絶望の国の幸福な若者たち

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062170659

感想・レビュー・書評

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  • 楽しかった〜
    やー、楽しかった〜

    こういう本って、最終章の畳みかけ、えぐいよなぁ〜

    「あの頃はよかった」と思える人以外はみんな若者らしいので、将来への不安や今の日本への絶望を抱えながらも、まぁこんなもんかと思っている人にオススメでございにゃす


    フリーター、実家暮らし、彼氏なしの自分にグサグサ刺さるところもあったけれども、今まで言語化できていなかった部分(社会やこの国への不満、でも、日本はそこそこいい国だし、出ていくつもりは全くないって)がすっごく腑に落ちた一冊でございにゃした。

  • わりと自虐ネタなどがあり、評論なのに笑える。
    若者論の歴史部分が長く、よく分からなかった。本人曰く、そういうのは自分が分かってないかららしい。

    ただ、そこが終われば面白い。
    天気の子が若者に受ける理由が分かる、かも知れない。(天気の子のパンフレットを読んだら、読みたくなった)

    将来が絶望だからこそ、今が幸せと言うしかないと言う意見が興味深い。徒然草に、衣食住と医療が有れば人は幸せになれるとあったのを思い出した。確かに余生なんてないだろうから、働き方改革の動きが出ていると言う気がする。

  • 【内容】
     からかい筆致のメタ若者論。
     分類としては、学術と一般の狭間にある本。
     本の完成度は、後半やや失速しつつ無事完走という感じなので、おそらく編集の力量も大きいのだと思う。

    【抜き書き】
     つまり、若者論というのはすごく無理をして何とか成立しているものなのだ。〔……〕それでもなお世代としての「若者」を語ろうとしたのが若者論であった。/しかし、そうも言っていられなくなった。中流崩壊論と格差社会論の流行である。〔……〕/このまま若者論は消えてしまうのだろうか?/結論から言えば、「若者」語りがこれからも当分終わることはないだろう。たとえば、若者論よりも、もっと大ざっぱな議論も健在だ。かの有名な「日本人論」である。「日本人論」は一億二〇〇〇万人の日本国籍保有者に共通の特徴を語ろうとしている。格差社会論なんて素知らぬ顔で、内田樹(五九歳、東京都)の『日本辺境論』のような「日本人論」が時々大ヒットしている。うらやましい。/さらに若者論には「日本人論」にはない魅力がある。
    (古市憲寿[2011:58-59])


    【詳細目次】
    http://d.hatena.ne.jp/Mandarine/20140113


    【簡易目次】
    第一章 「若者」の誕生と終焉 018
     1 「若者」って誰だろう 018
     2 若者論前夜 021
     3 焼け野原からの若者論 037
     4 「一億総中流」と「若者」の誕生 047
     5 そして若者論は続く 058

    第二章 ムラムラする若者たち 070
     1 「内向き」な若者たち 070
     2 社会貢献したい若者たち 072
     3 ガラパゴスな若者たち 082
     4 モノを買わない若者たち 091
     5 「幸せ」な日本の若者たち 098
     6 村々する若者たち 107

    第三章 崩壊する「日本」? 114
     1 ワールドカップ限定国家 114
     2 ナショナリズムという魔法 125
     3 「日本」なんていらない 136

    第四章 「日本」のために立ち上がる若者たち 154
     1 行楽日和に掲げる日の丸 154
     2 お祭り気分のデモ 161
     3 僕たちは立ち上がるのか? 170
     4 革命では変わらない「社会」 182

    第五章 東日本大震災と「想定内」の若者たち 192
     1 ニホンブーム 192
     2 反原発というお祭りの中で 203
     3 災害ディストピア 214

    第六章 絶望の国の幸福な若者たち 228
     1 絶望の国を生きるということ 228
     2 なんとなく幸せな社会 242
     3 僕たちはどこへ向かうのか? 254

    補章 佐藤健(二二歳、埼玉県)との対話 270

    あとがき [295-299]
    謝辞   [300-301]

  • テレビで見る古市さんの本が読みたかった。どれから読んでいいか分からかったけど、とりあえずこれから読んでみました。
    実は、このタイトルだけはよく目にしていましたが、著者と古市さんが一致していなかったです。

    読んだ第一印象は、テレビのイメージと違ってかなり分かりやすく書いてあり、きちんと研究もされている人だとうけました。
    テレビのイメージだと研究者というイメージではないんですけどね。
    自分のイメージは、若いコメンテーターというイメージでした。
    しかし、かなりの本を読み、フィールドワークもしていたり、プロフィールを読むと珍しい経験をしているのが分かり、苦労や経験が顔や態度に出ないタイプの人なんだと印象が変わりました。

    読後感もいろいろ考えさせられるいい本でした。
    もちろん、社会学の用語も出ているので、分からなかった用語を調べるだけで、勉強にもなります。
    きちんとやっていたりするのに、年上にはちゃんとやれみたいな印象を持たれていたり、年下には、うまいことやってるな、みたいな印象を持たれていそうな古市さんがみてとれました。
    厚さのわりには、スルスル読めました。

  • 私は20代の若者である。私は正直、私の世代を幸せであると思うことができない。それは上の年代の人達が決めた政策で過ごし、その政策が失敗だったとわかった途端何故かその中で育った私達が攻められたり、就職難という未来に希望を持ちにくい中で生活を送ったりしているからだ。そのため、この書のタイトルを初めて見たときは驚いた。しかし、読み進めていくうちに「なるほど」と苦笑いをしつつ理解ができた。

    この書は「若者論」として、若者について多方面から論じておりとても良くできていると思う。そのなかでもやはり「幸せな若者」の正体がおもしろかった。「将来に希望を持てないからこそ、今を幸せと感じている」という指摘に思わず納得してしまった。また、20-30歳の人だけではなく国民が若者化しているという視点も非常に興味深かった。

    また、補章として載っている俳優の佐藤健との対談もおもしろかった。というのも、著者が投げかけた質問に対する佐藤健の答えが本書で描かれていた若者の回答や行動と重なる点が非常に多かった為である。この書の前置きにもあるように、この中で語られているのはあくまで一つの若者像ではあるが、佐藤の回答との一致は単なる偶然ではなくこの書が今の若者像を良くとらえているという一つの強い論拠なっているのではないだろうか。

    個人的には今の自分が置かれている立場を客観的に見ることが出来たこともあり最期まで面白く読み進めることができた。

  • 1985年生まれ、東大大学院の若手社会学研究者の作者。数々の過去の文献や統計資料を持ち出して、バッサバッサとあくまでも冷たくぶった斬りながら、この絶望の国日本の若者は、言われてるほど可哀想でもないし、不安はあるけど結構幸福なんですよと結論づけている。その皮肉まみれの語りっぷりが新鮮でかなり面白く読んだ。ふむふむなるほどねと興味深かったのに、読み終わったら、握ってきたはずの何がが手の中からするすると抜け落ちて、何も掴めてないような、そんな感じ。結局、同じ若者と言っても彼は勝ち組なのかな?という印象。

  • <絶望の国の幸福な若者たち> 2013年5月14日 
     
    ・日本の若者が不遇な状況に置かれているのにいっこうに立ち上がらない理由は、日本の若者は幸せだから
    ・ 現代の若者の生活満足度や幸福度は、ここ40年間の中で1番高いことが、様々な調査から明らかになっている
    ・ 2012年:20代の若者のうち「社会志向」なのは55%、「個人志向」なのは36.1%であった
    ・ 2011年:日頃、社会の一員として、何か社会のために役に立ちたいと思っているか?という社会貢献意識では、20代の若者の実に59.4%が社会のために役に立ちたいと思っている
    ・ ボランティア活動に参加する20代の数は1970年代からほぼ横ばいになっている
    ・ 社会志向の若者は増えているし、社会に貢献したいと考えている若者も増えているにも関わらず、実際に社会貢献活動に参加している若者は増えていない
    ・ 政治に関心がある若者は増えているにも関わらず、投票率は低下している
    ・ 不況だ、格差だと叫ばれている近代の方が、バブル時代よりもよっぽどみんな留学している
    ・ 若者は決してものを買わなくなった訳ではなく、買うものとそのスケールが変わっただけの話
    ・ 過剰な消費や拡大を目指さない、サステイナブル消費の若者達
    ・ 10年前から若者の分母が2割も減少すれば、消費は落ち込んだように見える
    ・ いつの間にか消費者を踊らせるはずだったマーケターや広告会社たちが、かつて自分たちの作り出したフィクションに踊らされている、という皮肉な構図が「若者がモノを買わない」論の真相である。
    ・ 「かわいそうな若者」の例として、非正規雇用、低賃金で働くワーキングプア、どんどん厳しくなる就活戦線、現代版ホームレスともいえるネットカフェ難民が取り上げられている
    ・ 半数以上の若者が自分のことを幸福だと感じながら、同時に不安だとも思っている
    ・ 若者達にとって友人や仲間の存在感が増して来ている
    ・ 世代間格差に怒り、その是正を訴えるのは40歳前後の「おじさん」が多い

  • 三葛館一般 367.6||FU

    「現代の若者は不幸でかわいそう」当事者ではない世代からこう見られる「若者」は、実は他の世代よりも生活満足度が高い!著者自身が「若者」とされる世代(出版当時26歳の大学院生)である本書は、様々な人の意見や多くのデータを用い、現代の若者像に迫ります。

    和医大OPAC → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=62735

  •  おじさんたちが真面目な顔して、深刻に、日本の将来や現代の若者たちについて論じていたとき、当の若者は、やっぱり真面目な顔して、それを茶化していた。それが本書。はっきり言って悪ふざけが過ぎる(笑)。

     古市さんは、とてもシニカルに――まるで最近のラノベ主人公みたいだ――今日まで論じられてきた日本や若者に関する論考を再考する。自身が「若者」であることにかこつけて、ある意味では無気力に、そして革新的な意見を構築していく。古市さんの前では、たとえホリエモンの意見であっても、まるで革新的ではないのではないかと錯覚すらしてしまうのだ。
     とはいえ、研究の名目で活動しているから当然だが、しっかりと根拠を持った論構築となっている。決して、若者の戯言なんかではない。

     さまざまなメディアで語られる「若者」というものがわからなくなってきた人は、まず本書で頭の整理をしてはいかがだろうか。本書はソフト面もハード面も「若者」によって成立している。これでもか!というほどに「若者」を堪能できるだろう。


    【目次】
    はじめに
    第一章 「若者」の誕生と終焉
    第二章 ムラムラする若者たち
    第三章 崩壊する「日本」?
    第四章 「日本」のために立ち上がる若者たち
    第五章 東日本大震災と「想定内」の若者たち
    第六章 絶望の国の幸福な若者たち
    補章 佐藤健(二二歳、埼玉県)との対話
    あとがき
    謝辞

  • 2010年現在で20代の男女の生活の満足度70%以上。しかし、将来に悩みや不安を感じているのも60%以上。このようないびつな状況を生んでいる日本の若者の思考にフューチャーした本。

    ・若者は「内向き」になってしまったのか?
    ⇒政治離れ、海外離れ、地元化、嫌消費などが叫ばれているが実際のデータを見るとそうは言い切れない。
    ⇒「社会」という「大きな世界」には不満があるが、自分たちの「小さな世界」には満足している

    ・リアリティを感じないものに対して行動を移さなくなっている!
    (『相対的剥奪』自分の所属している集団を基準に幸せを考える)
    (身近に「分かりやすい貧困」がないから)
    ⇒強制的に動く理由は、自分たちの領域が侵された場合
    ⇒能動的に動く理由は、何をすれば貢献できるかが分かった場合
    (目に見えるハッキリした目標が必要)

    ・若者に広まってるのは、身近な人々との関係や小さな幸せを大切にする価値観である。

    ⇒「社会」という「大きな世界」が自分の「小さな世界」にどう影響しているのかがもっと身近で、リアルに感じ取れれば人は動き出す。
    それは若者・世代関係なくどんな人にも当てはまる。

    今起こっている出来事は自分に多大な影響を与えており、遠くない未来の自分に降り注ぐことへの関心を強めることが大事!!
    ⇒『物語の主人公化』が必要である

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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