徳川家康歴史紀行5000キロ (講談社文庫 み 37-4)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062637534

感想・レビュー・書評

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  • 宮脇俊三が歩く、徳川家康の人生。松平郷に始まり、久能山で終わる歴史紀行です。なかなか面白い企画ということで、宮脇さんの歴史紀行三部作の始まりとか。

  • 本書の位置づけについては、文庫版あとがきにおける作者ご本人の弁が最も的確かと思います。大河ドラマに合わせた刊行、「日本通史の旅」の原型、そして「落穂拾い」の文庫化(苦笑)。

    後の歴史紀行に比べると、淡々とした筆致は変わらないものの、特に「古代史紀行」辺りで随所に見られる斬新な切り口は少な目のように思います。既に散々著作物や研究の対象にされて、もはや手垢がつき過ぎた観のある(特に当時は家康ブームだったらしいですし)徳川家康を、どうにも調理し損ねた印象も受けました。

    個人的には、実家にほど近い(ここを通るバス路線、しょっちゅう使っていました)の「中原御殿」の由来を知る事が出来たのが大きな収穫。家康と縁があるなんて、ちっとも思い至りませんでした。ちなみにこのお宅、今では代替わりしたのか洋館に変貌していますが…

    宮脇氏の著作としては珍しく、写真がふんだんに散りばめられています。ご本人は不本意だったかに見受けられますが。ウォーランドの写真が怖いです(苦笑)。今調べたらこのテーマパーク、まだ健在なんですね。ちょっとビックリ。

  • 本書のそもそもの成立ちは、1981(昭和56)年に刊行が始まつた『山岡荘八全集』の月報として執筆されたものださうです。全巻分ではなく、そのうちの「徳川家康」13巻分のみですが、それでも一冊の本になる分量であります。
    かつて「全集」が華やかだつた頃、わたくしも色色と購買したものであります。その内容はほとんど単行本や文庫本などで所持してゐるにも拘らず、新たに配本されるとわくわくして書店に向つたものだなむ。
    「全集」の愉しみのひとつが、毎回新たに書き下ろされる「月報」。だいたい4-12頁くらゐの薄つぺらい体裁ですが、中中読ませるものが多いのです。

    宮脇氏による『徳川家康歴史紀行5000キロ』(元の題は『徳川家康タイムトラベル』。文庫化時に改題)も、「月報」から生れた傑作のひとつと申せませう。
    家康の足跡を辿る旅なので、素直に列車に乗るだけではなく、歴史に忠実にバスやタクシーを積極的に駆使するところが通常の宮脇氏の旅と違ふところです。
    む、これは晩年のライフワークとなつた「日本通史の旅」のルーツではあるまいか、と思つた方も多いでせう。実際、著者はこれ以降、歴史をなぞる旅の面白さに惹かれていくやうです。個人的には、廃線跡紀行よりも遥かに良いと勘考するのもです。

    松平郷や岡崎城、小牧・長久手の合戦など、家康だけあつて愛知県が多く登場するのも嬉しい。特に松平なんか、ウチからクルマで15分で行けます。高月院は国道301号沿にあり、周囲は鄙びた雰囲気。松平タクシーも健在。しかし豊栄交通の傘下に入つてゐます。
    歴史に造詣の深い宮脇氏の文章を読むと、今まで史跡名刹を知らずに通過してきたのが悔やまれます。遠くへ行つて得意になるのも良いが、まづ地元をもつと歩いてみませう。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-506.html

  • 伊奈備前守の話を『日本人が〜』読んで思い出したのです。

    歴史紀行といいつつ,やはり乗り物の描写は細かくて,むしろそっちばかり読んでいた気がする。
    西洋史学科を出ている著者がさらりと巡った感じの紀行文だと思いました。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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