獅子のごとく 小説 投資銀行日本人パートナー (100周年書き下ろし)
- 講談社 (2010年11月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (548ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062165907
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
誰かが書いてたように、確かに小説「ハゲタカ」に近い匂いを感じた。小説としての完成度は「ハゲタカ」に軍配が上がると思うが。モデルは明らか?なようだが、やや違和感を覚えたのは、突出して激烈な人物として描かれているキャラクター像がそれほどリアルに感じられなかった点。
-
実在する、GSの持田さんをモチーフにした小説。
実際会った人の話によると、小説のとおり、激烈に接待しまくったらしい。
成り上がるにはそれぐらい強烈にやらんといけないんだろうね。
参考になります。
事実と小説の部分が入り混じってるような感じで、投資銀行マニアには興味深いが、小説として面白いかどうかはちょっと微妙。 -
「あたしはオーバーウェルムしたいんだ」
投資銀行のアナリストから東京オフィスの社長になるまでの壮絶な半生が綴られた小説。
フィクションと言う割にはあまりに露骨かつ偏見の入った書きぶりにはやや違和感を感じるものの、様々なOBに取材したのだろうとういことは伺える。
最後の結末も、何か偏った憎悪に近い著者の感情を感じずにはいられず、それゆえに残念。
所々散見される誇張表現をフィクションだからとのみこめば、大筋として投資銀行をよく描けているのではないだろうか。
生々しい。 -
淡々と。まるで、ノンフィクションを読んでいるみたいな小説だ。
逢坂というバンカーが、外資系証券会社の上に登り詰めるまでが案件毎に書き進められている。不思議なのだけど、途中から主人公である逢坂が主体の描写が減っていき、周りの人物からの彼を見る目であったり、案件への関わりから描く。そして…
読んでいる途中で、この作品は真山仁のハゲタカシリーズへの返歌ではないかとふと思った。今までの黒木作品の、中では逢坂というキャラクターが立っている気がしたのだ。
今まで黒木亮の作品に馴染みがあれば楽しめるのだろうけど、そうでないと淡々しすぎて、面白みにかけるかもしれない。 -
投資銀行のトップまで上り詰め、最後は邦銀の憎き相手をオーバーウェルムする。獅子のごとくというタイトルの通り、情熱と冷静さが交錯する金融ビジネスの戦いを描く。まるで「トップレフト」思い出す作品だ。東京にいた頃、マスコミによく登場した懐かしい人達も。ファンド全盛期に東京のど真ん中で仕事をしていた自分にとって、非常に懐かしい内容でもあった。ハゲタカと揶揄されても、勝てば官軍とばかりに走りぬけた人々の生きざまを感じて、今の中国ビジネスの興隆に重ねて読めて面白かった。
金融マンが使っている言葉も結構リアルだし、すごい取材力と想像力だ。 -
黒木亮の最新刊。M&Aの実際の大型案件を題材に、投資銀行ビジネスの世界を描く。実在の某バンカーをモデルにしていて、なかなかよく描けている。
ただ、あえて気になったところをいうと、フィクションとノンフィクションのどちらに寄せるのか、なかなか難しいところかも。
楽天対TBS、西武鉄道、村上ファンド、堀江モン、等実在の事例をそのままストーリーにしているスタイルは、架空の人物(主人公等)が、実在の人物とやりとりする部分で、興ざめになってしまう。
もちろん、我々読者も、現実の裏側をエンターテインメントで読みたいので、こうした作品を読むわけで、ある程度しょうがないが、個人的には、すべて架空にしてもらった方がすっきりする。どうせ、現実のどの会社、人物に対応しているかはわかるのだから。
本作は、ゴールドマン、三井住友銀行等の実際のディールを描いているところが「売り」なので、同列には論じられないが、デビュー作『トップレフト』等では、フィクションに寄せていたので気にならなかった。
いずれにせよ、楽しめた一冊。 -
「巨大投資銀行」を一人の人に絞ってかいたような小説で「巨大投資銀行」より時間がゆっくり流れる感じです。
-
黒木さんの新刊です。投資銀行とはどういう業務をしているのか。
そして、どういう人が成功を収めるのか。
フィクションながらも現実の出来事が混ぜ合わせてあるので、リアルティのある作品です。
しかも、黒木さんの本にはおなじみの本書に出てきた用語集が巻末に出ていて、勉強にもなります。
ビジネスの小説好きな人には読んでもらいたい一冊です。