流さるる石のごとく (講談社文庫 わ 19-5)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062736480

感想・レビュー・書評

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  • 文句なしにおもしろい

  •  医師の妻で父親は大富豪という一見幸せそうな生活を送る速水圓。しかし現実は夫との関係はうまくいかず、万引きを繰り返し、アルコール依存症にも陥っている。しかし、久しぶりに夫と話し、関係修復に一歩近づいたと感じた矢先、夫が誘拐されてしまう。

     話の展開が予想とはだいぶ違った方向に進んでいくのもあって、ぐいぐい読み進んだ。不思議なのは、高飛車で犯罪にも手を染めているような主人公にどんどん共感し、応援しながら読んでしまっていたこと。義母と一緒に事件を追って行くというのもなかなか珍しいし、誘拐の展開も他とは一味違っていたし、読んでいておもしろかった。

  • すごいよ。金持ちの奥さんがアル中でその旦那さんが誘拐される?それがほんとに面白い、どんどん話が進んでいってどんどん登場人物が面白くなっていく。最初から最後までの話の作りもうまい!

  • 渡辺容子の長篇ミステリ作品『流さるる石のごとく』を読みました。
    ここのところ、国内の作品が続いています。

    -----story-------------
    サスペンスに魂が泣く。
    夫を殺さないで! 

    私、酒を断ちますからーー大富豪のひとり娘で、エリート医師の妻・速水圓(はやみ・まどか)。
    何不自由ない生活を送る一方で、重度のアルコール依存症に沈んでいた彼女を、突如襲った夫の誘拐事件。
    犯人の指示に従い、2億円のダイヤモンド・コレクションを手に新幹線に飛び乗った圓を、想像を絶する事態が待ち受ける。
    魂を震わせる、感動の長編サスペンス!
    -----------------------

    1999年(平成11年)に刊行された作品です。

     ■序
     ■第一章 懐石(かいせき)
     ■第二章 酒石(しゅせき)
     ■第三章 燧石(ひうちいし)
     ■第四章 墓石(ぼせき)
     ■少憩(インターミッション)
     ■第五章 砥石(といし)
     ■第六章 磁石(じしゃく)
     ■第七章 裸石(らせき)
     ■跋(ばつ)
     ■解説 小梛治宣

    速水圓(まどか)―大富豪のひとり娘・医師の妻… アルコール依存症、、、

    圓の夫が誘拐され、要求は彼女の宝石すべて… そして、彼女を襲う風変わりな誘拐事件。

    10億円の身の代金を運ぶ夫の突然の死―心の病いから立直って行く圓の魂の格闘を描く、感動の書下し長編サスペンス・ミステリー。

    圓にワンピースを借りた女性がマンションの屋上から転落死… その女は圓と間違って殺されたのか!? すると犯人は夫なのか!? 追い打ちをかけるように夫っを誘拐という脅迫電話が入り、ダイヤモンドのコレクションと夫を交換すべく圓は奔走するが、実は誘拐されていたのは圓の方だった!? 不可解な事件の根源となった忌まわしいアダルトビデオの中に犯人を示唆する手掛かりが、、、

    次から次へと読者に提示される謎と予想外の展開… 500ページを超える大作でしたが、一気に読めました。面白かったです。

  • 久し振りに渡辺氏の作品を読みました。
    アルコール依存症にありがちな自分勝手さと純粋さを描く心理描写の機微、味方か敵かわからない関係者の微妙な距離感、ストーリー展開の緻密さとスピード感など、この人がなぜもっと脚光を浴びないのかが不思議になる力作です。
    いつも小道具的に使われている万引きに関する小ネタは氏の拘りなのか?

  • 何気なく手にとって、さして期待もせずに読み始めたこの渡辺容子氏のミステリー。
    結論から言うと非常に面白くて、最初から最後まで興奮が止まなかった。息を呑む展開がさらりと出て来て引き込まれる。
    アルコール依存症の女性が主人公で、元依存症だった私は恥ずかしくて「イテテ…」となることもしばしば。心臓のペースメーカーのことや万引き防止装置のことなど、詳しくない事柄について読むのも面白かった。最初は自堕落な主人公に辟易するが、夫への愛に立ち上がる姿が沁みてくる。主人公以外のキャラクターも癖が強いが愛すべき描写になっている。向かいの老婆のくだりはやや出来すぎか。
    もっとたくさんの人に読んでもらいたいし、この作家は評価されるべきだと思う。他の作品もぜひ読んでみたいと思った。個人的にはダイヤモンドが欲しくなった。

  • 大富豪の一人娘でエリート医師の妻でありながらアルコール依存症に苦しむ主人公の速水圓が奇妙な事件に巻き込まれていくミステリー。

    女性達の生々しい会話や生態を描かせたらピカイチの渡辺容子の本領発揮といったところだろうか。また、ミステリーとしてもなかなか先が読めぬ展開に作品を最後まで楽しむ事が出来た。最後の『跋』は付け足しのようで、もう少しじっくり描いても良かったかも知れない。

    個人的には渡辺容子の作品を面白かった順に挙げると、『無制限』『左手に告げるなかれ』『ターニング・ポイント』『魔性』『流さるる石のごとく』『斃れし者に水を』『薔薇恋』という感じであろうか。

  • 渡辺容子公式サイト - Rose is a rose
    http://www.watanabe-yoko.com/

  • 意外な展開に驚き面白かった。

  • 事件の渦中にいた彼女の告白を小説にする、という手法だが本当にあった話なのではないかと思ってしまう。万引きの所は「左手に告げるなかれ」にでてきた所だが、他も本当によく取材してあると思う。最後まで犯人がわからなかった。面白い。

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著者プロフィール

1954年、東京に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。東京都杉並区学童クラブ指導員の後、フリーライター。筑波大学大学院(教育研究科カウンセリング専攻)修了。主な著書や個人通信に『負けるな子どもたち!──スーパーガキ大将ここにあり』(径書房)、「BURST」「もっこ橋」「暗川」「ユーカリ」「いちばんすてきな海」などがある。

「2010年 『乳がん 後悔しない治療──よりよく生きるための選択』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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