姿勢のふしぎ―しなやかな体と心が健康をつくる (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062572231

作品紹介・あらすじ

はじまりは、脳性マヒの人の動かないはずの手が催眠術で動くことの発見だった!催眠術なしでこの動きを保つにはどうすればよいか?これを追究する中で開発されてきた「臨床動作法」は、肢体不自由者の体の動きの向上はもちろん、健常者、高齢者の体調を整え、リハビリに有効なばかりか、スポーツ競技者の身体意識を高め、うつ病やノイローゼなどの心理的不調の改善にきわめて効果的であった。


はじまりは、脳性マヒの人の動かないはずの手が催眠術で動くことの発見だった!
催眠術なしでこの動きを保つにはどうすればよいか?これを追究する中で開発されてきた「臨床動作法」は、肢体不自由者の体の動きの向上はもちろん、健常者、高齢者の体調を整え、リハビリに有効なばかりか、スポーツ競技者の身体意識を高め、うつ病やノイローゼなどの心理的不調の改善にきわめて効果的であった。

感想・レビュー・書評

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  • 心身一如という教えを理解したいと
    いろいろと検索しているうちにこの本を見つける

    動作とは心理現象である
    主体的に動こうという心理活動から始まり
    からだの生理過程を活動させ
    結果としてはじめて身体運動という現象が起こる

    脳性まひの子供が自由に体を動かせないのは
    からだを動かす心理現象がうまくいっていないため

    脳性まひで動かないはずの腕が睡眠中に自由に動いていることに着目して
    成瀬先生は動作法という分野を開拓する

    研究過程を読んでいるだけでも面白い
    まったく理系の頭脳をもたない私でも理解できるよう
    書かれている

    この研究が脳性まひの子供たちだけでなく
    五十肩 腰痛 肩こりなどに悩まされている現代人にも効果があることが実証される

    自分のからだを思いどおりに動かせていると思い込んでいるが
    実はそうではないことを思い知らされる

    そしてそれを阻む不当な緊張を自らといていく方法も解説されている

    実践編の「リラクセーション」も読んでみよう

  • 姿勢をばかにしていたが、姿勢を正すことによってこそ、内面も正される。
    昔から、自分の手を伸ばした先に物がなく僅かにずれていることがあった。自分がおかしいのかとずっと悩んでいた。どうやら姿勢が悪いことが原因らしい。本書を読んでようやく気付くことができた。
    病院に通おうと思う。

  • 脳性マヒのひとの身体を動かしていくことを中心にかかれてあった。でも健常者にとっての身体の使い方のヒントにもなる。伸ばしていく感じ、力の感じなど自分の身体への働きかけにより身体で実感できる。最後の方に腰痛治しや四十肩五十肩治しなどの簡単な動作法が示されており家族に試してみたいかも。

  • 動作と心の関係。体・動き・心(精神)の連動。
    動物としての野性に生きる力あり。
    動作は学習。誤った学習を消去し,適切な学習を行う際の援助方法としての動作法か?一人では難しいからこそトレイナーへの信頼・受容が肝要。
    多くの人は正しい姿勢を知らない?

  • NDC(9版) 493.72 : 内科学

  • 脳性まひのリハビリの内容で、タイトルから期待した内容ではなかった。
    同じことを繰り返し述べているだけで、中身としても浅い。
    自分の行っているリハビリ団体の宣伝という位置づけの本なのかな、と思ってしまった。
    そして、古い。
    1998年の本だからだろうか、著者が年配の方だからだろうか、今やそんなことわかってるよ、ということがほとんどだったように思う。
    当時、リハビリという概念が薄かった時代に、この方法を開拓した、ということに意義があるのだろう。

    ひとつ、参考になったのは、P100 の、筋の弛緩を、あんまや指圧などの物理的・薬物的・外科的手術に依存すると、その場限りの筋弛緩には役立つが、刺激がなくなれば元に戻る、かえって刺激に対する体の体制も高まってしまう。
    だから、自分で弛める自己弛緩が大切だ、というところ。
    これは、脳性まひの人に限ったことではないかもしれない、と思った。

    【memo】
    脳性まひの人の体は、訓練によって動くようになってゆく。
    動かさないと、どんどん動かなくなる。

  • 脳性麻痺の子どもたちとの関わりから、身体について書いた本。
    動作法という。

    メディカルや、ボディワーク関係の専門的な知識を持った人ではない視点ってのが、不思議な感じ。

  • 心理治療に動作法をとりいれるところの考察が勉強になった。
    この本が書かれた以降、どのように成瀬先生の研究が発展したのか読んでみたい。
    具体的な動作は、付録がついているのでそちらを参考に筋肉の弛め方が実践出来た。

  • 成瀬悟策によって開発された臨床動作法。
    もともと脳性麻痺や肢体不自由者のためのもの。
    筋を弛緩させること、それも自分で弛める感じを主体的に
    味わって行うことがポイント。
    やがて、自閉症や精神疾患者にも適用されるように。

    単に、動作がうまく行えるようになるだけでなく、
    二次的に、心に影響する。
    自己肯定感が得られる。

    現在では、加齢による体の不調や、それに伴う心の不調まで、
    幅広く治療対象となっている。

    セラピストがクライアントを補助、援助する関係。

  • 心身の衰えを防ぐために姿勢は大切。
    事例として脳性まひ症状が出ているが、健常であっても姿勢は大切。

  • [ 内容 ]


    [ 目次 ]
    1 動かないはずの手が動いた
    2 自分のからだが動かせるためには
    3 姿勢が人の心をつちかう
    4 動作法の展開
    5 心理治療としての動作法
    6 今後の発展

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 著者の成瀬悟策先生の研究は、脳性マヒの患者さんから始まりました。脳性マヒは出産時やその前後の発達中に脳に生じた病変で、随意筋のコントロールがうまくできないため、動作がぎこちなくなり、肢体不自由になることを指します。脳の病変のため、悪化はしないものの、それ以上の回復の見込みはないとされています。そのため解剖学的アプローチと、神経生理学的アプローチをするくらいしか対処法がないとされていますが、それらのアプローチも、十分に効果を出しきれていない面もあります。
     成瀬先生は、あるとき、脳性マヒの子供が、睡眠中に自由に寝返りを打っていることに気がつきました。睡眠という最もリラックスした状態では、脳性マヒの影響が出ていない・・・その姿を見て、成瀬先生は脳性マヒの心理面に注目し、催眠状態でのリラクゼーションと身体の関係を追究し、さらに催眠状態でなくても、リラクゼーションをすることによって、身体に大きな影響が与えられることを体系化していきました。そしてその体系は、脳性マヒの患者さんだけではなく、一般的な健康の問題、心の問題、またスポーツ競技にも応用が可能なところまで広がっています。
     鍼灸師のところにいらっしゃる患者さんで多い症状は、肩こりや腰痛、肩の痛みなどですが、これらは姿勢の悪さや、過度の緊張が継続していることから来ることも少なくありません。また、その姿勢の悪さや緊張は、リラクゼーションができないという心理面から来ることも少なくありません。その両者の改善を鍼灸も目指すわけですが、成瀬先生が提唱する動作法は、それを補う手法にもなりますし、また、動作法を直接しなくても、この手法の根底にある思想は、治療や患者さんへのアドバイスにも大きな指針を与えてくれます。
     この本は講談社のブルーバックスという小さい新書ですが、成瀬先生の研究の過程と、その成果、そして先生の患者さんへの優しい眼差しが詰め込まれた、とても大きな価値ある本です。

  •  (要約)人は無意識のうちに肩や腰などに強い緊張を起こしていて、それが動作の困難(脳性マヒ)や痛み(肩こり、腰痛)、悪い姿勢(猫背)等の原因となっている。この緊張を意識的にリラックスさせ、自分の体を意識的に動かす訓練をすることで、これらの問題を解決することができる。また、同じ訓練が発達障害や統合失調症の人たちの社会性の向上にも役立つ。

     心理学は科学ではないとはよく聞くけれど、それをまざまざと見せつけられた。抽象的な表現が多く、具体的にどういうことなのかを推測できる記述が前後にない。著者の感覚が主観で述べられているだけ。あんまりなので、憂さ晴らしに引用する:

    初めて立てるようになった当座は、とにかく自分のまわりに存在する三次元の空間を認知し、それに対応するするため体軸に頼らなければなりませんが、時間の経過に伴って、この体軸が自分自身のよりどころとしての自体軸となって、外界が自分の中でそれぞれのものとして位置づけられてくるにしたがい、彼の心の中で、自分のおかれている外界全体が四次元世界として構成されてきます。(p.86-87)

    「自体軸」って何だよ、いきなり出てくるし、「体軸」とどう違うんだよ。それに「四次元世界」って何?SFなの?意味わかんない。

     そういう訳で、客観的に評価できないんだけれど、本当だとしたら有用な知見だと思う。

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著者プロフィール

成瀬 悟策(なるせ ごさく)
1924年岐阜県生まれ。医学博士、臨床心理士第1号。九州大学名誉教授。日本リハビリテイション心理学会名誉理事長。日本臨床動作学会名誉会長。
1950年に東京文理科大学心理学科を卒業後、東京教育大学助手・講師、1962年から九州大学教育学部助教授をへて同教授。1989年から九州女子大学・九州女子短期大学の学長を経て、2004年から2009年まで、吉備国際大学教授、吉備国際大学大学院教授を務める。日本催眠医学心理学会理事長・日本心理臨床学会理事長・日本リハビリテイション心理学会理事長などを歴任。2019年8月3日、95歳で逝去。
著書に『催眠面接の技術』『催眠面接法』『動作訓練の理論』『動作療法』『動作のこころ』(いずれも誠信書房)、『臨床動作学基礎』(学苑社)、『姿勢のふしぎ』(講談社)ほか多数。

「2022年 『どこへ行こうか、心理療法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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