそが情報マンたる所以でもあった。』
『北朝鮮の軍事無線を何十年にもわたって24時間モニターし続け、膨大なデータを積み重ねてきたお陰で、本郷のデスクには第八軍の分隊レベルまでの動きをリアルタイムで捕捉したデータが刻一刻と届けられていた。』
『岡崎がキャリアたちに取り入れるのは、公安部の情報を一括して仕切っているからだ。私も『情報は部長にあげる前にすべて俺のところにもってこい。キャリアに全部言ったら、じゃじゃ洩れになるぞ』と何度も言われたことがある。そうしておいて、情報を小出しにし、キャリアの部長に報告するんだよ。警視庁公安部を知らないキャリアたちは参事官に頼らざるを得なくなる、という寸法さ。そうでもしなきゃ、1万人以上もいるこの警視庁の中で、昇っていけないのさ。』
『彼にはさらに情報を流させます。しかしディスインフォメーション、つまり欺瞞情報です。こちらにとって有利な方向に北朝鮮を動かせるようなウソを流させるのです。』詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(2004.06.16読了)(2002.09.18購入)
近来、本を読んでいてどんどん引き込まれてこれから先はいったいどうなるんだと思いながら、読むということが滅多になかったけど、この本は久しぶりに、夢中になって読んだ。
15日目、首相は母の病気見舞いを装いながら、病院の一室を借りて、自衛隊の治安出動のための理論武装と意思統一を防衛局長、内閣法制局長官等に命じた。
16日目、治安出動で出動するのは6000名、武器の使用は、警察比例の原則、つまり正当防衛、緊急避難、武器等防護でしか使用できない。海上自衛隊も、敵を発見し、魚雷、ミサイルやロケット砲を発射する前に防衛庁に判断を仰ぐこと。
18日目、武器の使用については、警察官職務執行法が適用されるので、一発目は威嚇射撃が厳命される。
治安出動が決まり、治安部隊の駐屯地として、福井県庁、敦賀市役所、美浜町役場と協議の結果総合運動公園と決まった。
20日目、師団長から部下たちへは「すべての武器使用は首相官邸にお伺いを立てることに決まっている。敵を発見した場合は、順次上に判断を求めよ。先に殺されてしまうかもしれないが・・・」「敵が撃ってきた場合には、撃ってよしだ。それでも班長に判断を仰がせろ。命令なしには勝手に撃たせてはならない。」(相手の人命尊重ということが優先される警察官と同じ立場で行動する治安出動なので、このように限定されているということなのでしょう。イラクへ派遣されている自衛隊はどのように決められているのでしょうか?)
21日目、自衛隊による捜索開始。空からは、ヘリコプターが捜索し地上部隊を支援する。小学校校舎で人影発見。逃げ遅れた泥棒だった。
23日目、ニホンカモシカを敵と間違えて、射撃。火災発見!火災に気をとられている隙に5人の戦闘服姿の男が飛び出してきた。自衛隊員は撃とうとしたが班長は、命令どおり、相手が撃つまでは撃つなと制止。その間に自衛隊員たちは次々に敵の銃弾に倒されてしまった。射撃命令を出す予定の小隊長も射殺されてしまった。生き残った班長が、中隊指令所に連絡し、射撃許可を受けて、応射を開始させたが、もはや敵の姿は見えない。
空からヘリコプターで捜索し、発見!対戦車ロケットを担いでいる。射撃許可を求めたが中隊長からの返事は待て!だった。
レンジャー部隊35名が投入されることになりヘリコプターで現場上空へ移動し、ロープを伝って地上へ降り立った。師団長の決断で、手榴弾の使用が許可された。
レンジャー部隊の攻撃により、5名の北朝鮮兵士死亡。さらに3名の北朝鮮兵士発見!3名とは取っ組み合いや接近戦の末、制圧した。自衛隊員は、1名死亡、1名重体。
24日目、北朝鮮では、全軍戦闘体制に入り、潜水艦がすべて出航したという。
25日目、北朝鮮でノドン発射の準備が進められているという。
27日目、敦賀半島から発信された電波傍受により、残りの北朝鮮兵士の居場所が特定できた。ヘリコプターで居場所を確認できたが、攻撃許可が出ていないので、逃げるに任せるしかない。北朝鮮兵士と地上部隊が遭遇し、自衛隊員が死亡した。ヘリコプターに対してやっと攻撃許可が下りた。ヘリコプターからの攻撃で北朝鮮兵士3名射殺。
海上では、日本に接近する潜水艦を捕捉し追尾しているが、攻撃許可は下りない。偽装漁船も近づいてきて、攻撃され1名死亡。北朝鮮潜水艦は、日本領海に入る直前反転して引き上げた。北朝鮮のスパイに、偽情報で、アメリカ軍が、北朝鮮総書記の暗殺を計画しているという情報をつかませた。そのために引き返せの命令が届き、やっと事態は収拾された。
中国軍も、沿岸部に軍隊を配置し、台湾に対する攻撃準備を進めるなど、アジア全域が緊迫に包まれる状態であったが・・・。
☆関連図書(既読)
「宣戦布告(上)」麻生幾著、講談社、1998.03.06 -
オチはやたら人間臭かった記憶が。
北陸人にとっては恐怖だけど今はガス田の方がリアルだね -
息をつかせぬ展開で一気に読み切ります.翌日は眠くて仕方がなかった.