- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062208437
作品紹介・あらすじ
川端康成、サリンジャーなどのテキストをモチーフに、小説としての企みもふんだんに盛り込んだ、注目の若手作家の第二作。
感想・レビュー・書評
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なにかで書評をみて気になって。中編がふたつ。
「本物の読書家」は、川端康成から手紙をもらったことがあるという大叔父から、彼を老人ホームまで送り届けるという体でその真相を聞かされるつもりだった青年が主人公。
しかしその鈍行列車の車内で、関西弁のミステリアスな男に絡まれて--という話。
川端やカフカといった文豪のエピソードに導かれるように、本物の読書家とはなんなのか?と考えさせられました。
「事実は小説より奇なり」に対するアンチテーゼ。その事実の構成員に本物の読書家は決して含まれない。本物の読書家は事実の中に棲まうことを拒否する。言うなれば異邦人なのだ。
「未熟な同感者」は、とある文学ゼミで集まった4人の大学生のほろ苦い青春のようなもの。
難解な論文や文献の引用が多く、まるで私まで教授の講義を聴いているようでした。
こちらの題材はサリンジャー。書くことってなに?読むことってなに?という読書の本質を問い質してきます。
「読む」とは「書く」と同じ強度でそれを自動詞として体験すること。うーんむずかしい。
大学生4人の人物造形が魅力的でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2篇収録されていて、もう1篇の『未熟な同感者』の方が私は面白かったです。構成とテーマと書き方どれも新しく、作中の講義内容がとても興味深かった!ほぼ全部を引用したいほどです。講義のテーマの中心人物となるのはサリンジャー。有名すぎて読んでいないので(有名な作家を読むのは何だか恥ずかしい気分になります)これを機に読んでみたくなりました。
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現代小説だね、完全な同感者は。
本物の読者家も、何かどっかに行ってしまった。
語り手は、ちょっとよじれた。 -
乗代さんの本を全部読もうと思い、2冊目。中編二つあるが、特に「未熟な同感者」にぐっとくる。書くこと、読むこと、がテーマになるのはいつもなのだろうか。サリンジャー、ボヴァリー夫人、など引用されつつゼミが舞台で、文系ゼミの鬱屈と楽しさを思い出す。
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ここ数年芥川賞候補作になった著者の未読作を読了。今年おすすめの文庫になっていたので。関西弁の男が出てきた表題作と、主人公の文学作品を読み解くゼミの話。後者の作品が気持ち悪くて無理。女性の描写がちょっと。前者も面白く読めたけどもついていけず。
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本物の読書家ではない私としては、なんだか難しかったな…
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奥の奥