- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062100083
感想・レビュー・書評
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村山聖に人間的な魅力は感じなかったけれど、将棋にかける思いは伝わってきた。
彼の持ち得た唯一の翼。「名人になりたい」の思いだけで生きていたような人生。
将棋のルールにそれほど詳しくないので、すごい棋譜だと言われても、そうなんだ、くらいの感想しか持てないけれど、彼にしか見えていないものがあったのだろう。
29歳で亡くなったのは残念なことだとは思うけれど、幼い頃に病気にならなければ、そもそも将棋と出会わなかった可能性もあるわけで、病気であったことも含めて、それが彼の人生だったのだと思う。病気にひどく苦しめられた代わりに、彼は他の誰にも見ることが叶わなかった世界を見ることが出来たのだ。それを、不幸だの、可哀想だのという言葉で括ることが出来るだろうか。彼は自分の人生を生き、そして死んでいっただけなのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
重い腎臓病を患いながらも、将棋「名人」への夢を決してあきらめなかった村山聖。29年という短い生涯を精いっぱい生きた人間の物語をどうぞ!映画化もされますね。
(一般担当/らいおんさん)平成28年9月の特集「職員おすすめ」 -
読みやすい文章なんだけど、通して読んでいると、「あれこれどこの箇所の事?」ということが何度かあった。私が忘れてしまっている事も多いんだけど。
通院のところが不鮮明なのかなぁ?
あれまぁ膀胱がんになっちゃったよ!って感じで。血尿でてたらすぐ受診するよね?
怖かったのかな、現実が。 -
この本で村山聖という人を初めて知ったんだけど、村山のユニークな人柄がひしひしと伝わってきて良かった。森信雄との不思議な師弟関係も良かった
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松山ケンイチが主演するとのことで、積ん読にしておいた本書を探し出して読んで見た。将棋界のことは谷川や羽生のことは知っているがそんなに興味はなかったのだが、その世界に命をかけて挑んだ人間がいたということを知った。本書は淡々と時系列通りにルポルタージュしているのだが、盛り上がりに欠け、沢木耕太郎あたりに書かせるともう少しどうにかなったのではないだろうかと思ったりした。
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一気に読みました。
聖さんが亡くなるとわかっていても最後の場面は悲しくなりました。
2016年現時点トップの面白さです。 -
太くて短い、がしかし誰よりも濃く将棋のの世界に生きた棋士の話。
『3月のライオン』の二海堂くんのモデル、というだけの軽い気持ちで読み始めたが、読んでみてその壮絶な人生に圧倒され、読後1週間は心が震え続け他のどの本も読めないほどでした。
最期まで将棋のために肉体と精神をもすり減らし、時にはとんでもない奇行で周りの人にもたくさん迷惑をかけた。しかしその独特な風貌とちょっと奇妙なキャラクターのおかげで多くの人から愛された村山聖。師匠とのやり取りがなんとも心温かくてよかった。途中からは母親目線で読んでしまったのでとても苦しかった。お母様の気持ちを思うと辛かっただろうな、と。 -
重い腎臓病を抱え、命懸けで将棋を指し
将棋界の最高峰A級に在籍したまま、名人へ夢半ばで29才という短い生涯を終えた、“怪童”村山聖のノンフィクション。
幼少の頃難病であるネフローゼと戦いながら、将棋の名人になるために純粋に生きる
村山棋士の、時にはわがままと思える行動も実は正直に生きている証なのだと、奇妙に思える生活も、ありのままに生きている姿なのだと思った。こんなに自分に正直に生きて、夢を実現にかえるまでなりふり構わず、自分の肉体や精神を削りひたすら生きる村山棋士の生涯に鳥肌が立ちました。
目標や夢に向かって忠実に突き進むこの情熱は体を病で蝕まれた青年のどこから生まれて来るんだろうすごすぎて、言葉になりません。
歩く事もままならないほど、身体が弱っていても12時間以上に及ぶ勝負にいどんだり
将棋を続ける為に無謀な生活を送ったり
もしかしたら、将棋というものに出会っていなければ、もっと生きていたのかもしれません。
でも、夢であった名人には後一歩で届きませんでしたが、短い生涯でも力を尽くして生きた事に満足しているに違いないと思います。
こんな本に出会うと、自分のちっぽけな生き方が恥ずかしく思えます。
せめて自分が年老いて生涯を閉じるとき、自分に恥ずかしくない生き方をしたいと思える作品でした。 -
読んで良かった。傑人を読む。電車の中で泣く。帰宅して動画を見る。涙を噴出させる。「ひらけ駒1巻」でまた噴出させる。3月のライオンはテレビ解説で噴出する。思い出すだけで噴出できる。読んで良かった。将棋に興味を持って良かった。