チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか 99パーセント遺伝子が一致するのに似ても似つかぬ兄弟

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062161732

作品紹介・あらすじ

酷似したDNAを持ちながら、ヒトは生物界の頂点に君臨し、チンパンジーは研究材料にされ続けてきた。2種を隔てた1パーセントの意味を知ることで、人類の未来が見える。

感想・レビュー・書評

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  • クジラ・イルカを食べる社会について、それが絶滅させるほど急進的なものでないならば、文化だからと許容できる。イヌ・ネコ・サルとなると、出来るだけ苦しまないようにしてやってくれと注文をつけたくなる。チンパンジー・ゴリラ・オランウータンだとさらに悩むが、やはり許すだろう。だが、ヒトなら。北京原人なら、ネアンデルタール人なら、アウストラロピテクスなら、どうだろう。チンパンジーが原始人類と交雑していた時代があったとしたら、どこが境目となるだろうか。
    本書はチンパンジーとヒトの違いから人類の起源を探る一冊。血・脳・からだの3章に分かれ、遺伝子の違いから感染する病気の違い、会話能力の探求、文化の存在証明、ヒトへの進化の諸説、オスとメスの性戦略、食生活、寿命、保護環境などなど数多の研究結果を紹介する。未だ明らかになっていない事実も多く、結論が得られる解答は多くないが、その実験内容や論説の経緯は素人にもわかりやすく存分に楽しめる。ただ、総じると『<a href="http://mediamarker.net/u/akasen/?asin=4152089997
    " target="_blank">見る</a>』のように雑多な研究結果の総まとめ的な一冊となっており、邦題の問いを解き明かすような答がないことが、『<a href="http://mediamarker.net/u/akasen/?asin=4150502609" target="_blank">フィンチの嘴</a>』や『<a href="http://mediamarker.net/u/akasen/?asin=4167651750" target="_blank">ハチはなぜ大量死したのか</a>』などの文庫化された科学本の名著たちとの違いだろうか。(原題はAlmost Chimpanzee)
    この本を読むことで、あらゆる方向からチンパンジーとヒトとの類似性と相違点を認識できることは間違いない。だが、それを知ったとしてどうするか?その先は読者に委ねられている。

  • 700万年前に共通祖先から分岐したヒトと類人猿。この二つの種間の共通点・類似点はどこにあるのか。
    『サイエンス』の記者である著者の取材による、チンパージー研究の歴史と未来。


    遺伝子的にはたったパーセントの差だが、我々ヒトとチンパージーをはじめとする類人猿の間には大きな隔たりが存在する。この差を決定しているものを科学的に解明しているのどと思い読んだのだけれど、結局よくわからないまま・・・。様々な説は提示されていたものの、明確な答えは提示されていなかった。この分厚さはこれまでのチンパージー研究の歴史だったらしい。
    人類に近いという為に、エイズをはじめとする色々な研究にも使われてきたチンパージー。心情的な面は別として、全否定は出来ないなぁ。動物の種類によって差をつける気にはなれないし、これらの研究がなければ現在の医療をはじめとする様々な発展はなかったろうから。とは言え、人工的なキメラ(ヒトとチンパンジーさえ)を創ろうとする実験は流石に嫌悪感を感じた。
    この本を読んで初めて知った事実・・・チンパンジーは泳げない。

  • ちょっと長くて読みづらいが、タイトルの通り人間とチンパンジーがいかに似ているではなく、何が違うのかを追求した。

  • 一般向けに分かりやすくこの方面の研究の現在地を教えてくれる良心的な書籍
    なぜ人はチンパンジーとほぼ同じでありながら決定的な差がついたのか、結論として出すには留保がつきますが、幾つかの回答が提示されています

  • 【配置場所】工大選書フェア【請求記号】489.97||C【資料ID】91123472

  •  本書は、「サル学」という学問の領域の「チンパンジーとヒト」との最先端の考察をアメリカのジャーナリストがわかりやすく解説したものである。
     「DNA」の解析から「チンパンジー」が「サル」よりも「ヒト」に限りなく近いことは、これまで多くの学者が指摘していたところだが、本書では、その詳細な考察を「血」「脳」「身体」と分けて461ページの大著に展開している。
     「チンパンジー」と「ヒト」とが今まで思われてきたよりもずっと近いことの詳細な内容と、その近さをよく調べると「言葉のルビコン」といわれるような決定的な違いがある事までわかる段階になっていることや、「ヒト」がどのようにして生まれたのかという考察のひとつの「おばあちゃん仮説」が有力になっていることなどは興味深く読めた。
     新聞等ではこれらの知見はごく一部が簡単に紹介されるだけだから、本書のような全体系(?)を知ることができることは興味深いが、本書はちょっと読みにくいとも思えた。
     本書の内容が一般書にしては限りなく専門書に近いせいかもしれないし、翻訳書のせいかもしれないが、内容・文体が生硬とも思える点はちょっと残念。

  • 興味深いテーマについて、膨大な実験をもとに分かりやすく書かれている。ただし、新たな生命体系を作り出す類のくだりについては少しイヤな気持ちになった。

  • 第1章 進化のツリー
    第2章 ふたつがひとつに
    第3章 病気と健康
    第4章 伝染病の猛威
    第5章 しゃべる類人猿
    第6章 言葉をつかさどる遺伝子
    第7章 心のギャップ
    第8章 頭と頭をつき合わせて
    第9章 歩いて進め
    第10章 肉欲の話
    第11章 チンパンジーの生きる道
    第12章 野生児として

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著者プロフィール

ジョン・コーエン(Jon Cohen)【著者】
国際的な科学雑誌「サイエンス」誌の記者。ほかにも、「アトランティック」「ニューヨーカー」「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」「ワシントン・ポスト」「ディスカバー」「スミソニアン」「スレート」などに記事を書いている。著書は『Shots in the Dark』『Coming to Term』。カリフォルニア州カーディフ・バイ・ザ・シー在住。

「2012年 『チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか 99パーセント遺伝子が一致するのに似ても似つかぬ兄弟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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