家族写真

著者 :
  • 講談社
3.40
  • (32)
  • (101)
  • (166)
  • (26)
  • (4)
本棚登録 : 752
感想 : 119
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183680

作品紹介・あらすじ

娘の結婚、加齢に肥満、マイホーム購入、父親の脳梗塞……家族に訪れる悲喜こもごもを、ときに痛快に、ときに切なく描き、笑ったあとにじんわり心に沁みてくる、これぞ荻原浩!の珠玉の家族小説。勝手でわがまま、見栄っ張り、失礼なことを平気で言って、うっとうしいけどいないと困る、愛すべき家族の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久々に荻原浩を読む。
    一時期はまったけれど、満腹になり遠のいていた。
    なんだ、いいじゃないか荻原さん。
    そうだよ、この感じ。
    哀愁の中にユーモアがあって。
    みんなそれぞれ悩みはあるけど、人生捨てたもんじゃないさ。
    ごめんね、ご無沙汰してて。

    家族にまつわる短編集。
    どれも捨てがたいけど、『磯野波平を探して』が良かった。
    54歳の男性が主人公なのだが、思いっきり感情移入してしまった。
    気付けば波平と同い年。
    そりゃあ驚くよね。
    「けしからん」「やぁ、失敬」「やめんか、馬鹿もん」なんて使わないもんね。
    で、訳もなく焦燥感に駆られた主人公が「年齢をあきらめない」ことをやめて波平を見習おうと決意するから面白い。
    いやー、笑った笑った。

    もう一つ『結婚しようよ』も良かったな。
    思わず吉田拓郎の曲YouTubeで聞いちゃったし(笑)
    全然同世代じゃないけど懐かしい。
    この頃の曲ってジーンときちゃう。
    私の世代だとロン毛はキムタクか江口にしか許されなかった(?)けど団塊の世代って素人もロン毛だったのね。
    「僕の髪が肩までのびて君と同じになったら結婚しようよ」
    なんて言われたらキモっ!ってのが正直なところだけど・・・。

    • vilureefさん
      nejidonさん、こんにちは!

      そうですか?私のレビューもいつもと違いますか!?(笑)
      やはりレビューの書き方も作品の雰囲気と同調してし...
      nejidonさん、こんにちは!

      そうですか?私のレビューもいつもと違いますか!?(笑)
      やはりレビューの書き方も作品の雰囲気と同調してしまいますね。
      そう考えると新聞書評委員てすごいですね。
      いつも冷静沈着で。

      私が好きなのは「押入れのちよ」かなぁ。
      これも短編集でしたね。
      もちろん「明日の記憶」も好きです!映画も良かったし。香川照之が名演だったな(笑)

      それにしてもみなさん図書館予約大変ですね。
      私、またしても新刊コーナーにポツンと置かれていたのでたまたま手にとったのです。
      ホント、申し訳ない(^_^;)
      2013/07/20
    • だいさん
      >もう一つ『結婚しようよ』も良かったな。
      思わず吉田拓郎の曲YouTubeで聞いちゃったし(笑)

      当時、結婚するという歌が結構沢山出...
      >もう一つ『結婚しようよ』も良かったな。
      思わず吉田拓郎の曲YouTubeで聞いちゃったし(笑)

      当時、結婚するという歌が結構沢山出ていたような気がするが…?皆が結婚したいと思っていたのかな?
      2013/07/27
    • vilureefさん
      だいさん、こんにちは。

      ”嫁にこないか~”って歌もこの時期ですか?
      加山雄三の曲もありましたよね?

      今より結婚に夢があった時代なんでしょ...
      だいさん、こんにちは。

      ”嫁にこないか~”って歌もこの時期ですか?
      加山雄三の曲もありましたよね?

      今より結婚に夢があった時代なんでしょうね(笑)
      2013/07/28
  • 「一番の幸せは、家の中にあります」
    「集まれば家族の数だけ笑顔が生まれる」
    「みんな一緒だと毎日が楽しい」
    とは、モデルルームのパンフレットのキャッチコピー

    リビングルームのソファに座り、父親は雑誌を開いている。母親は花柄のティーカップを手にやさしく微笑み、その横には二人の子供
    モデルルームのパンフレットのような家族。こんな家族だけが家族じゃない。家族の数だけ家族の形がある

    「そもそもうちの家庭は会話が少なすぎる。家族の団欒をしよう」と父親の号令のもと、いきなり渋滞の車の中でしりとりをさせられるはめになった家族 「しりとりの、り」

    瀬戸内の小さな写真館を守っていた頑固な父親が病に倒れた
    父の助手をしていた不登校の次女からの連絡により、家を飛び出していた長男や長女、長女の恋人が田舎に戻ってくる家族の再生
    の話 「家族写真」

    「サザエさん」の磯野波平54歳。生まれる前から存在する押しも押されぬ大オヤジ。その波平とまもなく同じ年になると焦り、悪戦苦闘するオヤジさんの話 「磯野波平を探して」

    その他、「結婚しようよ」「肉村さん一家176kg」「住宅見学会」「プラスチックファミリー」の全7編
    荻原さん独特の笑いも満載。

    結局、話の主人公たちは、それぞれ自分が長年すったもんだいろいろありながら、家族と築いてきた自分の家族、家庭が一番なんだという結論に至る
    もちろん私も

    ほら、ちょっと長旅をしていろいろ各地を回ってきて、家に着くなり、誰もが口にする第一声
    「ああ、やっぱり家が一番いいわ」
    あんな読後感だった

  • 家族を描いた短編集。
    どの物語もホロリとさせられ、温かい気持ちになる。
    派手さはないけど、じんわりじんわり、心にしみる。
    私は最初の「結婚しようよ」が好きです。

  • 色んな家族の温かく、クスッと笑える短編集

  • 笑いあり、ほっこりあり、涙あり。
    大好きな荻原さんの良さが詰まった、荻原さんらしい作品です。
    今回も期待を裏切られませんでした。
    特に、やはり中年男性の描写が上手ですね♪
    時間経ってもう一度読みたい感じです!

  • 程よい軽さと心地よさと、涙ぐむほどではないホロリ感。
    こういう適度な読み物も意外と良いなと思った。

  • 色んな家族の形を父親目線、男性目線からみた家族のお話。だからか、哀愁漂うお話多し。
    私がほんわか良かったのは『結婚しようよ』と『家族写真』。
    意外でおっと驚かされたのは、『しりとりの、り』。
    ⁇だったのは、『プラスティックファミリー』。
    初、荻原浩でしたが、なかなか楽しめました。

  • カッコ悪いお父さん、にあるある!と笑えるか、おいおい、勘弁してよ、となるか。 自分の人生はそんなにたいしたものではない、と絶望しているわけではなく感じる姿勢の潔さ、が荻原ワールド(#^.^#) ですね。.


    じたばた、どたばた、毎日を送りながら何者でもない自分として、年を取っていく。
    何かを成し遂げるわけでもなく、でも、向上心がゼロではないのだから、後悔することはたくさんあるんだけど、まぁ、それが自分の持ち分だよね、と、ほろ苦く思えるのが幸せかなぁ、なんて…。(#^.^#)

    ここらへんは、昭和の女には、案外すとんとくる人が多いのでは、と思うのだけど、
    男の人にはまた違った受け取り方があるのかも。
    特に昭和の男には、自尊心というものに仕事は欠かせない、となる傾向があるように思えるから。

    で、荻原さんの短篇集である「家族写真」。

    私は、妻目線で語られる「住宅見学会」が面白かった。
    憧れの“一戸建ての注文住宅のマイホーム”を手に入れるまでは、と
    ふと考えてみれば全て!!をなおざりにしてきたことを、
    南欧風のお洒落な住宅とそこに住まいする落ち着いた&セレブ(風の)夫婦+子ども一人を見て気づいてしまう妻。

    素敵な住宅に心弾みながらも、そこの奥さんが非常に若いことを見て、急に家に対しても点が辛くなる妻。
    しかも、年の話になったら実は奥さんは自分と同い年!

    年下だと思っていた時より、敗北感が濃いのはなぜだろう。

    と心の中でつぶやく妻の気持ちは、女なら誰だってわかりますよ!
    そして、終始、気が利かない(つまり、人がいい、と言える?(#^.^#))夫や、
    まさに豚児というべき、夫以上に場の空気が読めない息子。

    夫と息子を恥ずかしい、取り繕いたい、とその場で身もだえする妻の描写が、荻原さん、ホントに巧い!



    私の人生はこんなはずではなかった・・と、比べるものがあるから感じちゃうんだよね・・・・。
    うんうん、そこもわかるよぉ~~~。

    ネタバレです。





    ただ、その後の展開で、そのセレブ家庭には、大きな問題があることが判明するのだけど、
    それって必要だったのかなぁ。

    とことん庶民の妻が可哀想だからセレブ家庭の闇の部分を明るみにして、
    妻と読者の溜飲を下げさせた、という気がする。

    そこはちょっと匂わせるくらいの傷にして、
    でも、うちはうち!と、また節約の日々に戻っていく妻、とした方が
    私としては後味が悪くなくてよかったかな。

  • 私の中で、荻原浩さんと奥田英朗さんはとても似た作品を書くというイメージがある。本作のような家族ものについては特にそうだ。
    毒の効かせ方も似てるような気がするが、ちょっと奥田さんの方がじくじくとした感じかな。
    この「家族写真」という連作短編集には、キツイ毒はない。ほんのりとペーソスが漂っていて、読み終わるとじんわり哀しくなる。でも嫌な気持ちじゃない。
    50すぎのおじさんが主人公になっている作品が多いが、特に胸に染みたのは「プラスチック・ファミリー」だった。正気と狂気のあやうい境界線を歩いているようでいて、でもこんなふうに非生物に愛情を注ぐ行為は時に人を救うんだなと思う。ラストはとても切ないが、ほんのり光も感じられる。
    「しりとりの、り」は全編会話で進む面白い作品。「面白うてやがて悲しき」というテイストで、くすくす笑いながらもうっすら涙が滲む。
    ラストの「家族写真」は3人の子どもによるそれぞれの視点からみた家族の物語。現実の家族もこんなふうにバラバラで、でもどこかしらつながっているものなのかもしれない。
    「住宅見学会」の皮肉さは痛かったし、肉村さんの話は耳が痛かった。
    荻原浩さんははずれがないなあ。

  • 娘の結婚、加齢に肥満、マイホーム購入、父親の脳梗塞……
    家族に訪れる悲喜こもごもを、ときに痛快に、ときに切なく描き、笑ったあとにじんわり心に沁みてくる、これぞ荻原浩!の珠玉の家族小説。
    勝手でわがまま、見栄っ張り、失礼なことを平気で言って、うっとうしいけどいないと困る、愛すべき家族の物語。

全119件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

荻原浩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×