霞町物語 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.62
  • (108)
  • (136)
  • (237)
  • (28)
  • (4)
本棚登録 : 1433
感想 : 133
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730150

作品紹介・あらすじ

青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。そこが僕らの故郷、霞町だ。あのころ僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていた。浅田次郎が始めて書いた、著者自身の甘くせつなくほろ苦い生活。感動の連作短編集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ラストがたまたま通勤電車の帰宅中で人目を憚らず泣いてしまった。

    是非ともみなさんにオススメできる感動作です。

  • 著者・浅田次郎の若かりし時代を振り返ってみた、自伝的小説?という感じでしょうか?ふむう、当時の東京の若者は、ザックリと、こんな感じで、生活していたのか?という雰囲気が、ザックリ、うむ、感じられた、ような気がします。気がする。

    で、気がするのですが、うーむ。すみません。それほど、こう、読んでいて、グッと来た!とか、そういった事がなく、、、すみません。淡々と、読み終えてしまいました。うむ。本当に失礼な表現になってしまいますが、「可もなく不可もなく」という、、、感じ?

    ちょっと前に読んだ、同じ浅田次郎さん著作の「壬生義士伝」は、ウルトラ面白かったのですが、こちらは、、、ごめんなさい。あんまり、ハマれなんだ、、、すみません。なんだろうなあ、ちょっと、相性悪かったなあ、、、

    ちょっと、変な表現ですが、この小説が、心の底から好きだ!という人と、いっぺん、じっくり語り合ってみたい気がします。「どこがそんなに好きなの?」っていう事を、お互い、内容知っている訳ですからね、お互い、それぞれこの小説を手に取りながら、何処にグッと来たところがあるのかを、教えてもらいながら、語り合いたいなあ~、って、思った次第ですね。コレって、妙な考えかなあ?

    とりあえず、うむ。極めて普通だ。という感想に、なってしまいました。でも、浅田次郎さんは、大好きな小説家なので、別の作品、またドカドカ読んでいきたいものです。

  • 登場人物の愛らしさ、滑稽さ、絶妙なニュアンスを表現するのが上手いと思った。

    自分は古今東西問わず、青春小説が好きだ。

  • 再読なのだけど、最初に読んだのがいつか記録にない。2019年8月24日の購入だから秋ごろだろうか。

    『地下鉄に乗って』を再読し終わったとき、この作品もまた読まなきゃ・・・と思っていた。前者は地下鉄が開通したころの東京が舞台の一部だった。東京オリンピックの年の中野がどういう様だったか・・・この作品は今の六本木と南麻布辺りらしい。
    昭和45年前後の東京のど真ん中あたり・・・の話らしい。今はない路面電車が出てくる。調べたら霞町は今の六本木6・7丁目と西麻布だとういう。本の中にもそういう記述があった。私が東京に住んだ1990年前後に、叔母が仕事で六本木に住んでいたことがある。よく会いに行ったから全く知らない町ではない。ただ高架上の高速道は記憶にあるが、路面電車はなかったし、カフェやショットバーの様子も全然違う。こういう抒情文にみる東京の背景もその土地の歴史を語っているのだなぁとつくづく思う。東京は人がいっぱいいるだけあって、こういう記録、プロの文筆家が描くのもこと欠かない。日常生活を営んだ人の思い出にみる東京の景色。
    高校生の様子も全く違う。ポマードで固めたリーゼントなんて今はもう見られない髪形だけど、一時期は大流行していた。それで中学や高校でこの髪形をすると「不良」だった。ここに出てくる高校生は、タバコを吸って、異性と一夜を共にするような交際をして、『グッバイ・DR.ハリー』中で東京のど真ん中のこういう環境で育つと、当たり前の行動をしているに過ぎない・・・と説明があるが、地方の田舎高校生にすれば、とんでもない発展家で不良だ。うちの親には全く想像できないだろうし、理解など到底できないだろう。小説かテレビドラマの中の話だ。そして進学校に通っているのに、受験受験と目の色を変えて勉強している風でもない。しているように見せない(書かない)のも江戸っこの心意気なんだろうか。家族もおおらかだなぁっと思う。
    就職で出た東京で深川に住んだ。銭湯に早めに行くと、よく芸者さんを見かけた。彼女たちは出勤前なのだろう。番台に上がっていた銭湯のおばさんも、芸者さんたちも威勢がよかった。この本のお祖母さんみたいに鉄火芸者さんだったのだろうか。
    私の祖母の妹が台東区にいて商売をしていた。旦那さんは時代劇で使うようなべらんめえ口調だった。ちょうど主人公の家の人みたいに。でも会社の東京出身の人にはおっとりした口調の人もいたから、東京でも違う区域の人だったのか、それとも商売人と勤め人の家庭の違いだったのか・・・テレビやラジオの影響でどんどん画一化される言葉だけど、東京にだって東京のことばがあったのだろうに。
    戦後が終わった時代。今振り返るとひと昔前とでも言える時代。生活の息吹が聞こえる東京の歴史。いいなぁ。

  • 昭和四十年代、東京は麻布霞町(西麻布)界隈が舞台の青春ノスタルジー。高校生とは思えない、キザで、背伸びし過ぎの感のある学生生活は、ちょっと鼻につく。かっこよく描きすぎなのかも。

  • いままで読んだ氏の作品の中で一番好きかも。色褪せつつも鮮やかな家族のアルバム…その一ページ毎のエピソードが切なく哀しく綴られています。

  • 夜のJ-WAVE 朗読番組で出会いました・・・・

  • 1960-70年代の東京にタイムスリップした感覚が得られる。
    オーティス・レディングやブルース・スプリングスティーンの嗄れた歌声を聴きながら読みたい本

  • 「お腹めしませ」が途中で忽然と消えてしまった。江戸時代から一気に昭和にタイムトリップして微に記憶に残る時代の匂いを感じながら読んだ。
    へぇ、こいうのも書くんだというのが率直な感想。
    で、読み進める間に夢中になった。不思議な余韻を残す「夕暮れ隧道」に惹かれ、各話で語られる写真館と伊能夢影の頑なな生きざまに惹かれた。オーティスは通な音学好きが贔屓にしてたのかと思ってたけど、そうじゃなかったみたいだな。浅田次郎に忌野清志郎の物語りを書いて欲しいなぁ。

  •  かつて子供の高校受験用の国語の問題文で一部が掲載されており、それをきっかけに購入したものです。

     端的な読後の感想は、男性目線の青春小説だなーということ。
     舞台は東京の中心街、青山・麻布・六本木の才知に囲まれた谷間の霞町。そこは昔からの旧家や商家が存在し、そこのぼんくら達の成長の過程を描いています。

     ぼんくら、と表現しましたが、高校生で車とか持ってたり(もちろん親から買ってもらう)ちょっと鼻につきます。
     ただ、うっすらと将来への不安を感じながらも、エッチなことばかり考えていたり、男の友情が妙に固かったりとか、そういうのは微笑ましく楽しく読めました。
     これが森絵都さんや瀬尾まいこさんの青春小説だと、大体主人公は女性であり、視線はたいてい冷静なのであります。男性はこうはなりません。おばかです。

     その他、癖のある写真屋の祖父、元芸者を身受けした話等々、主人公家族の家の歴史にうねりがあり、そうした点もドラマチックでした。

    ・・・

     1970年代に青春を迎えた人の話はどう考えても古い。解説のDJ氏は胸を熱くして本書を読んだと書いてあるが、私はもちろん古いなあと辟易しながら読みました。
     にもかかわらず、本作を面白いと感じさせ、また試験問題にも選ばれる理由は、やはり高校生特有の心情を瑞々しく描いているからであり、また波乱がありながらも家族の繋がりを温かく描いているからだと思いました。

     描かれる風俗がやや古くさいのですが、それを除けば楽しく読める青春小説だと思いました。エッチな事ばかり考えている高校生が主人公なので女子受けは余りよくない気がします笑

全133件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

浅田次郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×