ひそやかな花園 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777582

感想・レビュー・書評

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  • 元になった事件があったなと当時のニュースを思い出した。 後々子供が生物的父親を知りたい衝動は起こることは想像出来る。又、生殖能力のない夫との間に子供を持ちたいと思ったら、夫の心を大切に思うなら養子縁組の道を選択するかな。

  • 子供の頃毎年集まっていた子たちが、ある時から集まらなくなり、それぞれの人生を歩み、大人になり、あの集まりはなんだったんだろう、、、というところから始まる話。
    何の集まりだったのが気になってそれがオチかと思いきや、それはまだ半分。この時点で、やっぱ角田光代の小説は内容のメッセージ以前に読んでて気持ちいいなぁと思う。
    その集まりがなんだったかがわかってからが後半。これに対するそれぞれの反応。その反応の背景にある親の子に対する気持ちや家庭環境、子を持つ親として身につまされる。
    オチとなる「肝心なのは愛情」ていうのは、言ってみればありきたりなんだが、一冊かけてここに持って来られて大納得する感じ、これこそ小説の醍醐味、角田光代は外さない。

  • なんだろう、「生」と「家族」について
    奥深く、考えさせてくれる作品でした。

  • 夏のキャンプが舞台なのとは裏腹、家族や命などについて考える重い内容だった。
    角田光代のほかの本も読みたいと思った。

  • すごくよかった、意外にも重たいテーマだった。いい言葉が出てきて、涙が出そうだった。わたしも周りにいい影響を与えるようになりたい、と週末の反省を込めて。

    あと、川上弘美さんの森へ行きましょう、にも出てきたことがあるけど、今のわたしには分からないことがある。

  • 結婚して、子どもを産む。
    うまくいえないけど、漠然とそういう未来を描きながら生きる女の人は多い。

    女の人は、産むこと、産まないことをつきつけられるときがある。

    産むことが当たり前なんだろうか。産むことが幸せなんだろうか。もしくは、産みたいのに産めなかったら?というか本当に産みたいのか?産まれてきた子どもはしあわせなのか?いろいろ。

    私自身、AIDとかで、産まれた子どもの中に苦しんでるひとがいるとか最近まであんまり知らなかった。
    血の繋がりが必ずしも重要ではないんでないかと考えていたけれど、それは血縁の親を持つ自分だから簡単に言えてしまうことなんだな。
    当事者しか知り得ない思いはあるよな、と気づく。

    じゃあ自分が突きつけられたら?

    わからないことだらけで、迷うことだらけなんやけども。実際死ぬまで答えの出ないこともあるんやけども。
    向き合わねば落胆することもない。けれど、その先にあるかもしれない何かにも出会えない。
    向き合わねばはじまらない。選ばねば始まらない。閉じたところから出ねば、なにもない。 

    産まないということに向き合うこと、産むことに向き合うこと、向き合うことが大事なのかなと思う。

    一方で、生まれてくることも同じ。生まれてこなければよかったな、と思ったことがある人、ない人、どちらもがこの本には出てくる。私はある。(今は思ってないが。)
    でも、生まれなければ辛いこともないけれど、楽しいことや嬉しいことにも出会えない。嬉しいと感じたり、苦しいと感じたりすることは、生きているからこそあること、だと思って生きるしかないんやと思う。

    野谷という作家が出てくる。「だれかを傷つけるために言葉をつかっちゃ、ぜったいにいけないんだ。だれかを傷つけるために刃物を使っちゃいけないのと、それはまったくおんなじにさ。」(p328)と話す。 
    この野谷という作家が、メタとして角田先生の思いを語っているんではないかと勝手に思ってしまった。

    やっぱり角田先生はすごい作家やなと思いました。

  •  女友だち特集で紹介されてて、このタイトルを見て手に取ったら、想像していたものと違いすぎました。笑
     扱っているテーマは重いし、ミステリー的な要素も十分面白いのに、それ以上に登場人物たちの心模様に夢中になります。問題提起的な設定も、謎が晴れていく爽快感も、それぞれの人間像を描くための道具なんだろうな、と。どのキャラクターもリアリティがあって、それ故魅力的で、多視点を味わえる小説というものの面白さを改めて思い知らされました。

  • 読み始めは全くその先の展開が予想出来ず、謎の多さに辟易したけれど、読み進むに連れて少しづつ明らかになって行く真相に思い切り引き付けられて行き7人の登場人物がずっと脳内映像で動いていました。

    内容も人工受精を取り扱った作品は目新しくはないけれど、掘り下げて丁寧に描かれていて好感が持てました。

    文章に無駄がなく又色々と考えさせられる部分もあり、かなり完成度が高い作品だと感じました。 面白かったです。

  • 難しいテーマのお話でした

  • 2020年97冊目。最近この題材によく出会う。何冊も読んだけど、正解とか自分がどう思うかとかまったくわからなくて、でもこの本がいちばんしっくりきた。状況としては何も変わっていないのに、最後の手紙の部分でようやく救いが見えるのは、事実の変化じゃなくて考え方の変化なのかな。「でもさ、禅、何かをはじめることでできるのは、結果じゃなくて世界なの。いいことだけでできた世界も、悪いことだけでできた世界もないと思わない?」 /20200622

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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