夏服を着た女たち 新装版 (講談社文庫 し 17-9)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748209

作品紹介・あらすじ

栄光の残像を追い求めるかつての大学アメフトに名選手。彼を愛した妻は自らの道を歩み始めていた(「80ヤード独走」)。休日のニューヨーク五番街を散歩する夫婦。街行く女性に気を取られる夫の様子に、妻は我慢していた言葉を口にした(表題作)。男と女の洒落た会話が、渇いた生活を潤してくれる爽快短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代にハマって読んだアーウィンショー。都会の粋な大人の男女の恋。切なくほろ苦い気持ち。こんな男になりたい。いやリアルには嫌だ。ブツブツ言いながら。「80メートル独走」とか心苦しい。いくつになっても恋はしていたい。

  • 2冊目のアーウィンショー。1冊目の「ニューヨークは闇につつまれて」は思いっきり酷評してしまったけれど、こちらはいい意味期待を裏切ってくれた。いくつもの女性と男性の出遭い、別れ。その背景にはニューヨークやパリという大都会の息使いを感じる。お洒落で切ない男女の交流がからりとしている。また読みなおしたい。

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  • 短編集。
    「ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ」。Moon Childが同名の曲を歌ってて気にはなっていたアーウィン・ショー。サリンジャーもそうだけど、ニューヨーカー派の作家ってのはなんでこうも洒落た話が書けるのかしらね。少年の視点を通して語られるひと夏の経験の瑞々しいこと瑞々しいこと。タイトルにもなっているストロベリー・アイスクリーム・ソーダという台詞がたびたび出てくるのだけれど、それはきっとこの言葉の語感が良いからで、何の脈絡もなく使いたくなっちゃうのだ。子供の頃ってそういうことがよくあった。何度も唱えるうちに楽しくなってきて、おまけに唱えた者の間で仲間意識のようなものが芽生え半ば合い言葉のようになる。その過程を追っているだけで微笑ましい気持ちになる。

  • 青年時代に読んだ時はさっぱり良さが分からなかった短編集。年を取った今読むと、物語のほろ苦さが心に染みる。

  • 全編に流れるどうしようもなさがたまらない。どこかで決定的な間違いを犯したわけでもないのに、やるせない出来事は抗い難くやってくる。とりわけ「80ヤード独走」や「フランス風に」に顕著な男女の関係において。時間の経過は残酷だ。その点、「ストロベリーアイスクリームソーダ」のみずみずしさは極めて異色。

  • 常盤新平の『遠いアメリカ』の中で大きく扱われていた小説。アーウィン・ショーという作家すら知らなかったが、どんなものだろうと読んでみた。

    言いようもなくとにかく素晴らしい。ニューヨークという都会に暮らす人々の微妙なノスタルジーが繊細に表現されていて、フィッツジェラルドやピート・ハミルを読んだときのような胸をえぐる痛みと胸騒ぎがあった。

    アーウィン・ショーは自分が生まれる一年前に死んでいて、表題作は1937年の作品だが、都会人の孤独と、青年期を懐かしむ愁いの気持ちは現代と何も変わらない。東京やニューヨークという都会人で暮らす大人にしか分からない感情を絶妙に表現した小説。

  • アメリカに住んでいる人に勝手に色々イメージをもってる。
    けど、それは今まで読んできたいくつかの小説や、ハリウッド映画や、そういうものでできていて、本当のところはどうかしらない。
    私、アメリカに行ったことないし。

    強いんだぜ!
    愛してるって平気で言っちゃうんだぜ!
    週末はパーティーだぜ!
    ダンス文化あるんだぜ!
    夢、追っちゃうんだぜ!

    みたいな。
    雑なイメージ。

    この短編集に出てくるのは、そんなアメリカンな情景だけど、その裏側の「気持ち」がこじんまりと描かれている。
    アメリカを好きでも嫌いでもなかったけど、少し好きになる。
    自分に少し近いところがあるような気がして。

    しかし、このアーウィン・ショーという人は、よっぽど奥さんがガミガミうるさい人だったんじゃないかと思われてくるほど、女の人の扱いにある種の悪意を感じる笑。
    男の人がかわいそうに見えてきます。

    最終章のお話は、もう、完全に映画「Wの悲劇」
    読みゃ分かる。
    ここまでパクっていいのか!

  • ショーの短編集です。『夏服を着た女たち』は本の中ほどに出てきます。最後の一行で、さぁーっと霧が晴れていくような感触を覚えます。
    抜けるような青空の夏を想像しながら読んで欲しい、そんな一冊です。
    ネタバレはこちら http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120229/1330494398

  • なんかすき。

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著者プロフィール

1928年、東京に生まれる。明治大学文学部卒。作家、翻訳家。女子美術大学教授。はじめ批評家として文壇に登場し、演出、翻訳、小説、評伝と多彩な活動をする。代表作『ルクレツィア・ボルジア』『メディチ家の人びと』『メディチ家の滅亡』(以上、評伝)『おお季節よ城よ』(小説)など多数。今年から、選集「中田耕治コレレクション」(青弓社)が出版される。翻訳家としては、アイラ・レヴィン『死の接吻』『スライヴァー』、クライヴ・パーカー『ダムネーション・ゲーム』、アナイス・ニン『北回帰線からの手紙』(深田甫と共訳)ほか多数。

「1992年 『結婚まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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