アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062184656

作品紹介・あらすじ

第一のラッパが吹き鳴らされると、日銀の資産を大幅に劣化させてまで誘導される激しいインフレが、政府と企業だけを救い、国民は大いに苦しめられた。
第二のラッパが吹き鳴らされると、大増税が始まり、アベノミクスへの期待効果によって生まれたわずかな株高などは簡単に吹き飛ばされた。
第三のラッパが吹き鳴らされると、TPP加盟によって美しい国土は荒れ地と化し、米国市場原理主義の猛威が日本社会を荒廃させた。
第四のラッパが吹き鳴らされると、活断層の上の原発がいつのまにか続々と再稼働し始め、人々は原発事故の悪夢に怯える日々を過ごした。
第五のラッパが吹き鳴らされると、血税を食い荒らすシロアリ官僚がますます増殖し、再び増額された巨大公共事業・役人利権予算に群がった。
第六のラッパが吹き鳴らされると、権 力の横暴を防ぎ止める役割を担っていたはずの憲法が、国家権力によって次々と都合よく改悪され、国民主権や基本的人権がないがしろにされた。
第七のラッパが吹き鳴らされると、憲法改悪によって戦争への道が切り開かれ、集団的自衛権の名のもとに日本が報復攻撃の対象とされ・・・・・・・

これは黙示録ではありません。近未来の日本の姿です。
アベノミクスの次にやってくるのは、アベノリスクの時代なのです。

感想・レビュー・書評

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  • 最近の政府は、国民を積極的に騙すようになった。

  • 今、読んでみるとちょうどいいかも、アベノミクスの負の面が詳しく書かれている。現実の経済がこの内容に近い状況になってきている事に不安を感じる

  • 安倍首相の7つのリスク=アベノリスク、すなわち、インフレ・消費税増税不況・TPP・原発・官僚天下り・憲法改正・戦争について、主権者(国民)の立場から、それらの危機の存在と、具体的対処法と活路を提示した本。
    アメリカの謀略、アメリカへの追随の真実と危険を特に鋭く指摘。

  • アベノミクス推進派、反対派、両者の著作を数冊読んでいる最中です。その中の1冊。「アベノミクス」といった場合、通常は安倍政権の経済政策を指しますが、本書は、政治にも強いエコノミストである植草氏だからこその、政治の裏事情を絡めた部分が大変興味深かったです。

    検察・警察と大蔵官僚、マスコミの裏事情に詳しい植草氏の主張は、どちらかと言えば新自由主義を支持している私であっても、うなづける点は多々あります。

    混合診療も、TPPも、自由競争も、基本的には賛成と思っている私ですが、いや、真実を知らないから賛成なのかもしれない、と感じさせられました。

    植草氏のいう「米・官・業・政・電」のペンタゴンが日本社会に与える影響の大きさは、無視できないことも納得できます。本書を読んで、メディアが流す情報を見分ける力がいかに大切か、を痛感しました。

    もっと、真実を知ろうとしなければいけないな、と思いました。本書では、何度も、「流布」「策略」「陰謀」という言葉が出てきます。植草氏が使ってこそ説得力のある言葉でしょう。

    特に、領土問題は、日中、日韓、日露、どれをとっても実はアメリカの圧力がカギを握っているということ。ニュースの表面だけを追っていては気づかない点がたくさんあるのだということに気づかされました。

    米国流が経済の主流であるグローバル社会では、米国の動向を注視しなければなりません。表立った動きのみならず、どのような意図が隠されているのか、という視点に立って、メディアの表舞台に出てこないニュースにも目配りする必要性を強く感じました。

    日米安保、領土問題関係の勉強をしてみたくなりました。

  • 先日(2013.7)参議院選挙が終わり、予想通り自民党が圧勝して、いわゆる両議院における「ねじれ現象」が久しぶりに解消しました。本来なら消費税増税を明確に打ち出している自民党に逆風が吹いてもおかしくなかったと思いますが、それ以外にも大きな問題(TPPや憲法改憲等)も上手にからめて、それが論点にならなかったせいでしょうか、それとも民主党の不信任が続いていたのかわかりませんが、自民党の思い通りになりました。

    これから次の衆議院選挙の3年後まで、この状態が続くので、政治家の舵取り次第では、今の日本は別の国になってしまうと警鐘を鳴らした本が、植草氏のかかれたこの本です。

    植草氏と言えば、以前はテレビのコメンテーターもしていましたが、警察に捕まる事件を2度ほど起こしてから、私の興味が少なっていましたが、最近本を書かれているようなのでこの本を手に取ってみました。

    原稿は参議院選挙の結果が出る前に書かれていますが、彼は、もし自民が圧勝することになったら、徐々に本当の地獄が始まるだろうと、7つの点から解説しています。ぞっとすることばかりで、その通りにならないことを願うばかりですが、最低あと10年は働かなければいけない私は、最悪のケースも想定した準備をしておく必要があり、真剣に読ませていただきました。

    私が、この本で最も驚いたのは、福島原発から放出された放射性物質は、日本政府がIAEAに出した報告書によれば、セシウム137の場合、広島原爆168発分(166)という記述でした。改めて今回の原発事故の恐ろしさを感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・自民党の比例代表選挙での絶対得票率は 16.0%(2009の民主党は 29.4%)であり、1996年以来の第一党の得票数としては最低である(p1)

    ・7つのアベノリスクは、インフレ・消費税増税不況・TPP・原発・官僚天下り温存・憲法改変・戦争、である(p3)

    ・株式益利回りと債券利回りを比較することで、日本の株価が適正であるかを判断する(p25)

    ・インフレを喜ぶのは企業のみ、インフレで売り上げが上がっても給料はすぐに上がらず、利益が増大する(p31)

    ・かつて日本政府は日銀から無制限にお金を借りてバラまいたので、お金の価値が無に帰したので、第二次世界大戦後1997年になって、日銀に強い独立性が付与された(p36)

    ・2014年から消費税の増税を実施するかどうかの最終判断は、2013年秋に決定され、参議院選の前ではない、この数字は8月に発表される(p65、81)

    ・この23年間の日本経済の特徴は、1)名目GDPが頭打ち(1997:523、1990-2012:475兆円程度)、2)日経株価、2013年は1986年の水準(p70)

    ・米国のサブプライムローンは 2000-2006年で150兆円程に増大した、これをベースにデリバティブ商品が売り出され、その規模は 60000兆(6京円)になった、1%の損失でも600兆円の損失(p87)

    ・国民経済計算という基本統計によれば、日本政府の負債は1000兆円だが、資産もあり2011年末では負債をわずかに上回っている(p91)

    ・国税は消費税導入時(1989)と異なり、消費税・所得税・法人税の割合はほぼ同じ、直間比率はすでに是正された(p99,101)

    ・安倍首相の最終目標は 2016年の衆参ダブル選挙での圧勝、2014年4月の増税後、次の増税は、2015年ではなく、2016年10月に先送りするだろう(p103)

    ・TPPは単なる関税撤廃協定ではない、21もの協議分野があり、関税はその1つ(p113)

    ・ISDSとは、ある外国資本が日本に投資をしたにもかかわらず、期待した利益を得られない場合に「日本制度に問題がある」として世界銀行傘下にある裁定機関に訴えて、その判断が強制力を持つというもの(p118)

    ・安倍首相は、1)聖域なき関税障壁を前提とする限りTPP交渉に参加しない、2)国民皆保険を維持する、の2点のみを強調した、参議院時に行った6つのうち2つのみ(p123)

    ・日本の国土のうち平地面積は3割、その4割が農耕地、これが農業によって美しく維持されている(p132)

    ・自民党の憲法改定草案において、天皇の位置づけが「象徴」から「元首」へ格上げされ、憲法擁護義務から外されている(p216)

    ・現在の憲法は、1946.4.10の衆議院選挙で選出された議会で審議され、1946.11.3に公布されたもの(p217)

    ・1956年の日ソ国交回復時に、歯舞色丹の2島変換で平和条約締結もありえたが、米国から沖縄を永遠に返還しないと言われた(p254)

    ・日本の独立と引き換えに、1)米軍の駐留、2)南西諸島・南方諸島の日本からの切り離し、があった(p262)

    2013年8月10日作成

  • http://numatta.tsukuba.ch/e229920.html

    たまにチェックする痴漢冤罪疑惑の植草一秀氏のブログ「知られざる真実」
    で、最近植草氏が作ったご尤もな新語「アベノリスク」が大当たり。
    アベノミクスで恩恵を受けている人たちはご存知の通りほんの一握りの人たちだけ。
    一番儲けている株投資家たちは約200万人なので残り1億2500万人の人は全く恩恵はゼロ。
    逆に円安になってガソリンや食料が値上がりしたのでその他の人たちはリスクだらけ。
    と云う訳でアベノミクスは殆どの人にはアベノリスクと云う話。

    そこへ来て来年春の消費増税が決定したら確実に不景気まっしぐら。
    でも莫迦な人が多いので来月の参院選は自民党に票を入れちゃうんだろうなぁ。
    というか対抗馬がいないっていうのがかなりの問題、どうなるニッポン?・・・・・

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、政策連合(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社)、『日本経済の黒い霧』『出る杭の世直し白書』(ビジネス社)など著書多数。

「2023年 『千載一遇の金融大波乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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