- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062192484
感想・レビュー・書評
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いつもの神林節
現代のようで、何かが違う不思議な世界で、内省的でコミ症害な主人公が、現実と妄想の区別がつかなくなっていく中で、くどくど独り言を続けていく物語
今回のユービックは野鼠?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
携帯型対空ミサイル「桜電改」が各家庭に配備され、個人を複製したかのようなアバターが存在する世界。
「The SF」て感じの話だった。前半は新しい世界の設定が頭に入り込んでくる感覚。最後は数ページで一気に着地。 -
文章が全く好みではないけれど、2回に分けて最後までなんとか読み終えた。ストーリー自体はなかなか面白い。映像化作品のほうが面白くなりそうであるので、アニメ化希望。
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各家庭に携帯型対空ミサイルがあり、ネット空間に各人の人工人格=アバターがいるという未来世界。主人公の仕事は本人の死後もネット内を徘徊するアバターを消去することだが、ある時彼の前に、死んだ父親のアバターが現れた…
利用者がネット内で育てた本人の分身のようなアバターというのが面白い。どこまでがリアルなのかバーチャルなのか、読み進むうちに判然としなくなる酩酊感。むかしディックがアンドロイドでやろうとしていたようなことをアバターでやっている感じで、ネットが身近な今だからこそ説得力を持って迫ってくるストーリーである。
神林SFは久しぶりに読んだけどやっぱりいいわ。 -
これはリアルなのかネットなのか。混乱する主人公に、アイデンティティの喪失だの、その区別は本質的ではないだの茶化して、読者共々、混乱にさらに拍車をかける"親父"。それっぽいこと言ってるだけで結局好きなことしているだけという、この"親父"に対する嫌悪感がMaxのところで、「えっそういうこと!?」と納得しかけるラスト。描写や表現はちょっと加齢臭がするのはご愛嬌。
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なんだこれ!すごい!!「いま集合的無意識を、」のアンサー的なものなんだろうと考えてはいたけど、いきなりまず「イルカの森」(短篇集「言葉使い師」の中の一編。初出は1983年1月)のエピグラフ(人生とは記憶である/だれの言葉だったか/もう忘れてしまった)に触れる形で始まってひっくり返った。「そんなデビュー直後の作品まで巻き戻して何を書くつもりなんだ!!」って盛り上がって。そうなると読者なんて勝手なもので、これまで読んできた神林作品(記録?)の片鱗を見出そうとしちゃったりするのね。(未読のものもまだまだあるけど)でもそんなことは関係なく、すごくおもしろかった!!すごく好き。
基本的には「帝王の殻」最新版、という感触。もちろん「いま集合的~」を受けている部分はすごく大きいのはわかるんだけど…。ネットアバターはPABと秋沙ネット。親子間の自立と他者認識のための闘い。「帝王の殻」大好きで、現在進行形で親子三世代で他者の認識が曖昧で&過干渉と妄想で恨みループしている私には、本当に心強い自立の物語のうちのひとつになるだろう。何度も読もう。どこがおかしいのか、どこまでが自分なのか、考えるために。闘いだなぁ。そういう意図で書かれたものではないとしても、救いなのだ。
どうでもいいけど、オーデン改(制式名・桜電32型、携帯型対空ミサイル)を「絶対痩せるぞ」(発射安全装置解除の合言葉)の掛け声でぶっ放す係長(信州は安曇平市役所の電算課電子文書係の女子。主人公の後輩上司)、可愛すぎてキュン死した。どういうことなの!絶対痩せるぞ!そして酒の肴とカレーには信州名物ビタミンちくわ。覚えた。
【読後翌日追記】「あなたの息子じゃない」で鬱展開系かと思ったけど、「だれの、息子でもない」が結構アホでやられたな!と思った。(褒め言葉)意識パートとのギャップがすごいのがまた笑いを誘う!アンブロにアプロ突っ込んだみたいで。うーん、大好きだな!