夏のレプリカ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.50
  • (343)
  • (708)
  • (1432)
  • (88)
  • (6)
本棚登録 : 7225
感想 : 510
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730129

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • シリーズ中の異色の作品として取り上げられる本作。第三者を通して萌絵や犀川の側面を知ることができて面白かった。
    奇数章、偶数章しかない構成で、同時期に起こった2つの事件が並行して進んでいく点は、森さんの筆の力にただただ驚嘆するばかり。

    敢えてこの構成を取った意図としては、個人的には萌絵の精神的な成長を表現したかったのかなーと思う。

    個人的には前作が好きすぎたために、評価は低め。
    タイトル「夏のレプリカ」について、自分なりの解釈は出来た。自分の過去の経験と照らし合わせて、(もちろん作中で起こる出来事には遠く及ばないが)しっくりくる部分があった。

  • なんだかしっくりこない巻だった。いろいろと想像できる要素があるのは良いと思う。だけど、簑沢家の面々がどうにも受け付けなかった。もうずっと「ロッキィ...(´・ω・`)」ってなってた。あと、犀川先生の「名前が逆だったていうのには、気がついていた?」が意味深すぎて全然わからなかった。自分では手に負えなくて答えをみたけど、これは分からないですよ先生...萌絵はこの言葉の真相に辿り着けたのだろうか?まあ、萌絵のことだから忘れるってことはないだろうし、最終的には答えに辿り着けるんだろうな。私自身、犀川先生はとても好きだけど、この巻の先生は不思議ちゃんだなと感じた

  • 複雑な謎が出てこなくて、シリーズの中では比較的地味な印象を受けた。トリック云々より物語重視的な。
    そして、やはりこういう系のトリックは、ちょっと卑怯だと感じてしまうなー。

  • 真相後、ある人物との偶然の出会いが、読み手の理解を惑わせる…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    お嬢様大学生・西之園萌絵は、高校時代の親友・簑沢杜萌(みのさわともえ)と久しぶりの再会を果たした。
    しかしその後、実家に戻った杜萌、そして杜萌の家族も、何者かに誘拐されてしまう。

    不可解な出来事のあと、無事に解放された杜萌と父母・姉だったが、誘拐されなかった盲目の兄・素生(もとき)の姿が見当たらないことに気づく…

    誘拐犯の真の目的とは?
    そして兄・素生はどこに消えてしまったのか…?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    S&Mシリーズ第7作。
    第6作の事件とほぼ同時期に起こった誘拐事件とされており、「夏のレプリカ」には偶数章しかない構成になっています。
    そのため、シリーズレギュラーの萌絵と犀川助教授も、2/3ほど読んだところでやっと登場しており、前半は杜萌とその周囲の様子が延々と語られています。
    この下りが正直長い。長すぎるのです。

    やっと犀川が登場したかと思ったら、犀川が発するキーワードは本作ではなく、実は第6作の事件のキーワードだったりするため、ものすごく混乱しました。
    また、犯人がわかったあともその動機については上辺をさらっと撫でた程度しか文書になっておらず、その先は読み手の想像に任されています。

    まだそれだけなら☆3つだったのですが、ラストで萌絵がある人物と偶然再会したことにより、わたしの思考は一気に大混乱しました。
    読み終えたわたしの第一声は「え、どういうこと?!」でした。

    誘拐事件のトリックと犯人は判明したのに、それは知りたかった謎のごく一部に過ぎず、本当に知りたかった謎については情報があまりにも少ない中、「自由に想像してくださいね」と、バトンをポンと渡された感じがして、ものすごくもやもやしました。
    読み手に託された「真相はご自由に想像してね」の分量があまりに多すぎると、こんなにも、すっきりしないものなのだな…ということがよくわかりました。
    また「夏のレプリカ」というタイトルと内容の整合性も今ひとつ腑に落ちませんでした。

    あ“ーーーーーもやるーーーーーー!
    (しつこい)

    しかしながら、もやもや感は抱えつつもなんだかんだで最後まで読まされてしまった…読み切れてしまったのが、ヤラレタ感がすごくて悔しいです(日本語になってない)。
    いろいろともやもやポイントはありつつも、最後まで読み切れたことを加味して、☆2つとさせていただきました。

    さて第8作に向かうぞー!

  • 1998年作品

    萌絵の友人の犯行動機・計画がピンと来なかった。
    なぜ、被害者の元カノと彼、共犯者の彼と萌絵の友人の関係が警察に分からなかったのだろうか??
    盲目の兄について、家族が隠す理由も分からなかった。ノイローゼの治療?お金?
    現実と妄想が分からなくて、困った。そういうミステリーなんだったんだろうか?

  • あまり、犀川先生が登場しません。

    西之園さんと途中まで出番がありません。


    幻惑の死と使途と同時進行の物語。

    西之園さんの友達の簑沢さんが実家に帰ると誰もいない?翌朝仮面の男に拉致される。他の家族は既に誘拐済み!?

    誘拐事件が解決すると今度は盲目の兄が行方不明に・・・

  • Fよりは断然読みやすかったのに最後の動機があああ。まあ、それ以前に壊れてたって事なのかなあ?

  • 前作と同時期に起こった事件。こちらは偶数章のみで構成されていて作中にもちらほらマジシャン事件の話が出てくるので前作読了後だとかなり楽しめる。
    謎も地味ながらドキドキできたし、トリック部分も伏線もなるほどなー!と楽しめたんだけど……。
    いかんせん動機が、なぁ。
    森ミステリーはよくある愛憎劇ではない事件っていう気持ちで読んでるから、なんかもう一気にがくりときた。
    なんか、2時間ドラマのクライマックスを見てる気分になって残念(あれはあれでありなんだけど、このシリーズではちょっとなーってコトです)
    ラストももやもや。で?って感じ。
    それとも逆トリックの時みたいに私が気づいてないトリックがあるのか?

    あ、犀川先生が「天王寺博士の時みたいに」って話に出してくれてたのが良かった。そうだよねぇ、あの時は当事者になって犀川先生も萌絵ちゃんもぐだぐだやったもんね(笑)
    というか、裏側でこの事件の存在を知っていた萌絵ちゃんがマジシャン事件の真相を解いたのってすごいなー。ちょっとあちらの話読み返したいかも。

  • このシリーズの中で、一番納得できなかった。

  • 前作と対になる作品、
    どこがどう繋がるのか、わくわくしてたけど、
    いろんな意味で、ああ、そうだったか…という感じ。悲しい。


    どうしても納得がいかないところがあって、少しもやっと。

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森博嗣の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×