- Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062173704
作品紹介・あらすじ
野原実は、息子輝久の部屋に入り、机上に置かれた一冊の本を手に取った。『てるくはのる』。そのカバーを取ると、出てきたのは真っ白な本。その中に書かれていたのは、輝久が綴った、"帝王"によるいじめの記録だった。息子を狂気から守るため、実は己のすべてを懸けてひた走る。
感想・レビュー・書評
-
いじめに悩む中学生と、いじめの首謀者を突き止めようとする父親。実際にあった「てるくはのる」事件をモチーフに繰り広げられる、サスペンス感溢れるミステリ。いじめの詳細が描かれた日記にもなにやら企みがありそうで気を抜けません。なんせ折原さんだし。きっとこういうトリックだよね。
……と決め付けて読んでいたら、あらら、案外とシンプルでストレートだなあ。なるほどそういうことだったのか、と驚かされる部分も多少はあるけれど、思ったよりあっさりめで、拍子抜け。
……と甘く見て読んでいたら、最後の最後で驚愕パンチを喰らいました。うわわわ、まさかっ!? そういうことだったの!? やっぱり気を抜いてはいけなかったなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何年も前に購入して積読状態。数年前にようやく読み切り、ここに記録。
なかなかページを捲る指が進まず、当時苦労した覚えがあります。 -
少しとっつきにくい感じと、くどいくらいに登場するアナグラムに若干の抵抗がありましたが、読者を惹き込む吸引力は流石でした。
いくつかの着地点を想像できるような伏線の張り方が良いです。その想像を上回る真相が著者の真骨頂なのですが、若干パターン化されている真相なので、著者の作品を読んでいる読者なら予定調和な真相だと思います。
また、本作は実際あった事件を用いていますが、あまり本筋と連動していない気がしました。 -
てるくはのる事件を題材にした小説。ただ、事件の真相に鋭く迫っていこうという感じもなく、話の展開もゆるく緊迫感が無い。登場人物の描写が極端に弱く、会話が片言で、まるで思わせぶりなエッセイが続いているような感じだった。
出てくる登場人物たちは何かをやっていそうではあるが、別に大したことはやっておらず、もやもやしてるばかりな印象だったので、読後の爽快感もない。 -
野原実は息子の部屋で悩んでいた。机の上に置かれていた本を手にとったのだが、中身はなんと日記だったのだ。そしてそこには、”帝王”という者からいじめにあい、苦悩している息子の日々が綴られていた。
読むのが疲れたわりに、読後に印象が残らなかった。やっぱりトリックありきというか、そればかりが気になって読みにくく、結局種あかしされても「ややこしくなってただけだな」という感想に。自身もいじめに遭い、”てるくはのる事件”に影響を受けてしまった子供と、その父親とのやりとりを、もっとストレートに読みたかった。 -
折原作品のシリーズ「〜者」ではなく、しかも
書き下ろし作品との事で俄然興味があった今作。
叙述の名手にして、本当に犯人当てなどミステリ的な
満足度を満たしてくれる折原クオリティは、今作でも
ビシビシです。読み手がガチガチに意識をして、細部に
渡って目と意識を研ぎ澄ませて読んでいるのに、その
隙間や裏をかい潜って、罠を仕掛けてきます。
そして、その結果...やはりまんまと我々は
してやられるのです。
今作は99年、京都で実際に起った小学生殺害事件
「てるくはのる事件」をモチーフに、その模倣犯、
いじめ、事件を追うルポライター...etcの要素を
折原流で絡めていきつつ、中学生の日記という
スタイルで主に展開されていきます。もうこの
時点で折原氏のフィールドに引っ張り込まれていて
その術中にハマっているのですが、これがまた
読み易く、また真相を知りたいがために、手が
止まらない。
いじめ、中学生、日記...とくればミステリファンは
歌野晶午氏の「絶望ノート」を思い出しそうですが
全くの別モノですw。ある意味こちらの方が瞬発力と
その後味の悪さの破壊力は上...かもです。 -
著者の作品らしく、後半の展開は面白く読めました。
読み終わって思うのは、著者の作品に対して、自分は「騙された・驚かされた」という余韻に浸るために読んでいるようです。
叙述系の作品は映像にしにくいものですが、この作品は映像化されても面白いのでは?と思いました。 -
帝王の正体は、、、でしたか。
ラストはなるほど、と思ったがどうも「乗って」読めた気がしなかった。
あの、中弛み感はなんだったのだろう。とてもオススメできる作品ではないな、こりゃ。