日本中枢の崩壊

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062170741

作品紹介・あらすじ

福島原発メルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹部が実名で証言。

感想・レビュー・書評

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  • 現役経産省官僚の暴露本として売れてる本。民主党の失敗、官僚制の誤謬など。マスコミを始め批判の対象となりがちな官僚たちだけれど、本当に優秀で死ぬほど働いている若く熱い人も話に聞く限り多いように思う。仕組みから変えて、正しい方向にその優秀さと熱意が向くような形になってほしい。政治主導とはいえ、官僚は唯々諾々と従う、もしくは従っているように見せて裏で工作するようなことではなく、他の官僚もオープンに意見を世に問いかける著者のような姿勢がもっとあっていいのかな?と思う。

  • 訳がわからない原発問題について、何か分かるかいな、とジュンク堂で衝動買い。

    ま、衝動買いは失敗を恐れてはいけないので、仕方ないか。

    霞が関の官僚達と話をしていて強く感じるのは、彼らが内部事情の精通度についてものすごく執着していることである。

    もちろん、どこの組織にも「内輪の事情」はあり、内輪の事情の開陳は内部通であるという特権を与えるから、そういう欲求はどこの業界にもあろう。それにしても、霞が関の官僚のそれは尋常ではない。誰と誰が仲が良いとか、なんとかの話はこの部署とあの部門とにまず話を通して、とか、あの法案が通らなかったのは誰かれの横やりが、、、

    僕は、こういうのにほとんど全く興味がない。へええ、さいですか。で終わりである。官僚と交渉する際にも、こういう知識がなくても全然困らない。なにしろ、こっちは分かりませんといえば、鬼の首でもとったように、なんだイワタ、そんなことも知らないのか、実はなあ、と丁寧に教えてくれるからである。その優越に輝く目をみていると、彼らにとってこの内部事情通であるというアセットがいかに貴重なものであるか、察することができるのである。多分、人物評定や昇進にも、この能力が大きく作用しているのではないかと想像する。

    前置きが長くなったけど、本書はそういう内部事情を開陳する本だ。これまでにもしょっちゅうあった、日本の官僚と政治家がどうしてこんなにダメなのかを、延々とつづる恨み節だ。ただ、本質的な、構造的な問題は、そちらのほうが僕には興味があったのだけれども、やはり、よく分からない。案外、そういうのは内部にいる人自身、気づかないものだ。内田樹さんみたいに霞が関に(たぶん)はいったこともないような人のほうが、はるかにざっくりと正確に基本構造を理解する。

    とまあ、きびしめの書評になっちゃったけど、こういうルサンチマンを抱えたインサイダーがインサイダーをこき下ろすという「語り口」を僕があまり好まないせいかもしれない。医学部の曝露本とか書いたらずいぶん「ネタ」はたくさんあるので楽しかろうと思っていたけど、やっぱやめとこうかな。

  • まずは、これだけの本を実名で書いた勇気を讃えなければならない。
    これだけで、五つ星。

    自分は官僚の方々とのお付き合いも多いので、その生態については分かっているつもりではあったけれど、やはり驚くこと多数。

    特に驚いたのは、財務省の国税庁を通じた支配。恣意的な操作はもちろん、ダブルバインド状態を創り出すという意味において賢い統治方法だ。

    しかし、こういうのって陰謀説と紙一重なので、本当に嫌だ。

    惜しむらくは、農業政策等、大まかな方向性は間違っていないものの、やはり経済メカニズムへの過信がある。
    社会というものへの眼差しが弱いか。

    ともあれ、多くの人に読まれることを期待したい。

  • 期待外れ。

    この方、都議には向いていない。

  • ベストセラーリストから読んでみました。
    現役の官僚が書いた告発的な内容。
    仙石氏に恫喝されたあの人、というのは、うっすら覚えがありました。

    政治主導が失敗した原因。
    日本が停滞したそもそもの原因とは。

    政治主導にするには、首相にブレインが必要。
    実行力のある集団でないと。
    小泉内閣の時にはそれがあったが、段々骨抜きになった。

    官僚が省益ばかり求めるようになってしまった。
    今のご時世でもここだけが、いまだに終身雇用と身分保障をひたすら守ろうとしている。
    理想に燃えて役人になったとしても、省にプラスになることをしなければ出世出来ない構造上、次第にそうなっていくと。
    天下りはいったんは省からは斡旋することが出来ないと決められたが、とんでもないやり方で骨抜きに。
    退職後ではなく在職中に一般の会社に何年か出向することが出来るようになったのだ。
    その間、給料はその会社が支払う。
    専門の分野の実際的なことに明るくなるため?といっても…
    さらに、退職後にその会社に再就職することも出来ると。
    えーっ…

    そんなことじゃないかとは前からうすうす思っていたけど、これほどとは…
    内側からの観察なので何しろ具体的で、しかも文章もわかりやすい。これもけっこう、珍しい。政治家はわざとわかりにくく語ったりするから。

    では、どうしたらいいのか?
    世論を高めていけば、しぶしぶ動かざるを得ない場合も出てくると。
    ……官僚って、しぶといからなあ…

    とりあえず、この人の著作は皆何か読んだほうがいいのでは。
    テレビなどでも発言していて有名なのだろうけど。
    これだけですべてとも言えないだろうから、反論はあり得るでしょうね。
    個別にはともかく、全体的なことは否定出来ないんじゃ…

    日本人は大人しすぎるかもねえ。
    勢いがある人がたまにいると、そっちにつられてしまうのも、危険はあると思うんだけど…

  • 政治家がリーダーシップを取って、成長戦略を描く必要がある。
    が、今の政官の仕組みが既得権益を守り、改革を妨げるため、改革の本丸として公務員改革を推し進めるべき。

    大まかすぎるが、こういう主張だ。

    それにしても与謝野さんのディスられかたがすごかった笑

  • 官僚の組織について知識が薄いため少し難解でした。古賀さんの日本を思う気持ちがひしひしと伝わり、折れない強い心には感心します。官僚の中にこのような人がいてくれて大変うれしく思うと同時にこういう人が多数派になってくることを期待します。

  • 自らの利益のみにとらわれず、本当に日本全体の事を考えている古賀氏には敬服する。

    経済的なことでは、増税をはなから思い浮かべる政治家は分かっていない、あらゆる措置を講じて、それでもだめなら増税・・・というなら納得すると言っている点は同意であるし、何より、官僚の天下りを根絶することについては大賛成である。

    ただし、強力な構造改革を進め、小泉構造改革下のような状態になることには、賛成しかねる。失業者が多い現状や、成長する経済のなかで、その恩恵を被れなかった人が多くいたことは周知の事実である。

    著者は、アメリカなど先進国とあらゆることについて比較しているが、北欧のシステムなども比較対照としてもよかったのではないか。

    もともと新自由主義を唱えている方なので、高福祉高負担の北欧は眼中にないのかもしれないが・・・。

    • oyasuzumeさん
      この方は、テレビでは「官僚批判」だけが注目されていて、「新自由主義」については取り上げられていないのが残念です。
      この方は、テレビでは「官僚批判」だけが注目されていて、「新自由主義」については取り上げられていないのが残念です。
      2011/08/29
  • この著者は現役経産省の幹部でありながら、「官僚批判」をおこなっており、TVでも結構露出が増えている。現役の幹部が同じ官僚を批判するのだから、テレビをみている視聴者はこの著者に親近感を抱くはずだ。だが、この著書を読んでいくと、あの小泉・竹中コンビの「構造改革」と同じ線上の新自由主義論者とわかってくる。富めるものがより富を増やすことができれば、その「恩恵」は下層に「滴りおちてくる」式の論である。小泉元総理は「郵政」を悪者にしたて支持を得て、新自由主義政策を行ってきたが、この著者は「官僚」批判で支持を得て、力を失いかけた新自由主義の復活を狙っている。

  • 確かにこの国の中枢は崩壊しているのだろう。
    著者の新自由主義的ないくつかの政策についは異論もあるが、多くについては、なるほどと思う。TPPと農業に関する政策(逆農地改革)や、ダメな企業に退場していただくこと、これらは新自由主義ということとは関係なく、早くそうすべきだと思う。この国の経済の大問題は生産性の低さなのだから、そういう企業、組織には退場してもらうしかないのである。それらの既得権益を守ろうとしていることにこそ問題がある、というのは著者の指摘通りだろう。

     政治家はもう、こんな議論をすることも、未来を描くこともできず、ただ権力闘争するのみか? その権力の正しい行使の仕方も知らずに・・・。

     著者も官僚としては終わったのだから、政治家にもなってはどうか。

  • 官僚による官僚批判かと思いきや、大企業や農業従事者など既得権益を守ることに汲々とし日本の国力を弱めている人達を糾弾する、憂国の書。
    「日本の大企業は自分たちの使い勝手の良いように、細部にまでこだわった仕様を要求する。、、、、国際間競争では知らず知らずのうちにハンデを負ってしまっているという実態がある。」というくだりは考えさせる。モノ作り偏重の弊害を官僚から聞いたのは初めて。

  • 経産省の出先の実態(地方の国家公務員?)


    ●県庁にも対抗できない経済産業局 p129
    ・ブロックごとに設置されている九箇所の経産局には、平均的に200名前後が働いている

    ・担当業種の情報を得るために真っ先にすることは、県庁での情報収集

    ・ある局の職員の嘆き
    「どこの県も海外に人を送っているのに、うちは去年も今年も海外出張費はゼロ。予算がない。これじゃあ、到底、県には太刀打ちできません。

  • 原発事故をメイン題材に官僚の思考方法、政治家との関係、組織の問題、公務員法の問題点などに現役官僚としての考察、批判を記載した内容。

    この世界を知らないと実情が分かり参考になるが、主観的と思われる内容もあったため、逆の立場の人間の見解も聞いてみたい。

  • 古賀さんは

    ① 永田町と霞が関の機能障害と機能不全を事例を挙げて解き明かし
    ② いかに民主党政権が官僚、とくに財務省に取り込まれていったか
    ③ 首相がリーダーシップをとれば変えることができる例を、橋本政権、小泉政権を事例に説明
    ④ とはいえ、規制勢力、利権勢力と闘いを挑むのは並みの胆力と技術ではできない
    ⑤ そんな中で古賀さんはいかに敗れていったか。

    という軸で書いています。そのうえで最後に古賀さんなりに日本をよくする提案をいくつもしています。

    強大な権力と敗れた人が、なんでこんな提案を残すんだろう?って考えたのですが、古賀さんは真の日本のために働く強力なリーダー、首相の誕生を期待して、その未来の首相に託すためにこの提案を書いたんじゃないかなって思いました。

    失敗のできる社会
    やり直しの聞く社会

    2011年5月という震災から2か月後に上梓された本書。古賀さんは、震災よりも破壊力の大きい未曽有の危機が日本に迫っているといいます。そうなんでしょうね。

    古賀さんは経済産業省の官僚として行政の仕組みのエキスパート。日本を変革するにはこうした志をもった行政のエキスパートは絶対に必要。

    ただ、リーダーは官僚ではいけない。あらゆるリソースを説得できる、反対があってもひるまずリスクをとって進めるようなリーダ―が必要なんだと思いました。

    ーー
    組織で働く人という観点で読むと、

    能力のある人であっても

    判断して進めていく権限を与えられない
    上司が認めない
    活躍する場を与えられない

    の3つが起こればやはりモチベーションを失ってしまう。

    この3つは働く人にとって本当に必要なことだとあらためて思いました。

  • 978-4-06-217074-1 381p 2011.7.7 6刷

  • 元経済産業省の古賀さん、GE時代の藤森社長に会って話をしたエピソードもあった。OJT、幹部候補生の話。図書館で借りた本はP246まで。

  • 2011年の著作物ということで、ちょっと既知の部分もありましたが、東電の話しは参考になります。

  • 進化論


    【今日のお勧め本 日本中枢の崩壊】

      http://amazon.co.jp/o/ASIN/4062170744/2ndstagejp-22/ref=nosim


     を今朝、読み始めました。


    「日本の裏支配者が誰か教えよう」

     「政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?」

     「家族の生命を守るため、全日本人必読の書」


    さらに、

    「現役の経産省幹部が実名で証言」

     という刺激的な文字が帯に躍っており、
     おそるおそる、読み始めたのですが、、、

     そのまま一気に読み終えてしまいました。



    ■実名がバンバン登場する繊細な内容でもあり、
     いろいろ思うところもありましたが、

     私は評論家でもなければ、政治の専門家でも
     ないので、ここで所感を述べるのは控えておきます、、

  • 読みかけたけど、欺瞞と宣伝の匂いが強くて、途中放棄。
    こういう俺が俺がの本はどうも苦手

  • 思いは何となく分かるが読みづらい。

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著者プロフィール

1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議。09年末に経済産業省大臣官房付とされるも、11年4月には日本ではじめて東京電力の破綻処理策を提起した。その後、退職勧奨を受け同年9月に辞職。著書・メルマガを通じ活発に提言を続けている。『官邸の暴走』(KADOKAWA)、『日本を壊した霞が関の弱い人たち』(集英社)など著書の累計発行部数は100万部を超える。自身が企画・プロデュースし、本書が原案となったドキュメンタリー映画『妖怪の孫』が2023年3月に公開され、大きな話題を呼んだ。





「2023年 『分断と凋落の日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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