- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062200523
感想・レビュー・書評
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「書名」と「装丁」に惹かれて
手に取ってみました
「会社員小説」という括りがあることを
初めて知りました。
今まで、「会社」という組織に属したことがないので
とても興味深く読み進めさせてもらいました。
ニッポンの会社員はつくづく大変であることを
今更ながら、痛感させられました。
この小説に描かれている情景が
今の日本の平均的な「会社」の姿であるとするなら
これからの「会社」を目指す若者たちは
さぁ どんな未来像をつくっていくのだろう
と 思ってしまいました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
九州の本社から子会社に出向となった乾は、外資系コンサルタントから転身した笹島彩夏と新規事業室で営業補助システムを立ち上げることになる。社内の協力を得られず孤立した二人の葛藤を描きながら、会社という組織で働き続けることの難しさが伝わってくる作品。
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作者が『会社員とは何者か?――会社員小説をめぐって』で展開している論を、見事に小説へと昇華しています。
たとえば、源氏鶏太「英語屋さん」論において注目していた英語屋さんの社内でのヌエ的な立ち位置を、本作では子会社へと出向している男、その子会社に関連企業から派遣されている女という形で、再現させています。
また、会社員小説を書くときに私生活を紋切り型に描かないという課題にも、柔軟に取り組んで書いているのが伝わってきます。作者の作品を愛読してきた読者としては、現時点での集大成と思わせてくれる快作でした。