- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062575102
作品紹介・あらすじ
読んでわかるから面白い!現代人に必須の科学的素養が身につく検定外高校地学教科書。
感想・レビュー・書評
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岩石や鉱物からはじまり、
火山や地震とそれらに関連するプレートテクトニクスへと続き、
地表はどうやって変化していくものなのかについても考えていきます。
それから、生命の誕生の話へと場面は転換します。
地球環境の変遷をたどりながら、
どうやって地球環境が作用して生命が生まれ、進化してきたのかを古代から追います。
そこで語られる、古来から何度か地球が経ている温暖化と寒冷化にも話は及び、
気象や海洋についての知見についての解説へと繋がっていく。
最後に、太陽系と銀河や宇宙、
そしてビッグバン理論とインフレーション理論から宇宙の始まりについて学んで終わります。
構成がよく考えられていて、流れるように読んでいけます。
そればかりか、地球システムというものは、
陸・海・空・地下・太陽などのはたらきが相互に影響をして、
複雑にからみあって地球環境を成していることがわかり、
さながら、芸術的な奇跡のようにすら感じました。
一筋縄では出来ていなくて、だからこそ、しなやかで強靭でもあるし、
逆に繊細である、とも見ることができます。
トピックとしては、
恐竜のいた頃には二酸化炭素の濃度は今よりもずっと高く、
北極も南極も(今とは別の位置に両極があったのですが)凍てついてなかったことや、
大気をかきまわすジェット気流が台風なんて目でもないくらい強風だということ、
波は風が引き起こすこと、
人体を構成する元素の割合が、
生命誕生のホームである海すなわち海水を構成する元素の割合と似ていること
などなどがあったなあと浮かんできますが、
それらについてもさらに一歩、「なぜか?」のもとに掘り進んでいくので、
読み進めると「うーん!なるほど!」と深い息が出るくらいです。
興味深くもなかなか難しかったのは気象についての箇所で、
高気圧や低気圧についてはついていけても、
「コリオリの力」なんかがでてくるとてこずりました。
こういうところは、読解の論理力とイメージ力が問われるんです。
本書を読了すると、
世界のダイナミックさを垣間見ることができたその気持ちが、
宇宙の果てまで広がるような感覚を覚えました。
世界を知るということは、
もしかすると世界との一体感のようなものを
持つことができるようなものなのかもしれないです。
科学を勉強することで、ある種の宗教的な感覚が生じるんですねえ。
また、学ぶことの爽快感が得られもしました。
いろいろ学び直したり知ったりすることってやっぱりいいものですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大人になって、いろいろ気が付くことがある。
その一つが「もっと勉強しておけばよかった…」というもの。
さて、僕は大学に通っていた頃、よその学部の単位も取らなければならないという事情もあって、ずっと興味のあった「気象学」を受講したことがある。ばりばりの理学部の授業である。
高校で地学を勉強していないので、まるでわからない言葉がどんどん出てきて苦労したことを覚えている。高校では受験の都合で地学は教えずに化学を熱心に教えていた。
大人になって、こういう地学の入門書を読むと、地球ってそうなっていたのか、大気ってそういう構造になっていたのか、といろいろ気が付き、とても面白い。 -
10年くらい前に購入した本。
地学履修者が周りに居なかったが、自分は少しだけ興味があったので、高校地学ではどんな範囲をやるんだろう?と思い読んだ。
購入した当初の印象は「岩石の名前を覚えさせられる」と感じたが、年数が経過して今読むと、宇宙や海洋などは興味深いなぁと思って読める。 -
重要論点について、分かりやすく解説。
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献本していただき、一通りざっと目を通しましたので、レビューいたします。
私は、大学を卒業したのは遥か昔のことであり、受験の際も物理と化学を選択したので、地学を一生懸命に勉強したことはありません。
薬学部出身なので、生物はある程度勉強しており、やっていない地学の知識を身につけたいと思い、地学の本を献本希望しました。
全部で9章に分けて、地球の構造、地震のメカニズム、地形、地球史、気象、地球環境、宇宙に関する理論や知見等について説明されており、各章はさらに読みやすい分量の幾つかの節に分けられています。
節の最初には、導入部として、その節に関する択一式の問があります。
説明の内容は、教科書的な知識の羅列ではなく、読者に語りかけるように書かれており、地理・歴史・暮らしなどの関連する話題を盛り込み、ストーリー性のある読物風になっているので、飽きることなく、楽しく読み進めていくことができました。
「洗面台にためた水が渦をつくりながら吸い込まれていくのと同じ原理で、……」といった、巧みな比喩が多く使われいるのも、イメージがつかみやすくて、良かったです。
ただし、私の基礎知識が不足しているせいか、すべてが理解できたわけではなく、読み返してもイメージがつかめない箇所も所々ありました(「大気と水が織りなす気象」の章などで)。
挿入されているコラムも、興味深い内容であり、息抜き、アクセントになっています。
個人的に印象深かった事項として、甚大な被害をもたらす地震にはマイナスのイメージしか持っていなかったのですが、「地震は地球内部を照らすサーチライトになる」と、プラスの価値が示されていた点は、目から鱗でした。
また、他には、
「私たちはいまだに体内に『海』を持っているのである」
「私たちは、星から生まれてきた『星の子』なのである」
「宇宙のしくみを知るということ―それは、自分自身を探す旅に他ならないのである」
という文が印象に残りました。
近年、大規模災害が多発し、防災への関心が高まっていますが、本書には防災に関する記述が随所に盛り込まれており、地学が防災と密接な関わりを持っていることを認識しました。
また、地球や宇宙のことを知ることが、自分自身を知ることにつながるという視点が面白いと感じました。
地球や宇宙に関しては、日々新しい知見が得られていますので、今後、適宜改訂を行っていただき、長く読み続けられる書物になることを期待します。 -
地学は理科の4分野の中では一番存在感が薄いのだが2012年度から高校で理科のうち3科目以上選ばなくならなくなってからは、多少復権しているようである。私も高一の時、理科1の一部として履修しただけなので断片的にしか理解できていなかったが、この本を読んで、我々が住む地球について理解が深まった。面白かったのが地球の熱収支の話で地球は赤道付近で熱を多く吸収するが放射の方は極と赤道であまり変わらないという。その収支を補うために、地球は空気、水、地面で対流し熱を赤道から極に運んでいると聞いてなるほどなと思った。
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読んでわかるから面白い! 現代人に必須の科学的素養が身につく検定外高校地学教科書。
地学を勉強したのは30年前、高1の理科Ⅰでの1年間だけでした。地学自体は好きだったんですが、生物がメイン担当の先生がやむをえず(?)授業をしていたこともあり、モヤッとしたまま終わった記憶が・・・。本書は地球の構造、生命の進化、気象、海洋、太陽系、銀河系と多岐にわたる分野について、30年間の新知見も取り入れて、丁寧な説明、「読んでわかること」を最重要視して作られています。高校生のときに理解した気になっていたことや全然わかっていなかったことが、「なるほど~!」と膝を打ちながら楽しく勉強できました。大人になった今だから面白いのかもしれませんが、いい『教科書』に出会えました。 -
これは楽しい。地学ってこんなに楽しいんだと感じさせてくれる本。履修率が低い地学だけに、一般の人にもっと読んでもらいたい。
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地学は主に地球という身体を扱う。また、地球環境は閉鎖的に安定していて[p257 閉鎖系]その中で生活しているのだが、それはほんの氷山の一角にすぎない。宇宙はもとより、地球の内側にも気の遠くなるぐらい未知の領域が残されている(深海など[p228 数千メートル以下の深海はまだ何も知らない])。おおまかにみて、地球は地軸を傾けて自転し、太陽の周りを奇跡的な距離をとってまわっていること、また、じつは月に振り回されているということ[p237-238]が環境を決定しているといえようか。