- Amazon.co.jp ・本 (84ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062750325
感想・レビュー・書評
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(2006.10.08読了)(2006.03.08購入)
「空飛び猫」シリーズ第四作です。原題は、Jane on her ownで、「自立するジェーン」ということだそうです。
アレキサンダーのおかげで、しゃべれるようになったジェーンが今回の主役です。
「丘の上農場」で、平和な日々が過ぎてゆきます。ジェーンは、「こうして自由に飛ぶことができるというのに、どうしてわたし達は同じところにじっとしているの?どうして遠くまで行って、いろんなものを見ようとしないの?」とたずねました。(9頁)
ハリエットの答えは、「もし人間が翼を持った猫を見つけたら、すぐに捕まえて動物園のオリに入れてしまうはずよ」でした。ジェームズの答えは、「あるいは実験室のオリにね」でした。セルマの答えは、「他のみんなと違っているというのは、難しいことなのよ。そして時には危ないことでもあるの」でした。
ジェーンは「でもわたしは難しいことが好きなんだ。危ないことだって好きなんだ。ここでの生活って、気が遠くなりそうなほど退屈だわ」と独り言を言いました。
ジェーンは、冒険の旅にでました。翼のない猫には、仲間と見てもらえず、人間はジェーンを不思議がり捕まえようとします。犬には吠えられ、鳥にも仲間と見てもらえません。
食物と水が必要になり、「さあ、中にお入り」と手招きしているように開いているアパートの窓から飛び込みました。背の低い、丸ぽちゃのポッパと言う男の人の部屋でした。
ミルクを飲ませてくれ、ベッドも買ってくれ、かごも用意してくれました。ジェーンは見世物にされ、新聞に掲載されたり、テレビに映されました。
自由を奪われたことに気付いたジェーンは、ポッパに気付かれないように訪問客が開けたドアから逃げ出しました。
ジェーンは、母親のところに行くことにしました。母猫の飼い主のおばあさんは、母猫と同様ジェーンもかわいがってくれました。
おばあさんは、翼のある猫を見たなんてほかの人に言っても、「年を取って、すっかりぼけちゃったな」といわれるだけなので、誰にも言わないことにしました。
それ以後は、母ねこのところに、兄さんや姉さんがやってきたり、ジェーンが丘の上農場に戻ったりして過ごしました。
人があれこれ言っても、自分で体験してみないと自立はできないということでしょうか?
☆関連図書(既読)
「闇の左手」U.K.ル・グィン著・小尾芙佐訳、ハヤカワ文庫、1978.09.30
「影との戦い ゲド戦記」ル・グウィン著、岩波・同時代ライブラリー、1992.03.16
「空飛び猫」ル=グウィン著・村上春樹訳、講談社文庫、1996.04.15
「帰ってきた空飛び猫」ル=グウィン著・村上春樹訳、講談社文庫、1996.11.15
「素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち」ル=グウィン著・村上春樹訳、講談社文庫、2000.08.15
「影との戦い ゲド戦記Ⅰ」ル=グウィン著・清水真砂子訳、岩波書店、2006.04.06
「こわれた腕環 ゲド戦記Ⅱ」ル=グウィン著・清水真砂子訳、岩波書店、2006.04.06
「さいはての島へ ゲド戦記Ⅲ」ル=グウィン著・清水真砂子訳、岩波書店、2006.04.06
「帰還 ゲド戦記Ⅳ」ル=グウィン著・清水真砂子訳、岩波書店、2006.05.10
(「BOOK」データベースより)amazon
翼を持った6匹の猫たちは、納屋の前の庭でのんびり平和に暮らしていました。ところが、ジェーンは同じことのくりかえしでしかない毎日に物足りなさを感じていました。彼女はある日、冒険に出かけます。いくつもの農場の上を飛び、たどり着いた都会で彼女を待っていたものは。『空飛び猫』シリーズ第4弾。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すき。
可愛いけん好き -
空飛び猫シリーズ。
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アーシュラ・K.ル=グウィンの空を駆けるジェーンを読みました。空飛び猫シリーズの4作目です。今回は前向きな性格のジェーンが街に出ていろいろなことに遭遇するというお話です。物語としても面白いですが、村上春樹の訳注も面白いです。