ふたつの月の物語

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 530
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062178808

感想・レビュー・書評

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  • 月に秘められた秘密と愛。

    筋はなんとなく読めるけれど、それでもステキ。津田さんの選択がいい。みづきとあかりの能力というか、交流、成長がちょっと中途半端だったけど、だからといって、これをシリーズ化してほしいというのではなく。でも、一冊で収めるにはちょっと詰め込みすぎたのではないかな。RDGくらいの長さにしてもよかったと思う。

  • 富安さん大好きだー!
    しかも表紙が酒井さん!!
    雰囲気たっぷりで素敵です♪

    身寄りのない少女2人が、とある屋敷へと招かれる。
    彼女たちを里子にしようとしている女主人は、しかし、彼女たちと
    親しくしようとするつもりはないようで・・・・。
    自分たちは何のためにここに呼ばれたのか?
    その理由を探る2人は、悲しい過去と、女主人の本当の目的を知る・・・・。

    っといった感じのおはなしで、シノダシリーズとはまた違った魅力な一冊でした。
    どっちかってゆーとミステリー風味が強いかな。
    実は双子だったあかりとみずき。
    2人とも夜目がきき、他人にはいえない力を持っていた。
    みずきの、においの能力、については、においって・・・・。と
    おもしろい能力だなーっと思ったのだけれど、狼の神様系の力だと
    分かればなるほど、なっとくでした。
    お調子者のにおいがポップコーンってのがなんか楽しい。
    そして時の狭間をこえる力。
    ちらりちらりと見え隠れする過去と、津田さんの思惑はどうからんで
    くるのか、とどきどきしつつ、
    贄、とかゆー言葉もでてくるから、まさか、2人を生贄に孫を生き返らそうとでも??なーんて不吉な予感が結構ぎりぎりまでしてた。
    結果、本当にただの立会人だったので、ちょっと拍子抜けでしたが。
    現れた神様が、意外とひとつの人格(?)でいろいろちゃんと説明してくれたのが、なんか新鮮な感じ。神様って、有無を言わさぬ存在ってイメージで、いちいち説明してくれる、なんて思ってもみなかったので。
    津田さんの選択は、悲しいけれど、重い後悔を抱えていきるより、
    最後に笑顔で話をしたかったんだろうなあ。

    神様、かりにも自分の娘たちに、なにかひとことはないのかしら?っと
    ちょっと思ったりもして・・・・。

    あのとき、こうしていれば、ああしていれば、
    変えたい過去はいくらもあるけど、結局どうあってもここにたどり着くような
    気もする。
    でも、どうしても受け入れられない哀しみってのは、あるのかもなー。
    分かんないけど。

  • とても魅力的な物語だった。
    表紙は酒井駒子さんの挿画で、主役の二人の少女。夜の雰囲気がある素敵なもの。
    夏休みが舞台だけれど、あまり夏の印象がない。全体に満開の桜や、怪しげな夜の雰囲気が漂う。
    最後まで読むと、真の主役は二人の少女を引き取った津田さんという女性だとわかる。
    あかりとみづきが、自分たちがなぜダム湖に臨む別荘に連れてこられたか、津田という女性の真の目的が何なのか、探り出していく過程はミステリアスであるし、終盤の展開も納得のいくもの。
    ただ、真神の娘たちという魅力的な設定がもっと突っ込んで読めると良かった。あかりとみづきの不思議な能力は、確かに自分たちの素性を探るために役立つけれど、みづきの陰のある雰囲気や、あかりのちょっとおばかな向こう見ずさがもっと読みたかった気もする。

  • 生まれた時に捨てられ、養護施設で育った美月。容姿は美しいが、人より感覚が鋭く、友達をを作れず、孤立した毎日を送っている。
    育て親であったおじいちゃん(寺の住職)が亡くなり、行く宛がなくなった月明。
    そんな二人は、津田節子と出会う。14歳の、親のわからない、月の印のある子どもを捜していた津田。お金持ちの津田は、二人を養子候補にし、山奥の別荘へと招く。二人は、はじめて会うも、お互いの不思議な能力を知り、津田の思惑を探ってゆく。
    別荘は14年前にダムの底に沈んだ村の近くに建っており、別荘の使用人たちは、その村の神事をとりおこなう役割をもっていた者達だった。美月と月明の知った最後の神事とは。そして、津田の狙いは・・・


    酒井駒子の表紙の雰囲気のまんま、
    これまでの冨安陽子の作品とは違い、サスペンス仕立て。
    (あれ?酒井駒子のマジックにかかってるのかな?伝説に基づく物語、月明のキャラなど、冨安陽子の十八番ですね)


    津田が最後に叶えた願い。
    そして、
    最初と最後の養護施設での会話が効いてます。

  • 月と奇妙な手がかりと共に、里子候補として連れてこられた2人。
    そして差し出された驚くべき現実と
    藁にもすがりたいと実行された願い。

    親の事が出てきて、その人間にはありえない身体能力に
    納得でした。
    片方はともかく、もう片方は次元の問題ですし。

    しかしこれ、その『時点』に戻った時、行かなかった人達は
    パラレル、としてそこから未来を歩むのでしょうか?
    それとも世の中の全員が、そこまで戻ってしまうのでしょうか?
    そんな細かい事を気にしてはいけない、という説もありますが。

    何かを願う時、一時の感情に任せてしまうと
    とりかえしのつかない事になる、という教訓。
    しかし…あの人が選んだ未来は、それはそれで
    幸せなものかと思われます。

  • 酒井駒子さんのイラストの力を感じた一冊。富安さんの本は色々と読んだけど、いつもとはテイストが違うような感じがしました。カバー絵のせいか深読みしすぎたのか…途中まで本当に怖かったんです。最後はほっこり終わるので良かったのですが、別荘に潜む悲しみの謎とか、ダムに沈んだ村で行われていた神事とか、背筋がゾワっとなるような怖さがありました。絵が違ったらもっと軽く読めたのかなと思う反面、でもあのカバー絵がなかったらこのお話は成りたたなかっただろうなという気もします。まるで神話を読むような、とても神秘的な雰囲気の漂うお話でした。

  • カバーの酒井さんの絵の力ってすごいなって思いました。
    よく児童書のカバーを書いていますが、文章は違う人が書いているのになんだか似てる、本が持つ空気・・・
    不思議な感じです(・・;)

    富安さんも大好きな作家さんですが、いつもと感じが違うので驚きました(゜ロ゜;

  • 児童書だけど、楽しく読めた。
    ちゃんと最後まで書ききれていたので読後感はすっきりできる。
    不思議な能力を持った二人の女の子が主人公のファンタジーでした。

  • 身寄りのない二人の少女、美月と月明。
    ダムの底に沈んだ村の神事と、二人の出生の秘密について書かれている。
    小学中~高学年向きかな

  • 養護施設で育った美月と、育ての親を亡くしたばかりの月明、2人は実は別々の場所に置き去りにされた双子だった。14年前にダムの底に沈んだ村で行われた神事によって生まれた2人には、不思議な力があった。
    シリーズにできそうな話なのかと思っていたら、一話で完結しちゃった。でもなかなか面白かった。

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著者プロフィール

1959年生まれ。1991年『クヌギ林のザワザワ荘』(あかね書房)で第24回日本児童文学者協会賞新人賞、第40回小学館文学賞を受賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズ(偕成社)で第15回新美南吉児童文学賞を受賞、2001年『空へつづく神話』(偕成社)で第48回産経児童出版文化賞を受賞、『盆まねき』(偕成社)により2011年第49回野間児童文芸賞、2012年第59回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞、2021年『さくらの谷』(絵・松成真理子 偕成社)で第52回講談社絵本賞を受賞。絵本に「やまんばのむすめ まゆのおはなし」シリーズ(絵・降矢なな 福音館書店)、「オニのサラリーマン」シリーズ(絵・大島妙子 福音館書店)などがある。

「2023年 『そらうみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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