- Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062635592
作品紹介・あらすじ
昭和四十三年十月十一日、東京プリンスホテルでガードマン射殺-。次いで京都、函館、名古屋と、日本列島を震撼させた連続射殺魔・永山則夫。獄中で執筆した『無知の涙』、獄中結婚、そして死刑確定。これらを通して、永山則夫の"人間"と事件の全貌を鮮烈に描いた、ノンフィクション・ノベルの話題作。
感想・レビュー・書評
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とにかく長い。
分厚い本で、裁判の様子などを含め、延々と同じことが書かれているような印象。
作者がこれは小説だと言っているので小説なのであろうが、実在する人物を描いたノンフィクションに近い作品。
最初は、延々と事実関係、取り調べ、裁判での検証など、同じ内容の記述が多いので多少嫌気がさしてくるが、後半は永山を取り巻く人間関係に動きが出てくるので、小説らしくなっていく。
最初は、多少同情もあったが、弁護人も含め、人間不信からくる身勝手さに、支えていた人もみな離れていく。
まあ、現実ってこんな感じなんだろうなあ、と思いつつも、後味のよくない小説だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐木氏らしい、取材の結果が出ている本。弁護人たちはよくぞこの人にここまで関われたなあ。
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親の本棚から手にした一冊。
永山則夫には神戸連続児童殺傷事件が起きた年、死刑が執行されている。これを読む前は更生する可能性があるならば死刑はすべきではない、永山則夫も作家としての評価がある、と思っていたが、やはり違う。殺人を犯した死刑囚だ。
この本を読んで、やはり死刑囚や、刑罰を受け拘置所にいる人の生活や、システム、死刑制度については問題点ばかりで疑問を感じずにはいられない。
生まれてから事件を起こすまでの生活、その後の社会生活を営めない中での人格形成、弁護人とのやりとり、獄中結婚も結局は破綻する、そして最後は死刑執行。
こんなにも全てが可哀相な人間は他にいるだろうか?
彼は自分が4人もの人を殺めたことを認めなければならなかった。なのに結果としてそれを認められないまま、命を奪われたことが、本当のこの社会の犠牲者だと思った。
裁判中の永山則夫の言葉「情状をもらうために頭を下げる裁判なら、殺人はなくならない」という言葉が強く心に残った。 -
たとえ連続殺人犯であっても、この本の主人公である永山則夫には感情移入してしまう。だから生い立ちの悲惨さや、拘置所でどんどん知識を吸収していくところでは気持ちが動く。<br>
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頭のいい人だったんだろうな。でもやっぱり、小賢しさが否めない。結局、実際に行動=殺人をしたのは自分だから。それなのに、理屈を振り回して社会のせいにするのは納得できない。言いたい事はわかるけど、でも、お前やったでしょ。行動の結果でしか人は評価されないんだよ。と悲しい気持ちになる。小賢しさと悪あがき感。「静岡事件」なんてその際たる例で、権力犯罪とか言われても失笑しかできませんよ。仲間殺しという大罪を犯した的な事言ってますが、仲間殺しなんてそんな概念はどうでもよくて、人を殺した事をちゃんと見ろよって感じ。頭でっかち。<br>
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ノンフィクション・ノベルだって事ですが、どこがノベルなのかはよくわからない。そんな事言ったらノンフィクションは全部ノンフィクション・ノベルじゃないのか?<br>
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無知の涙はきっと小賢しい感じだろうと予想ができるので読まないけど、永山則夫が書いた小説は興味があるので今度読んでみる。