四季 秋 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062755702

感想・レビュー・書評

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  • 犀川と萌絵が四季の足取りを追う、四季シリーズ第三弾。春夏と視点が変わる。
    10代のときと比べて、萌絵がだいぶ大人になっている。紅子の言った通り、幼少期の整理を先送りしてこれまでの事件に関わってきたから今があって、もちろん各事件で亡くなった人は悼んで然るべきなのだが、ここまでこられて良かったねという気持ちでいっぱいになった。萌絵が大学生の頃に破天荒な行動を取っていたのは耐えられないほど辛い経験を消化する行動の裏返しで、だからこそ「許さなくていい」という言葉は彼女にとって本当に救いになったと思う。
    私は色々なことに気付きやすく見聞きしたものを忘れにくい体質で悩んでいたことがあり、突出していない私レベルでそうなら、萌絵の方向性の天才の内側を考えるとその苦しみは如何ばかりだったか。別にこれで苦しみから解き放たれたわけではないんだけど、救いを得た話だったのかなと。
    作中翌年、私の大好きな「ηなのに夢のよう」で彼女の成長が明確に示されている。

    ホテルで四季と邂逅したのは事実か夢かで意見が割れているが、私は「萌絵は夢と思っているが実はワンチャン事実」に賭ける。四季は動画を撮る頃には上部構造へ移行する目処をつけていたと思うのだけど、萌絵に対しては犀川とは別種の興味(自分が手を出したものが「どう」なるのか)を持っていたはず。
    春と夏を読んだ後だと、「理由なく萌絵に会いに来るロマン」、四季は持っていそうに思えるから。

  • 220225*読了
    四季シリーズ、あまりにもよい。
    S&MシリーズとVシリーズがこんなにも繋がっていたなんて。驚きの連続でした。
    へっくんが、まさか犀川先生だったなんて。そのへっくんだったなんて。でも、なぜ林じゃないのか?わたしにはその謎がわからない。
    保呂草さんと各務さんの再会のシーンもいいし、イタリアで4人が行動するところもいいし、萌絵ちゃんと紅子さんの対面のシーンもいい。
    この巻は最高です。
    四季視点は書かれていないし、四季もほとんど登場しないのに、こんなにも四季を感じさせる。
    彼女の持つ影響力が圧倒的。
    大好きです。

  • 犀川創平 と西之園萌絵が天才科学者・真賀田四季が残したメッセージの謎に迫る物語。四季シリーズ4部作の3作目。

    今作は真賀田四季はあまり登場せず、S&Mシリーズの犀川創平 と西之園萌絵、Vシリーズの保呂草潤平と各務亜樹良の2組が真賀田四季が残したメッセージの謎を追っていきます。

    VシリーズとS&Mシリーズその後を描くものであり、2つのシリーズの関連が明確になる物語でもあります。また、S&Mシリーズ第1作『すべてがFになる』では明かされなかった部分も書かれています。

  • 何度目かの再読。四季シリーズ第三弾。今回は真賀田四季がメインではあるけれどスポットが当たっていたのは萌絵ちゃんと犀川先生、そうして保呂草さんと各務さんである。萌絵ちゃんはきっとここらへんでようやく許すということの片鱗を知ったのだと思う。それは真賀田四季からのメッセージのおかげでもあり、もしくは紅子さんとの出会いでもあったのだと思う。二組のカップルの話はここでほぼ終わりを迎えたのだろう。

    • おゆさん
      花嵐さんこんばんは。突然すみません。
      花嵐さんの森博嗣作品レビューを読んでいて、私ももう一度森ミステリィの世界に飛び込みたくなりました。明...
      花嵐さんこんばんは。突然すみません。
      花嵐さんの森博嗣作品レビューを読んでいて、私ももう一度森ミステリィの世界に飛び込みたくなりました。明日から、『すべてがFになる』から順番に再読しようと決めました。
      きっかけをくださってありがとうございます!!
      (どうでも良いコメントすみません笑)
      2021/07/11
  • 春夏から視点がすっかり変わった。
    第三者から見た真賀田四季。
    彼女なりの母性や優しさがそこにはあるような気がした。

    冬に入る。

  • 消えてなお思考に影響する真賀田四季。
    にもかかわらず、その存在すら疑わしい。

    今回は彼女自身ではなく、彼女に人生振り回された人たちの物語
    これまでになく恋愛要素も強い

  • 四季シリーズ第3弾。謎解き的な要素が増えてきて、楽しく読めました。人物の相関関係も見えてきて、読みながら予想できる部分も増えてくるとおもしろみが増しますね。読んでなるほどと思ったのは、「今生きている人間よりは、もう死んでしまった人間の方がずっとずっと数が多い」というところ。確かにそうなんだろうけど、人口は世界を見れば急激に増えていて、いつか何千年分の「これまでに生きた人」と「今生きている人」の数が同じになることがあったりするんだろうかとか思いました。そう思うと、進歩の結果とはいえ異常に違いないよなぁとか。

  • 「だるまさんが転んだ」に似ている

    数を数えて、振り向いて
    止まっているように見える人の中から
    動いている人を指さしながら
    だんだん近づいてくる人の音を
    背中で感じる

    四季はきっと
    その肩に
    そっと優しく
    触れてくれる人を待っている

    「待って!!」って追いかけたくて
    「ああ負けちゃった」って言いたいんじゃないかしら。

  • すべてが収束し展開する『秋』。伏線の張り方が半端じゃないですね。後から設定を重ねる「言った者勝ち」的なリンクではなく、『F』の時点で敢えて語られなかった部分、違和感が解消されました。彼女の行動は、新藤との約束、だったのですから。「蛇足」「ファンサービス」という声も聞きますが、そうは思いません。ただ、萌絵が・・・あんな喋り方だった?キャラクタが違わない?ほぼ同時期のはずなのに、『捩れ屋敷』の時のキレはどうしたの?それだけが残念です。

  • #読了 #真賀田四季 #森博嗣 #講談社文庫 #読書好きな人と繋がりたい

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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