- Amazon.co.jp ・本 (842ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062758628
作品紹介・あらすじ
調査も捜査も推理もしない、天下無敵の薔薇十字探偵、榎木津礼二郎。過去の事件がきっかけで榎木津の"下僕"となった「僕」は、そのせいで別の事件にも巻き込まれてしまう。探偵を陥れようと、張り巡らされた罠。それに対し、榎木津の破天荒な振る舞いが炸烈する!「五徳猫」「雲外鏡」「面霊気」の三篇を収録。
感想・レビュー・書評
-
今作も榎木津ワールド一色の世界。
ますます榎木津探偵の魅力にハマってしまった。
今回は巧妙に仕掛けられた罠にどう立ち向かうのか、これまた榎木津探偵はもちろん下僕ズを含めて随所に笑いあり、スカッと爽快ありで満足。多々良センセイとの迷惑のかけ方の違いを分析している中禅寺に妙に納得し、下僕の本島くんの、毎回果てしないマイナス思考と共に榎木津ワールドの渦に巻き込まれていくのも面白い。
益田さんたちの下僕ズ トークが前回よりもツボだったな。
ちょっとだけ垣間見れた榎木津探偵の優しさも良かった。
薔薇十字探偵メンバーあっての京極堂、面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
薔薇十字探偵社を標的にえのさんの下僕たちに巧妙に仕掛けられた数々の罠。
声に出して笑うくらい楽しくひたすらおもしろかったです。「榎木津好きでしょ?」と友達から回って来たのですが、読み始めてすぐに違和感。あれ?第2弾ですよね?これ。
まず本島くんを知らなかったし、わからない事件もあったけれど、特に問題もなく読み進められました。第1弾も必ず読みます。
意外にもこっそり優しいえのさんが出て来たりするのもよかったです。
神無月との対決は何度も読んでしまったし、最後のあの方の登場もすごかった。
楽しいお話だけどどれも実は結構凝っていて大きな事件でした。
個性的な下僕たちはこれからも事件に巻き込まれていくのでしょうねw
-
榎木津礼二郎率いる薔薇十字探偵社のドタバタ劇の第二弾。
とにかく何か事件が起きる度に榎木津が高笑いしながら悪い奴らを(物理的に)懲らしめるという非常に分かりやすいタイプの話。
前回は主人公の「僕」が榎木津と出会ったがために様々な事件に巻き込まれ続けていたけれど、今回はそれを踏襲しつつ巻き込まれ具合もパワーアップ。
もうさ、ここまで来るといくら彼が「違うんです!仲間じゃないんです!」って言ったとしても絶対に誰も信じてくれないと思う。
もう立派に仲間だよ君は、おめでとう(おめでたいのかは分からないけれど)!
遂に噂だけが独り歩きしていたあの人物が出て来たりしてサプライズもありましたね。
そしてこの話を読むと榎木津の新しい一面を見ることが出来るというか知ることが出来るというか。
邪魅の雫を読んだ時に「あれ?榎木津ひょっとして?」と思ったことを京極堂が教えてくれたような気がしました。
そうだよね、榎木津ってただただ破天荒なだけの人じゃないよね?っていう。
よく考えたら育ちはめちゃくちゃいいはずなんだもんなぁ、榎木津見てると忘れちゃうんだけど。
今回もケラケラ笑いながら読んで、「あー楽しかった」と本を閉じた後に思ったけれど……割と扱ってる事件大きかったよね?
五徳猫とか特に大きかったよね???
榎木津が中心にいるとそんな事すらも些事に思えてしまうから凄い(凄いのか?)。
「僕」をはじめ親友の近藤もなかなかにクセの強いいいキャラクターだったのでまたどこかで会えないかなぁ。
-
何度読み返しても面白い。本当にツボにはまった作品。
この一冊に限らず百鬼夜行シリーズに言えることだが、ちょっと助長かなと思える語り口が思わぬ伏線になっているので、何度読んでもジックリと一文字一文字きちっと折ってしまう。斜め読みなんて出来ない。
また本編以上に荒唐無稽なのが良い。すごく良い。本編には出てこないキャラクター達ながら誰も彼も個性的で、一話ごとのボリュームこそ控えめながらキャラの立ち方は全然控えめじゃない。むしろ個性的すぎてどちらも続編が待ち遠しくてならない。
本当に続編が何時出るのか気になってしょうがないくらいこのシリーズが好きです。
あえて難点を言うならば文庫の厚さ。笑い話ながら手が小さいのでずっと持っていると肩が凝ってしまうってことと、ページがめくりにくいことでしょうか。 -
京極堂さんのお友達、変人で美男中年の榎木津さんを中心にした短編集のその2。
まぁ、榎木津さん周辺で事件が起こるってだけで、榎木津さんは最後に登場して引っ掻き回す役割です。
さすがは変人美男中年ハイソ探偵…。
ここで問題点。
この作家さんのこのシリーズは、ちゃんと通しで読まないとわかりにくいと思います。
京極堂シリーズが好きな人には、めっちゃたまらないと思うけれど、仲間になれないとそれほど楽しめない。
だって、登場人物が多すぎるし、そのバックボーンを知らないと楽しみ半減なんだもの…。
この本も最後の悪の親玉さんとの因縁は、今までのシリーズを知らないと「?」って感じでした。
知らなくても楽しめるっちゃ楽しめるけどね。 -
百鬼夜行シリーズ番外編の第2弾。
本編との関わりが色濃いので先にこちらを読んでしまうと、何がなんだか分からないと思う。
しかし、本編を読み終わってから手に取ると、
関わった人物が再登場、その後の様子などが描かれていて懐かしく楽しく読めた。
榎木津の大暴れっぷりは本編以上で思わず声を出して笑えた。 -
[五徳猫]
招き猫が持って来た謎。前回と同じように本島が巻き込まれて事件が進む。前より間が悪くなっている気がして、ますます関口くんに似てきた印象。榎木津の下僕らしくなって来たが本編には登場しないのかな。
親切にしてくれた旦那さんが実は悪党で、依頼人の母の所に殺人を犯して死んだと思われていた娘を偽って当てがっていた。
話は重いのだが、外伝だからか軽く書かれている。
[雲外鏡]
榎木津に対して敵愾心を燃やす神無月という心霊探偵。やる事も見た目もダサいので、あっけなく榎木津にしてやられる。世界一敵に回さないほうが良い人である。
榎木津の能力を手にとって、してやろうと画策したのは良いが、自分がメイクをして変装をしているところを鏡を見て行っていたので、どれだけ頑張ろうと榎木津には筒抜だった。本編の事件も、こんな風に雑魚ばかりだったらあんなにページ数も増えないのに。
[面霊気]
突然現れた面。それは本島の隣に住む近藤の部屋にあった。そして泥棒として益田が疑われたりする。京極堂が忠告した通りに、榎木津のそばにいたから面倒ごとに巻き込まれてしまった。
全ては榎木津の評判を地に落とすために、羽田が仕組んだ事だった。盗まれた品を榎木津の関係者の所においておき、関係者の持ち物を盗んで何か事件を起こすという作戦だったのだろうが、榎木津と京極堂にしてやられた。この二人が組むと誰も手出しが出来なそうだ。
最近は事件続きなので、榎木津がみんなのためにお祓いをしようとしていたのが意外でもあり、らしくもある。やはり榎木津というのは面白いキャラクターだ。 -
★4.0
再読。「待たせたな!僕だ。うはははは」、相変わらずの榎木津節が懐かしく、下僕たちに吐く罵詈雑言の数々が最高に面白い。そして、「いんかーん!」と「にゃんこ」に完全にしてやられた。全3編の中でも「面霊気」が一番興味深く、誰もがその時々で異なる仮面を被っている。が、時に大人の対応が含まれてはいるものの、それは決して偽りではなく、そういうものなのだと思う。それはそうと、満を持して登場した榎木津父の言葉、京極堂による榎木津評に思わず泣きそうに。また、本人も言っている通り、本島さんは本名が一番嘘臭い(笑)。 -
『百器徒然袋―雨 』に続いて、今回も榎木津が主役。
京極夏彦の作品はみんなおもしろいけど、京極堂シリーズの中ではあたしは断然、この2冊が好きです。
なんてゆーか、爽快。いや、痛快?
他の京極堂シリーズはどちらかといえば、全体的にしっとりした?感じなんだけど、この2冊は、メチャクチャ…というか、ムチャクチャというか…。
ひたすら榎木津が楽しそう(笑)。
そして、そういう榎木津の、自由奔放で唯我独尊・傍若無人なところが好き…というか、うらやましい。
さて、で、短編集、というには1つずつが長いけど、3話収録。
ストーリー的に一番好きなのは、2話目の「雲外鏡」。
関西の自称・霊能探偵と、榎木津のやり取りが笑えます。
で、一番興味深いのは、3話目の「面霊気」。
この話の中で、たびたび、「仮面」という言葉が出てくるんだけど(例えば、p.659の本島の独白とか、p.688-689の京極の台詞)、それがすごく、おもしろいし、わかりやすい。
少し話は飛んで…。
ドイツの社会学者に、ニクラス・ルーマンという人がいます。
で、その人が「Person」っていう概念を使うんだけど…(日本語訳では「パースン」とか「人格」と訳されてます)。
ルーマンのPerson概念を、ちゃんと説明するのは難しい…っていうか、あたしには無理なので、大雑把に言うと、Personっていうのは、「期待の束」。つまり、ある人に向けられる期待を、まとめあげたもの、です。
社会学では、似た言葉に「役割」っていうのがあるけど、役割が、ある地位についている人びとに共通して向けられる、一般化された期待を指すのに対して、Personは、ひとりひとりに向けられる、個別的でより具体的な期待を指します。
例えば、「先生」一般に向けられる期待(=役割期待)と、「○○先生」っていう、特定の人に向けられる期待(=Person)、みたいな。
で、Personっていうのは、個別・具体的な期待なので、その人の就いている職業だとか、家族構成(と、その人のそこでの位置づけ)だとか、その人のいわゆる「性格」だとか、「嗜好」だとか、年齢だとか、性別だとか、その人と、自分が、これまでどういうコミュニケーションをとってきたのかだとか、すんごくいろんなことから、つくりあげらていきます。
で、「意外」な場面に出くわすと、「この人にはこーゆーところもあるんだ」→「今度からこの人の前ではこれをするのはやめよう」…てな感じで、つくり換えられたりもしたり。
したがって、Personっていうのは、何が、その人に対して期待できたり、できなかったりするのかを、その都度その都度、限定するためのもの、です。
で、何が期待できたり、期待できなかったり、っていうのは、その人がどういう人として捉えられているのか、ってことなので、Personを、最初よりもさらにざっくり言うと、その人「像」とか、「その人らしさ」って感じ。
(なんかもう、学問的な概念定義としてはありえない表現に…。ちゃんとした研究者の方々、ごめんなさい↓↓)
んで、何が言いたいかというと、京極夏彦が「面霊気」の中で使う「仮面」という言葉は、ルーマンのPerson概念を、非常に、簡単に、かつわかりやすく説明してるなぁ、と。
言うまでもなく、「Person」(英語で「パーソン」、ドイツ語で「ペルゾン」)の語源は、ラテン語の「Persona」(ペルソナ:仮面)だし。
なんだか、長々と書いた割に、言いたいことはそんな短いのかよ、って感じですが、京極夏彦はホントすごい。
てか、もう、社会学者になっちゃえばいいのに(笑)。
んで、他の社会学用語も、もっとわかりやすく説明してくれればいいのに。
難しいことをわかりやすく伝えるスキルとセンスがほしい…。
あ、補足ですが、一応。。。
あたしのPersonの説明はかなり杜撰なので、ルーマンのPersonについてもっとちゃんと知りたい方は、以下を参照ください。
・『社会システム理論』〈下〉の第8章(だっけか?)「構造と時間」。
(たぶんその章に、「期待、役割、パースン」とかっていう節があったハズ)
・『ポストヒューマンの人間論―後期ルーマン論集』の第4章「人格という形式」。
(ルーマンの著作の中で唯一、Personを中心的に取り扱った論文) -
例年より早い梅雨入りという事でジメっとした気分を粉砕する豪雨もしたたるハイスペック紳士、榎木津礼二郎第2段★
前作「雨」に続き憂鬱な気候を吹き飛ばす3連作。
どうやら名字だけは覚えて貰えた本島君。またしても榎木津一味に捲き込まれ…(に行ってる!?)
「五徳猫-ゴトクネコ-薔薇十字探偵の憤然」
劇団京極堂の化け猫捕物帖。マスカマダ・カマスカス君ww
「雲外鏡-ウンガイキョウ-薔薇十字探偵の然疑」
榎さんに挑戦状。閣下に喧嘩売るのは56億7千万年早い(笑)
「面霊気-メンレイキ-薔薇十字探偵の疑惑」
榎木津元子爵サプライズ出演。最後の榎さんの手紙にきゅん♡
今回は一言でいうと逆恨み。それも榎木津本丸でなく下僕を餌に誘き出す肚だけど、
売られた喧嘩は倍返し!!分かってるのに笑っちゃうのね。続編出ないかなー。
ラジオドラマがあるとの事で今更ながら早速試聴♪
佐々木蔵之介GJ!超ハイテンションww京極先生のアフレコも巧すぎ!!!! -
主人公は調査も捜査も推理もしない探偵・榎木津礼二郎。
「普通に服を着せたような人物」本島君の視点で物語が進められる京極堂シリーズの番外編。
短編集とはいえ、それぞれの話が長編小説1本分くらい長い。
そこが京極先生のすごいところ。
「左手で招く猫は客寄せ、右手で招く猫こそが福寄せなのだ」というのを初めて知った。
百鬼夜行シリーズほど難しくなく、暗くなく、京極堂が不戯けて榎さんのバカ騒ぎに付き合っているところがすごくおもしろい。
「鍋で煮た蜆のようにパクパクと口を開ける」榎さんの快刀乱麻の大立ち回りは爆笑必至。
「雲外鏡」では「わはははははッ」と毎度のように派手に登場し、「阿呆に見せ場は無理」「珍しく説明してやるから善く聞けよ」と神無月を一喝。
そんな榎さんも、京極堂の言に依れば「榎木津と云う面を被って暮らしてる」のであって、それが証拠に本島君の本名(何か五郎の方がしっくりくるような…)を書いた手紙を送り、「お友達のために厄払いをする」計画を秘かに立ててくれている。
最後まで読むと榎さんの優しさを感じることができ、心がホッと温かくなる。
また、本島君による京極堂の人物紹介「この男、探偵のように奇天烈でもないし、極めて常識人でもあるのだが、変わっていると云う分には五十歩百歩の感がある。何しろ余計なことを何でもかんでも善く知っている。そのうえ弁が立つ。立ち過ぎてまるで怪しい魔術のようである」も正鵠を得ていてわかりやすい。
「あることないこと全部喋ります」と恥ずかしげもなく云ってしまう探偵助手・益田君や、本島君の隣人にして熊のような風貌の紙芝居描き・近藤のキャラもすごくおもしろい。
「一般大衆なんてもんはこの世に存在せんのだ」ってまさにその通りだと思った。
「全編を通して句読点以外のところで文章がページをまたぐような粗雑さは皆無」
たぶん、日本の一流作家でこんな大変な作業をしているのは京極夏彦だけだろう。
「云う」という表記にもこだわりが感じられて好きだ。
「どこに行くんだって誰に会うんだって、素でいいだろうが素で。面被らなきゃいけない理由なんか何もないぞ」
榎さんがとにかく素敵です。 -
「五徳猫 薔薇十字探偵の慨然」「雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑」「面霊気 薔薇十字探偵の疑惑」の3篇。
「雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑」で笑わせてもらった。相手(敵)があまりにも雑魚キャラすぎてむしろ哀れにすら思えるほどに、コテンパンにやられている。
榎木津父は見た目はまだしももっと快活な人だと思ってたから意外。
榎木津の直筆で「本島敏夫様」と本名が。ようやく名前出た。こういう所が榎木津は狡いというか。マジで美味しい所もって行き過ぎじゃね?てか格好良すぎじゃね?と思ってしまう。
番外編は榎木津大活躍、薔薇十字団みんなで結束して悪を倒してる感じがして、なんかさっぱりするな。悪役もいかにもな雑魚な悪役だし。
そして関口君は並な人間じゃないな、と思う。並じゃない駄目っぷり不幸っぷりだということに。関口偉大。 -
友情、ニャンコ、勝利。もうジャンプ三原則です。
-
榎木津がずっと出ているというだけでにっこにこだったのに、最後のあれで最高になってしまった。榎木津ッ……………………
-
鵼の碑刊行記念に再読。
榎木津大暴れ再び。どんなに恨みを募らせて復讐しようとも、「相手が悪いよあんた」と言われてしまう。おじさん達は誰かが酷い目に遭うと、残りが手を叩いて喜ぶ。この珍妙な友情を分かってないので手の打ちようがない。
その榎木津も歯が立たない父上。破天荒さはなく上品なのに、絶対敵わないだろうなと分かる。榎木津という面を被って、鬼苛めをするとか騒いでいたのに、お父さんにかかれば「お友達のために」になってしまう。散々振り回されるのにどうして人が集まるのか、その一端が伺えるラストも微笑ましくて好き。 -
再読。私にとっての百鬼夜行シリーズの入口である。京極夏彦というと膨大な蘊蓄についフォーカスが当てられがちだが、なかなかどうしてコメディタッチが得意なのだということを思い出させてくれる。全編通じて小気味よくシンプルに楽しいエンタメ。
-
【2023年106冊目】
更に榎木津さんによる、榎木津節が炸裂する短編集。五徳猫も、雲外鏡も、面霊気も、普通に考えるとなかなかの事件なのですが、榎さんが絡むと全部むちゃくちゃになって、でもちゃんと解決します。粉砕してると言った方がいいかもしれないけれど。
破天荒で、独自の世界をつっぱしってる榎さんですが、実はちゃんと他人のことを慮っている面もあるという、「えっ、ちょっと待って、ますます好きになっちゃう」みたいな一面も見れて、より魅力が光る1冊です。
本編は結構凄惨な展開が多いので、榎さんに巻き込まれるように巫山戯ている京極堂を中心とした面々が見れるのも楽しい。類は友を呼ぶ、をきっとわかってるんだろうなぁ。 -
百鬼夜行シリーズに先駆けて読んだ。
別作品に関わるであろうことも少し載っていたが、あまり気にならずに読めた。
登場人物達のテンポの良い掛け合いに笑いながらスラスラ読めてしまった!
-
全3篇が収録されている短篇集で、いずれの作品においても「僕」こと本島俊夫が知らぬ間に事件に巻き込まれてしまい、それを榎木津礼二郎が搔き回しつつも、中禅寺秋彦の手も借りて最終的には解決するという筋書になっている。本島の立場になってみれば、「何が何やら」という感じであろうが、それは読者にとっても同じことで、特殊な構造ゆえに「事件」の全貌の把握に難儀しているうちに、中禅寺はとうにすべてを見通していて、いつの間にやら物語が解決に向かって動き出してしまう。「何が何やら」という感じである。そのため、いちおう推理小説には分類されるのであろうが、推理小説としての楽しみ方はほぼできないと言ってよく、独特の雰囲気などを味わう作品となっている。本作までに刊行されているシリーズ作品をすべて読んでいたため存分に楽しめたが、そうでなかったらそれこそもっと「何が何やら」という感じであろう。
-
何度目かの再読。百鬼夜行シリーズ番外編。流石の榎木津、凡人では到底マネのできない事をやってのける。そこに痺れるが憧れはしない。だって大変そうだもの。凡人たる自分なんかはそう思いながら今作も楽しく再読できた。
-
20211013再読了
やー、破天荒とはこの人のことでしょう。榎木津探偵。気持ちいいほど破壊してくれます。読んでいてスカッとしますねー。 -
百鬼夜行シリーズ中の榎木津もの第二弾。中編というか、それぞれ300頁弱あるからほぼ長編が3作。
五徳猫は「右」、面霊気は「釈然としない」。各作品の各章冒頭、韻を踏むかのように同じ言葉を持つ文章が繰り返される。雲外鏡は同じ言葉というより「本島の卑下」というテーマが繰り返される。
物わかりの悪い本島のスピード感欠く会話にイラツキながらも(ほんと短気だ)読んでよかった。
他では見ることがない(であろう)榎木津の魅力に触れて、ほっこり。三体ロスまで引き飛んだ。 -
ライトな京極夏彦。まるでラノベのように気楽に読める。京極作品で声を出して笑うとは思わなかった。
-
京極堂シリーズ読み直し中 2周目待ち
-
榎木津探偵大暴れ。1篇が中編小説並の紙数ではあるが、軽く読みきれる。主人公の本名が最後のページで初めて判明するのは笑える。
戦後すぐの空気感がよい。招き猫欲しくなる。 -
4+