佃島ふたり書房 (講談社文庫 て 8-3)

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  • 講談社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630122

感想・レビュー・書評

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  • (オーディオブックにて)
    佃島の話、というのに惹かれて読み始めた。
    古本屋の歴史。
    あまり期待していなかったに、気がついたら引き込まれていた。
    過去の出来事から今に到るまでの佃島を中心とした素敵な話です。

  • 出久根達郎さん、1992年の直木賞受賞作

    古本屋の話、本好きにはそれだけでも楽しい
    しかし物語は結構入り組んでいて、佃島という特殊な地域に対する愛着をたっぷりこめながら、共産主義や友情や恋の話を絡めつつ、過去と現在を行ったりきたりします

    こうやって振り返るといろいろ詰め込みすぎ、作者が描きたかったのはなんだったんだろうという疑問も出てくるけど、タイトルそのまま、佃島の二人書房の物語を描きたかったということかな
    いずれにしても楽しく面白く読めることは間違いなしです

  • 「無明の蝶」が候補に挙がって居乍ら直木賞を逃したと云うから、受賞作の方も読んでみなくちゃと手に取りました。
    出久根さんの長編て、どうももったりして、途中で視点が急に変わったりするので、読みにくいかなとあまり期待していなかったんですが、いやー面白かったです。
    佃島の情景描写など最初から素晴らしく、質の高い映画を見ている気持ちになります。
    主人公がとにかく本を愛しすぎ。
    そしてみんなに愛され過ぎです。
    古本を題材に、此処まで色々な物が織り込める筆力は
    (そしてこの長さでこの密度!)
    本当に素晴らしい物だと思います。

  • 大正12年(1923)、昭和39年(1964)と、関東大震災、東京五輪前後の東京・佃島周辺で織り成す郡司、六司、千加子の三人の若者の本に賭けた情熱。郡司は満州へ去り、六司、千加子は夫婦に。そして約40年ぶりの郡司と千加子の出会いと千加子の娘・澄子と郡司の心の通い合い。現在の新川周辺の隅田川の情景と合わせ、3時点の時空を超えて、江戸情緒の香りにあふれた素晴らしい作品でした。昭和39年の佃大橋の開通により、初めて渡し船が廃止になった意外な近過去も驚きです。古本は命をもっているという登場人物の澄子へのアドバイスなど、本が好きな人には堪えられない楽しい本でもあります。

  • 出久根達郎 直木賞受賞作

著者プロフィール

出久根達郎(でくね・たつろう):1944年茨城県生まれ。中学卒業後、上京、古書店に勤務する。73年から古書店・芳雅堂(現在は閉店)を営む傍ら、文筆活動に入る。92年『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、93年『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞する。2015年には『短篇集半分コ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に『おんな飛脚人』『安政大変』『作家の値段』など多数がある。

「2023年 『出久根達郎の古本屋小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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