黄金の島

著者 :
  • 講談社
3.22
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本棚登録 : 218
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (548ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062106566

感想・レビュー・書評

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  • ベトナムの若者が、日本人のヤクザ崩れの助けを借りて、黄金の島、日本を目指す。

  • 真保さんらしい豪快な作品。
    嵐の場面は臨場感に溢れてさすがと思わせる。
    内容としてはオーソドックで意外性はあまりない。予測しやすい展開。驚きはなかった。
    いろいろと謎やその後を残して物語を終えているのが残念。最後もあっけなく終わる。もっと長く続けてほしかった。

  • 豊かな暮らしも自由も、生まれた時に決まってしまう。
    自分より下のものを見つけては踏みつけ、上前をはねないことには人間らしい暮らしができない。
    人としての誇りを捨てなければ、生きていけない。

    では地べたに這いつくばって、泥にまみれて生きているのは人ではないのか?

    この国に、ベトナムにいる限り幸せにはなれない。
    アメリカや日本に生まれていたら、ビデオや冷蔵庫が当たり前にある暮らしができるのに。

    チャウは、いとこのカイ達と一緒にシクロ(自転車のタクシーのようなもの)乗りとして暮らしている。
    お金を貯めて、日本へ密航するために。
    日本に行けばあっという間にお金持ちになり、田舎の家族を幸せにすることができるから。

    チャウたちのようにベトナムの底辺で暮らす人たちが、どれだけ過酷な毎日を送っているのか。
    これでもかこれでもかと試練が襲う日々。
    そして彼らの前に現れた救世主が、組織から追われベトナムに逃れてきた男、坂口修二。

    日本に愛する女性を残してきたため、なんとかして日本に帰りたいと思う坂口と、日本で金持ちになりたいチャウたちが出会ったとき、彼らは日本へ向かうことになった。

    とはいえ、頭がいいのにお人好しで詰めが甘い坂口や、人間不信・自分勝手・怠け癖などからほころびを見せるチャウたちの仲間などのせいで、二転三転する状況に気が気ではなく、ページをめくる手が止まらない。

    男は夢を見て、女は現実を見るということなのだろうか。
    魅力的な女性が出てこなかったなあ。(あくまで私にとっては)
    単純なハッピーエンドではないところが、作者の誠意なのだろう。

  • マルコ・ポーロの「東方見聞録」に登場することで知られる「ジパング」。
    欧州の人々のあこがれを集めた黄金の島は、日本と言われている。
    日本へ行けばお金設けができる。
    生活も豊かになり、故郷に錦を飾れる。
    そんな淡い期待を持って、東南アジアあたりから日本へやってくる人々のなんと多いことだろう。
    この作品はそんな人々の現状を書きたかったのだと思うけれど、
    ちょっと間延びした感じで、ページがなかなか進まなかった。

    暴力団の抗争から仲間に追われる主人公は、逃亡先のベトナムで現地の若者たちと出会い、日本語を教え始める。そして、ベトナムの若者たちの日本への憧れを知り、日本行きを計画する。
    舞台はベトナムで、その苦しい生活の惨状も見えてくるが、もうひとつ、ピンとくるものがなかった。

    主人公が想いを寄せる暴力団幹部の女性は、
    最後まで主人公のことを本当に思っていたのかどうかわからない。
    それだけしたたかな女性だということにしたかったのだろうか。
    それでも一途にこの女性を想う主人公が憐れに思えてきた。

    ラストは・・・
    なんだ、結局、元に戻ってしまうのね。と言う感じだ。
    やっぱり本当の黄金の島は、
    自分の愛する人々がいる故郷なのではないだろうか。

  • 12年程前、仕事の関係で1年半の間、ベトナムのホーチミンに駐在員として滞在していた事もあり、それなりの思い入れがありました。
    只、もう少し物語の展開を期待していたのですが、、、少し消化不良な気がします。

  • 作者の作品ではコレが一番好き。
    一気に読めました。

  • 中々ハードボイルドな、血腥い感じでした。
    読む本読む本、いろんな職業の人がいて、いろんな世界観があるのが凄い。
    結構作家さんて、自分の考えが入ってどのシリーズを読んでも
    似ている世界観や人間が出てきたりするものなのですが。
    大体、自分の経験していない職業の人を書こうと思ったら、
    その職業のことからまず調べないといけないわけで。
    真保さんの取材力にはびっくりです。

    ラストの方はちょっと悲しかったけど、いや、大分悲しかったけど。
    でも安易なハッピーエンドじゃない分、これが真実という気もした。
    読んだ後もなんとなく、海上で浴びた雨みたいに肌に残る感じの小説でした。

  • 日本を追われた主人公がタイ、べトナムと逃れ、
    やがて日本を目指して密入国を目指す.... という話。

    実際にべトナムに住んでいるせいか、知っている場所や物などが
    出て来て臨場感があり楽しめた。
    それにしてもべトナム人の使える物は何でも使って生きてゆく
    その根性が上手く描かれていて面白かった。

    長編で読み応えあり!

  • 薦めたい本

  • ベトナムに逃れてきたヤクザがその地でもがいて生きていく。日本はやはり経済大国で黄金の島。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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