ポトスライムの舟 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769297

感想・レビュー・書評

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  • 再読。前回読んだ時は希望のない話だと感じたのが、今回は前向きに捉えることができた。「ここではないどこかは、当然こことは違い、そこには千差万別の痛みや、そのほかのことがあるとツガワは知ったのだった。」どこに行っても変わらない、私もついついそんなことを考えてしまうけれど、それはとても狹い物の見方をしている。環境のせいにして逃げるのとは違う、ツガワの選択は前向きな一歩だと思う。

  • 日々働いて、働いて。でも、なぜ働くのかと、ふと思う。私も時々そう思う。
    でも、働くことの意味は、そんな小さな日々の中にあるのだなぁと。

    たとえ、自分の年収が、世界一周の旅と同額と知ったとしても…

    • wakelogさん
      一年働いたことの代償が、世界一周の旅?
      充分ではないか((˃̶〰ॢ˂̶๑ )
      一年働いたことの代償が、世界一周の旅?
      充分ではないか((˃̶〰ॢ˂̶๑ )
      2012/09/29
  • 受賞直後に単行本を立ち読みして、とても面白かった。単行本の冊数自己制限で買えなかった本。
    読んでいる間中、くすっと笑いたくなる感じ。ただ生きていくのって悪くないな、と思える。

  • 初津村記久子。すごく好きかもしれない。文章も好き。「ポトスライムの舟」、ゆるいようでいて実はすごくしっかりがっちりしているような感じ。ただゆるいだけじゃないところがいい。それにしても大阪弁って心なごむなーと。「十二月の窓」職場のパワーハラスメント(っていうの?)が衝撃的で、あとに読んだこっちのほうが印象が強いんだけどこれもよかった。謎解きめいたものもあるし、驚きもあるし、こっちが賞とってもよかったかも?どっちも、わりに暗い話なんだけど、それほど暗さを感じなくて、希望があるところがよかった。主人公が地味で人づきあいが得意とはとてもいえないけど、人とのつながりを感じるところも。とくに「十二月の窓」(やっぱり、あとから読んだからこっちが印象に残ってるー)のラストで、自分と話すことが人の気休めになればいい、とか強く思うところとか、けっこう感動した。

  • 働く日々を大肯定。

  • 単行本を読みそびれたので。ほぼ単行本どおりの、きれいな装丁。

    表題作のように、「自分の年収と同じ値段のついたアイテム、イベント」のことはまったく考えたことなかったので(「この年収じゃ全然足りねえよ」とげんなりすることはあるけど)、それに気づいたナガセが、その金額にどう反応するのか?という展開への興味と、舞台には知ってるところが多いこともあって、さくさくページが進みました。

    受賞当時、「これが芥川賞ってどうよ?」的なコメントが結構出たように記憶していますが、それは「お洒落職場でドロドロもあるけど、思いもかけず彼氏ができて、仕事にも燃えて、私がんばる!」な女子っぽい設定からも外れたお仕事小説だからかな。そういうドラマや小説って、気分的にはすかっとするかもしれないけど、「あったらいいな」的な型にはまりまくってて面白くないと思うときもしばしば。私はこのお仕事世界や、ストーリーテリングはアリだと思うし、何より、文章の地肩が強いと思う。ざっくり書いてらっしゃるようで、ナガセや友人たちの行動、イラつきのもとは克明に描かれてるし、克明ななかにもガス抜きのタイミングが上手くて、重すぎない感じ。

    職場の人間関係で縮んでいく自分のヒリヒリ加減が強烈だなーと思うのは、カップリングの『十二月の窓辺』のほう。新卒で入った会社で、「できない私」に萎縮していく感じは、経験上、よくわかります。切り替えるための突破口が見つからなかったり、それさえにも意識が向かず、ひたすら堂々めぐりな時間が克明に描かれており、ご経験がかなり入ってるのかな?とも思いながら読みました。今なら、「そんなになるまで我慢するこっちゃないよ!」ということはわかってるし、反撃もできるけど。

    小ぢんまりしている、というよりも、働いているひとなら「あるある」なことが多すぎて、かえって手が伸びにくい物語かもしれない。でも結構ドラマチックだと思うし、筆致も好きなので、この☆の数です。

  • 詳細はともかく、その辺にいそうな女性たちの話。
    あまり共感というものはないにしても、こういう生活もあるんだなと思いました。
    日常の支出を手帳に書いているのは、私と一緒だなと思いました。

  • 4/23〜
    世界一周をするためにお金を節約するナガノ
    そう決めたところに度重なる出費
    実家で暮らしながら夢も希望もなくただ働く日々
    周りの友達は結婚したり離婚したり子どものことだったり
    自分1人で生きていくのですら大変なのに子どもを
    守る母
    3人に1人は離婚するのに自分だけは大丈夫だと思って結婚する

  • 頭もたげすぎな気がした

  • 面白いか面白くないかで言ったら面白くない。これが日常なの?踠こうとしないのが不思議。ポトスライムの舟の主人公はお金を貯めて世界一周は結局行ったのかな?ここで終わりなの?でもあの主人公行ってなさそうなんだよな...

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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