- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062732451
作品紹介・あらすじ
奉行所検屍役・美馬正哲。身投げや殺し、首縊(くく)り……。屍の末期の無念を解き明かす彼を、ひとは「おろく医者」と呼ぶ。武器は、遠く紀州は花岡青洲に学んだ最新の医術!江戸の「法医学者」は恋女房、産婆のお杏とともに、八百八町の底に渦巻く愛憎に立ち向かう。人の生と死に触れる夫婦を描く傑作事件帖。
感想・レビュー・書評
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江戸に専門の検死医がいたかどうかは不明だそうだが、検死ばかりしている医者一家の三男坊とお産婆の妻の話である。彼女の作品の女性主人公はみな職業持ちで、内助の功を誇ってばかりではない。勝手に作り上げられた大和撫子の型にはまらない主人公たちを見ているのはいい気分だ。夫婦としてのバランスもとてもいい。武家や大店はいざ知らず、一般庶民はほとんど共働きだったというし、こちらが本当の江戸の生活かもしれない。獣の肉を食べると出るものが臭いと笑わせて始まる山くじらは寄生虫で終わる悲しい話だった。表題になっている室の梅も暗さやつらさを乗り越え明るく、常套でもいい終わり方だった。
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2021.10.28
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米屋の仙台屋に押し込みが入った。たまたま
難を逃れた美代次は評判の好人物。しかし…。
近代日本医学の夜明け、奉行所検屍役・美馬正哲と、
その妻で産婆のお杏。人の生と死に立ち会う
夫婦が難事件を解き明かす。 -
隅田川に女の水死体が上がった。これは自殺か、それとも・・・? 「死人はただ死に顔を晒しているだけじゃねェんだぜ。ちゃんとな、手前ェはこんなふうに死にましたと言っているのよ」 ・・・そう嘯くのは、容貌魁偉だがどことなく愛嬌のある江戸八丁堀の検屍医、人呼んで“おろく医者”美馬正哲。産婆の女房・お杏とともに殺しの痕跡を解き明かす!
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なんてね、久しぶりに虚構を読みましたな。
山で死んだ人を“おろく”というのはなぜ・・・なんてぇことを調べているうちにたまたま行き当たった本なんでござんすが、なかなか面白うござんしたよ。人物も立ってますし、時代の風俗や検屍の目のつけどころなんかもしっかと描かれておりましてな。
それにたまにゃあこう、カナがほとんど出て来ない本もよござんすね。
著者のことは知らなかったんですが、1949年生の函館の人だてぇことで。
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で、おろくてぇのは、別に山で死んだ人に限ったことじゃあなく、南無阿弥陀仏の6字のこと・・・つまり死人全般に使った俗語のようでござんした。へぇ。 -
副題が付いていたのでシリーズ物かと思ったのですが、どうやら1巻物のようです。
おろく医者はどうも実在の職業ではないようですが、美味い設定ですね。不自然さが無く物語りに入っていけます。
しかし、この作品は宇江佐さんにしては情感が低い作品です。確かにお杏と正哲の絡みの場面では、少し「らしさ」が出るのですが、全体にしっとりとした感じがありません。流石に大きな破綻は見せませんが、やや平俗な捕り物帳です。
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季刊歴史ピープル1997年盛秋特別号、1998年新春特別号、1998年陽春特別号、1998年盛夏特別号な掲載の4つの連作短編を1998年8月講談社より刊行。2001年9月講談社文庫化。おろく医者の正哲も、妻のお杏も魅力的なのだが、展開に今一歩感があり、江戸の仕事、捕物、江戸人情ものとして、やや中途半端感有り。
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江戸時代でいう検死官と産婆さん夫婦の話。
宇江佐さんの話は安定していて、読みやすく面白かった。
謎解きと、人情が上手いこと絡んで良かった。 -
検死官ものミステリー、として読むと謎解きはさすがに弱いと思うけど、その分人間関係や生活の様子などが興味深く読めた。