死なないやつら (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
3.80
  • (26)
  • (43)
  • (30)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 454
感想 : 56
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578448

作品紹介・あらすじ

生命とは何か? かつて多くの賢者が考えあぐねてきたこの根源的な問いに、私たちはいまだに答えることができません。
ならば、極端な「エッジ」を眺めてその本質をあぶりだしてみよう、というのが本書の出発点です。
超高温、超高塩分、強度の放射線、強度の重力……
過酷な環境をものともしない「極限生物」たちの驚異的なたくましさは、過剰としかいいようがありません。
ヒトの致死量の1000倍以上の放射線に耐えるやつ、地球上に存在しない強烈な重力に耐えるやつ…思わず「その能力、いらんやろ?」とツッコみたくなります。
わずか1マイクロメートルほどの微生物にすぎない彼ら、小さなチャンピオンたちを見ていると
「いったいなぜこんな進化をとげたのか?」という疑問にとりつかれ、「生命」がますますわからなくなってきます。
そして、人類は本当に地球でもっとも進化した生物なのかどうかも、怪しく思えてきます。地球最強の生物は「ハロモナス」かもしれません!
しかし、実はこの「わけのわからなさ」にこそ生命の本質があります。
酸化も還元もしない「不安定な炭素化合物」であるにもかかわらず、生命が地球上で40億年も続いてきた謎の答えがあるのです。
なぜ宇宙に生命ができたのか? これから私たちはどう進化していくのか? 
次々に突きつけられる問いを考えていくうちに、生命についての見方がまったく変わってしまう経験があなたを待っています。
世界中の極限環境を歩いた「科学界のインディ・ジョーンズ」の面目躍如、文句なしに面白くてエキサイティングな生命論です!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 未所蔵

    先生おすすめ本('24.4 ビブリオバトル教員大会)

  • おもしろかった。
    進化の本質は「結果オーライ」とのこと。とてもわかりやすい。
    「きりんの首は、高いところにある葉を食べるために長くなった」というような、よくある目的論的な捉え方は間違い。
    たまたま遺伝子の突然変異で首の長くなったきりんが高いところにある葉を食べることによって生き延びることができてきただけのこと。なるほど。よくわかった。

    しかし生命が彗星からやってきたという仮説は大胆すぎやしないか。

    内容のおもしろさに比べて、タイトルが軽い。もったいない。

  • 目次
    はじめに
    第1章 「生命とは何か」とは何か
    第2章 極限生物からみた生命
    第3章 進化とは何か
    第4章 遺伝子からみた生命
    第5章 宇宙にとって生命とは何か
    おわりに

    いやー、コレ面白かった( ´∀` )
    生命の神秘だなぁ.
    オートクレーブの設定温度がなぜ123℃なのか、!と思った.

    極限の状態で生きる細菌のその脅威の能力をみると、一見無駄に高い能力のようなきもするけど、ふと、今の地球の状態がこのまま永遠に続くわけではなくて、水がない世界になるかもしれないし、放射能ががんがん降り注ぐような世界になるかもしれないので、そういった極限の状態でも生き残ることができるようになっているのかなと思った.人間なんてよわっちいもんだ.

    自分の考え的には、物理学者的だったなと思う.ある条件が満たされれば生命は誕生するもんだと思っていた.だから地球外にも生命体はいるだろうと思っていた.この考えは完全に覆されたわけではないけれど、そんな簡単なものではない、考えを改めた.宝くじを全部買うくらいの投資をしないと当たらないものらしい.おおぅ.

  • ある分野で最強の極限生物のカタログをつくりたくて、ひもとく。

    ・高温、低温、X線に耐えるクマムシ
    ・その上を行くネムリユスリカ
    ・メタノピュルス・カンドレリ:122度の高温
    ・大腸菌:2万気圧
    ・真空で生きるボツリヌス菌
    ・ハロモナス・ティタニカエ:鉄を食べる
    ・ハロモナス:30%塩水
    ・デイノコッカス・ラジオデュランス:6千万マイクロシーベルト
    ・ハロバチルス:2億5000万年生きている
    ・パラコッカス・デニトリフィカンス:40万G
    ・セキユバエの幼虫。石油の中で生きる。

  • 生命ってすごいなあ。どうして存在するのかなんてそんなに考えることないけれど、バクテリアや細菌から人間まで全て同じものからの枝分かれしているらしいですよ。奇跡的に強い生命が生まれて運がとにかく良くて危機を潜り抜けて無数の枝分かれをして今に至る。凄すぎて想像つかないですね。
    必要が無い環境に居るのに極限に耐えるある種の微生物たちがこの本の主役ですが、クマムシ以外にもこんなに沢山いるとは驚きです。それに比べると順調に進化したはずの我々の脆弱さよ・・・。
    この間人類についての本も読んで、人類みな兄弟という事がわかりましたが、この本を読むと、もはや生命みな兄弟ですね。

  • 生物学ではなく生命学、バイオロジーではなくメタバイオロジー、という著者のこだわりは、わかったようなわからないような。それがさらに、高熱や高圧力、高塩分といった極限環境で生きる生命への考察につながっていく理由もいまいちよくわからない。が、「共進化」「共生進化」「進化論の進化」の紹介はわかりやすく、いろいろな本を読んで頭の中でこんがらがっていた事柄の一部が整理された気分になった。
    葉緑素も、消化器官も持たない「チューブワーム」は変な生き物だなあ、と思っていたが、著者によるとミトコンドリア、葉緑素に続く、第三の共生進化の実例なんだそうだ。生物学にとってはどえらい発見だ。
    生命の定義の議論がたびたび出てくるが、福岡伸一の「動的平衡」を思い出しつつ。

  • 「生命」とは何かについて、極限状態に生きる生物や進化の観点から考察した本。

    生命は物理現象のように数式で説明されるものではなく、様々な極限環境に生きる生物から見出されるように、多様であり、複雑なものであることを理解しました。

    エントロピーの法則、散逸構造の観点から、生命と宇宙の関わりを説いた筆者の生命観に感銘を受けました。

    全体を通して読みやすく、生命への理解が深まる本でした。


  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB14329344

全56件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年、人類初の宇宙飛行の日に生まれる。深海生物学、微生物生態学、系統地理学を専門とし、極地、深海、砂漠、地底など、世界中の極限環境にいる生物を探索する。筑波大学大学院生物科学研究科博士課程修了、海洋科学技術センター(JAMSTEC、現・海洋研究開発機構研究員)、カリフォルニア大学サンタバーバラ校海洋科学研究所客員研究員などを経て、現在、広島大学大学院生物圏科学研究科教授。『宇宙がよろこぶ生命論』(ちくまプリマー新書)、『形態の生命誌――なぜ生物にカタチがあるのか』(新潮選書)、『辺境生物探訪記 生命の本質を求めて』(共著・光文社新書)、『地球外生命 われわれは孤独か』(共著・岩波新書)、『生命の始まりを探して僕は生物学者になった』(河出書房新社)ほか著書多数。

「2016年 『ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長沼毅の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×