ひそやかな花園 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777582

感想・レビュー・書評

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  • 家族とは。
    親になるということは。
    子を持つということは。
    血縁とは。
    夫婦とは。

    読み終えて、また読みたくなる一冊でした。



  • すごくよかった。
    物語として★5、とまでは
    いかないかもしれないけど
    7人を通じて思いを馳せた
    たくさんのことに感謝したいと思う。
    とても考えさせられた作品。

  • 私には想像のつかない7人の背景だけれど、成長した7人が悩む様子や発する言葉にとても共感する。特に紗有美!

  • 角田さんの小説は、とても読みやすく、感情移入しやすいのでスラスラ読んでしまう。

    子供の中では紗有美が一番弱いせいか、しょい込んでる感があったが最後は少し前向きかな。
    もし自分が親の立場だったら、子供の立場だったら、とかんがえてしまう。

  • 家族、とか、さまざまな立場の女性の生き方、迷い、気持ち、を描く角田さんの文章は、いつも痛いほど鋭い。
    今回は、子供時代にサマーキャンプで顔を合わせていた、という共通点を持つ7人が、自分たちのバックグラウンドを知り、もがき、消化しようと試み、さらには今後の生き方も考えるなかで、多方面から「家族とは?父性とは?」にアプローチしている。
    彼らの共通点は何なのだろう?とドキドキしながら読んだので、ネタバレなしで感想を書きたいけれど難しい。
    どの気持ちも分かるような気がするし、これに関しては当事者でなければ何もわからないのかもしれない。ただ、やはり家族を作る、家族を築いていくうえで、男性と女性では考え方の根本が違うのかもしれないな、という印象は強い。

  • 幼い頃 毎夏一緒に過ごした子供たち。
    けれどある年から突然キャンプはなくなる。
    子供たち、親たち、それぞれの想いや背景。
    読んで思うことは、当事者でないから共感や理解は難しい。自分に置き換えてみても答えは出ない。でも 想像することは出来る。なかなか読み応えがあったな。最近の角田さんのお話好きです。

  • 短編小説が多い角田光代さんの作品のなかで、長編小説を見つけると嬉しくなる。
    でも、角田さんが長編をあまり書かないのが、この本を読むと分かる気がする。

    物語は1985年から始まり、登場人物である
    紗有美、弾、波留、雄一郎、紀子、樹里、賢人の7人の
    幼少期から始まる。
    これ、最初から7人って覚悟して読まないと、ややこしくなっていく。

    年齢も、性格も、環境もまったく違う7人の子供たち。

    夏になると、軽井沢の別荘で、数日間だけ
    決まって毎年過ごす彼らと両親たち。

    その集まりが、いったい何だったのか。

    時は経ち、オトナになった7人は
    プロのイラストレーターだったり、顔をあまり出さない歌手だったり、
    経営者だったり、堕落した生活を送っていたり。

    これまた、別々の人格が入れ替わりストーリーが展開していく1人称ではないので、
    ちょっと移入しずらいところがあるかも。

    その「秘密」が、途中で分かるのだけど
    結果的に「それ」が、どんな結末をむかえるのか。
    早く知りたくて、一気に読めてしまう。

    7人の子供、それぞれの家族。
    オトナになった7人と、その家族や、新しい家族。
    とにかく登場人物が多い。

    でも、この想像が「本」の良いところ。
    映像化されず自分の心の中で思い描いていく。

    久しぶりに、充実した本を読んだ。

  • 一年のうち、夏の数日だけを一緒に過ごす子供たちとその親たち。ある年、突然その集まりが絶え、子供たちは互いのことも、集まりの目的も何も知らないまま、会わない時間が過ぎて、やがて大人になった・・・。

    7人の子供たちは、それぞれまちまちの環境でまちまちの人生を歩んでいる。家族ってなんだ、子供を産むというのはどういうことなのか、人生ってどう生きるのか、アイデンティティの根源は? テーマはたくさんちりばめられていて、7人それぞれの視点で多角的に描かれていて、興味深いし、いろいろと考えさせられる。

    きれいな終わり方だと思う。だけど、角田氏の作品(といってもそんなに数は読んでいないけど)って、結末の落としどころがどんな位置に設定されているにしろ、読後感がねっとりしているように感じる。決して不快な粘り気ではない。あんまりなんでもかんでも爽やかなのも違和感あるけど、作品として提示されたものが、自分にまつわりついてくるので、いやでもいろいろ考えさせられる。言葉の力、言葉の羅列の力って不思議だ。

    いろんな人生がある。7人はそれをしっかりと教えてくれるし、その親たちも含め、それぞれ個性的で印象がぼやけることもないのだけれど、誰にも感情移入できなくて、読んでいるこちらも「三人称」にしかなれないもどかしさを感じる。ただ、私は、しいて言えば、樹里のお母さんのような人でありたいと思うし、彼女が一番自分に近いようにも感じている。そこが、小さな誇りというか、なんとなくちょっとうれしい。

    しかし、「血」っていったいなんなんでしょうね? こればかりは本当によくわからない。きっと理屈を超えた、もっと動物の本能に近いものなのかもしれないな、とは思うけれど、そうであればあるほど、「理解」はできないのかもしれない。でも、本当に「血」のせいであることって、世の中にいったいどのくらいあるんだろう。

  • 人間への洞察力の凄まじさ。角田光代はほんとにすごい。

  • 祝文庫化!

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    「幼いころに毎夏キャンプをともにすごしていた7人。彼らが大人になって再会し、キャンプの秘密を知った時――全ての命に捧げる渾身作
    私たちがいま、ここに生きているということ。生まれてきたということ。
    『空中庭園』『八日目の蝉』『ロック母』『対岸の彼女』――
    家族、父、母、子、友を書き続けてきた著者だからこそ描けた、
    角田光代の渾身作。
    生まれてくる命のすべてに祝福を贈る、大切な物語。

    幼いころに、毎年家族ぐるみでサマーキャンプをすごしていた7人。
    7人の関係は、兄弟姉妹のようでもあり、ライバルでもあり、またそこにはほのかな恋心も芽生えていた。輝かしい夏の、大切な時間だった。
    しかし、そのサマーキャンプは、ある年を境に突然立ち消えになっていた。
    時は経ち、大人になった7人は、不安定な生活をどうにかしようとしていたり、成功していたり、悩みを抱えていたり――別々の人生を歩んでいた。
    そしてあるきっかけで、一人が「あの集まり」の謎を探り始める。

    このキャンプはどんな集まりだったのか、なぜ突然なくなったのか。

    そして7人が再び集まり、「真実」を知ったとき、彼らが選んださらなる道は――

    読後、必ず光を見る、すべての人に捧げる物語。
    解説/平松洋子」
    毎日新聞社のPR(単行本)
    「幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。 しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。 「あの集まりはいったい何だったのか?」 別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。 大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める――。

    親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける、角田光代の新たな代表作誕生。」

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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