私的生活 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767767

感想・レビュー・書評

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  • 冷たい声。。
    過去の経験を想い、身につまされます。

    男女間の関係の盛り上がりから冷え込みまで、よく描かれていると思います。
    夫婦間でも、演技は必要なんやなあ。

  • 分かる。身に覚えがある、この感じは。

  • 「前とおんなじみたいになれない」




    とてもよかった。
    「言い寄る」「私的生活」「苺をつぶしながら」と三部作のようですが、
    本作から読んでしまった。
    他のも是非よみたい。


    別れ、というのは恋愛の大きなテーマですね。
    何かが知らないうちに少しずつ広がって、何かを少しずつ忘れていって、
    ある時、だめになってしまう。
    すきだったのに、たのしかったのに、なぜだかわからないけれどもう前にはもどれない。
    その流れが自然すぎてとても切ない。
    乃里子と剛の日常のくだらない戯れの描写がとてもよかっただけに、せつないせつない。

    せつない。





    「お芝居と知らんかった人は、かなわんやろうなあ」



    中杉氏、とてもよかった。
    キャラクタもポジションも。
    なかなかこんな、言ってしまえば「オトナ」なキャラクタ描けないと思う。
    乃里子になびくでもなし、突き放すでもなし。
    爽やかな人物像なのに、どこかつかめない。
    絶妙な立ち位置。敢えてこの中杉氏を書いた田辺聖子すげえとしか言いようがない。

    女性が安らぎを感じる男性、というのはどういう人でしょう。ね


    中杉氏が乃里子に対してこれだけオトナでいられるのは、
    そこに男女の関係がないから、生まれる余地がないから、だろう。
    だけどラストの中杉氏は、どうだかわかりませんね。






    行き詰まってしまったお芝居を終わらせた時、
    それでもやっぱり哀しいわよ、とひとりで泣きながら、この本を読んでみたいなあと思った。

    良い、と思う。


    だましだまし。
    ほんとうにいろんなことを、だましだましやってきているよ。
    それがきっと当たり前に楽だから。



    結局自分らしく、自由に生きることを乃里子は選んだのね。
    自分らしさって何やねんなんて議論は置いておいてね。
    こういうのをよむとつくづく自分の弱さを思い知らされて変なところでヘビーになってしまうま。

  • 『言い寄る』のときとは違った感じの切なさが残りました。

    内容についてあれこれ考えたあとにあとがきを読んで、そこに『苦瓜のような後味』と書かれていたのには納得。

    このまま終わるのか!?と思うと『苺をつぶしながら』を早く読みたくなりました。

  • "言い寄る"の、続きのお話。


    やっぱり面白い。
    田辺さんの本は。


    読み進めて行くと、
    最後に森林植物園が出てきてびっくりした。

    私も大好きな場所だから。

  • あぁ水野さん…
    一番好きだった水野さんが……。

    ツララのロックでウィスキーが素敵。

  • 自由な女性が、自分の生き方を貫いたらこうなる、ってことでしょうか。。。

    今ならありがちなのかもしれないけど、刊行当時はセンセーショナルだったんかな?と思う1冊。

    結婚について考えさせられました。
    やっぱ結婚って好きだけじゃできないのかな。。。

  • 「言い寄る」を読まず乃里子シリーズはこれから入りました。前作を知らずとも自然に作品世界に入れました。
    甘甘が最後で激辛!

  • 「自分らしさ」っていうのは、たぶん今後何年たっても理解(もしくは定義)できないであろう難問だ。人間ていうのは相対的な生きものだから、自分らしさ、なんて一緒にいる相手によっても変わるし、そのときの状況によるところも、かなり大きい。そうして迷ってるうちに全く違う自分になっていたりして、「昔の自分」を懐かしく思ったりする。
    でも、それって、なんだか哀しい。

    お金持ちの社長息子である剛と結婚した主人公は、贅沢な生活のなかで、少しずつ、「自分らしさ」が彼のなかにうもれていくのを感じている。
    それは最初は小さな息苦しさから始まるのだけど、彼を「いじらしい・いたいたしい・心いたむ・見捨てるにしのびない」と思うこころとか(それは僕がすごく共感したところでもあって)、いさかいを疎む、つまりは面倒くささみたいなものが、それをごまかしていって、だましだまし、いわゆる夫婦生活を送るうちに、自分で自分を見失ってしまうのだ。

    「そのとき、私は思った、私の私的生活は、みんな剛に吸収されてしまって、私自身の存在すらなく、剛の私的生活の一部分として私が僅かに生き残ってるだけだって。」(p.299)

    あまりに女性的な主観で書かれているので、男の僕としては複雑なところもあるが、ところどころですごく共感できたし、本当は男も女も、たいして変わりはないんじゃないか、とも思ったりした。所詮は、人間だもの。

  • 面白くて楽しくて切なくてすてきな小説だった。
    もう30年前の小説なんだけど、古さを感じさせない恋愛小説。
    さすが。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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