- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062769402
作品紹介・あらすじ
パパはいないけど、もう待っていられない。冬がくる前に家を建てようと、ムーミントロールとママはおそろしい森や沼を抜け、荒れ狂う海をわたって、お日さまの光溢れるあたたかい場所をめざします。第二次世界大戦直後に出版され、世界中で復刊が待ち望まれていた、ムーミン童話シリーズの記念すべき第一作。
感想・レビュー・書評
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ムーミンとムーミンママがムーミンパパを探す旅。
途中でスニフやチューリッパなども参加する。
真のムーミン1作目だが、話が短く、たのしいムーミン一家からが有名になりすぎ、一周まわって最後に改めて出版された。
ムーミンが両手にアイスを持っている姿や、パパがSOSの旗を掲げて枝にしがみついた姿や、真珠を嬉しそうに持ち上げるスニフの挿絵が可愛い。
ムーミントロール達は元々、人間の家の、タイルばりの大きなストーブの後ろに住んでおり、人間にとってはふとした冷たいそよ風に感じたものがムーミンであった。
そのストーブを懐かしみ、パパが赤い屋根で青い壁の、円柱ストーブのような家を建てた。
訳者あとがきにて、話が進むにつれてムーミンの姿が丸っこくなり、性格も穏やかになっていくという話で、この1作目の頃は戦時中だったため、小さな住民らが大洪水などで家を失い焚き火で暖をとっているのも、戦争が反映されているのではないかと説明されている。
最後の、パパの建てた家が大洪水で壊れたと思いきや、流されただけでそのまま住むことができるというのもノアの方舟のようで、色々と影響を受けていそうだと深読みもできる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ムーミンバレーパークに行って、ムーミンの世界に惹かれて読んだ。まだまだ序盤。きっと1週終わってまた読んだら感じ方が変わっているのではないのかな?と思った。
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トーベヤンソンは、祖父母が建てた大きな家で、彫刻家の父と画家の母の長女として、1914年に生まれる。1歳半の時にお母さんの真似をして、絵を描いていたという。それから、絵を描き物語を作るのが好きだった。本人は、お母さんを目標として、画家を目指した。
父親は、トーベが3歳のときに勃発したフィンランド内戦に政府側の兵士として戦争に行く。幼い頃の思い出が、その父親がいないことが、お母さんと一緒にパパを探す物語のモチーフになる。
美術学校にも行き、絵の才能が認められ、展覧会にも出品していた。しかし、フィンランドにソビエト軍が押し寄せ、ドイツ軍と手を組むことで、ユダヤ人狩りも行われた。父親は、その政府の立場を支持していた。トーベヤンソンは、その戦争好きで、ユダヤ人を排斥する父親に反対して、衝突し、絶縁状態にもなる。絵を描いても、戦争によって色彩を失われていくことで絵を書くのを断念する。トーベヤンソンは、ムーミンの物語を書き始めて、1945年の戦争中にこの物語を作り発表する。
トーベヤンソンは、童話にはハッピイエンドが必要だと考えていて、パパ探しは、パパと会うことと大きな家を見つけることとなる。トロールとは妖精の意味で、叔父の家に少女の頃泊まった時に、お腹が空いて冷蔵庫でつまみ食いをする。そのことで、叔父から、暖炉の裏からトロールが、出てきて首筋に息を吹きかけるという話から、熟成されてムーミントロールとなる。この第1作は、まだムーミントロールはふくよかではなく痩せている。パパを探す時に、いつも母親は力強く困難を乗り越えていく。青い髪の美しい少女チューリッパ、大変な怖がりのスニフ、パパはニョロニョロと一緒に旅をする。
そんな中で、大きな洪水で流されたパパを発見するのだ。
私は、ムーミンの物語って、もっとほのぼのしたものだと思ったが、戦争の中で苦しんだトーベヤンソンがあったことを初めて知った。そして、彼女は、戦争に男はいくのだからといって、恋をするが結局子供を産まないという決断さえもする。そういう背景が、豊かな詩情あふれ、パパに対する思いを綴る物語を紡ぐ。 -
文庫版で再読。
ムーミンシリーズの最終巻になってはいるが、実はこれが幻の第一作目で、ムーミンの物語はここから始まる。これには他のおとぎ話の要素も含まれており、まだ確固としたムーミンの世界は出来上がっていないが、これはこれで楽しい。この本も含めムーミンシリーズで一番重要なのは、ムーミンママの偉大さということではないかと。わがまま勝手な登場人物を、懐の深いママがしっかりまとめている。かといって口うるさいわけではないし、パパよりもむしろ責任感が強いママは母親の鑑だなと思う。それが一番分かるのがこの幻の第一作目だと思う。 -
日常に疲れた時、ふと、違う世界に行きたくなる。そんな時にちょうどよい本だと思います。ムーミン独特の世界観が、なんとも言えず心地よい。
何度も戻ってきたくなる場所です。 -
昔、アニメの「ムーミン」が大好きでしたが、本で読んだのは大人になってからでした。ムーミン谷ののどかなお話の前に、厳しい流浪があったのは知りませんでした。戦時下に書かれた貴重な希望の物語です。
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小さなトロールと大きな洪水(講談社文庫)
著作者:トーベ・ヤンソン
発行者:講談社
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
facecollabo home Booklog
https://facecollabo.jimdofree.com/
幻の第一作目。 -
ムーミンの最初のお話 ムーミンパパが家を出て行ってしまった理由がよくわからなかったけど ここからムーミンの話が始まったのねぇ~感は、十分味わえました!!
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1939年から手掛けていたムーミン物語、1945年に発行されたきりで他のムーミンシリーズから置いてきぼりでした。でもこんなに人気者になったムーミンですからほっとくわけにいきません。ムーミンシリーズの最後に読んだこの本には、これからの彼等のお話が沢山含まれていました。短いですが、とても充実した内容でした。
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これからあとに続く8作で登場人物達の描かれ方や作風がどうなっていくのか楽しみに思った。
誰に向けて書いたんだろうな。
装丁がおしゃれで大事にしたい本。