来たれ、野球部 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 67
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777872

作品紹介・あらすじ

イケメン、秀才、野球部エースと、すべてにおいて完璧な「選ばれし」喜多義孝と、幼馴染で「可もなく不可もない」宮下奈緒。想いを告白する喜多に、平穏な学園生活を望む奈緒は冷めた態度をとるが、彼を突き放すこともできないでいた。しかし奈緒は喜多が抱えていた孤独を知り、自分が彼に恋をしていることに気付く。
ようやく付き合い始めた二人だが、奈緒は付き合う前と態度を変えず、喜多をやきもきさせるばかり。さらに十年前に自殺した少女・新田真実の日記を手にした喜多は、徐々に精神の不安定さを見せ始め――。

私は文学を高尚なものにはしたくはなくて、ドストエフスキーやバルザックのように三面記事を読んでネタにするような娯楽読みものでありたいと、この小説を書きました。――鹿島田真希

芥川賞作家・鹿島田真希が描く、世界で一番残酷な初恋の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ザ・ラノベな表紙、そしてこのタイトル、それなのに作者は鹿島田真希・・・!これは絶対何かの罠だ!(笑)と確信して読みました。案の定、ラノベ文化そのものに対する悪意のパロディとしか思えませんでした(苦笑)。しかしこれ、鹿島田真希がどういう作家か知らずに、普通に純粋にラノベ系だと思って手に取った人は激怒するでしょうねえ・・・。表紙とタイトルだけで有川浩みたいなラブコメ想像してる人にはおススメできません。

    表面上は、野球部のエースで成績トップ、見た目も美形だけど実は精神的に病んでる喜多くんと、彼の幼馴染だというだけでとりたてて美少女というわけでもないツンデレキャラの奈緒のラブストーリー。挫折しつつも立ち直る高校生たちの青春物語、一応ハッピーエンドの結末、にも関わらず、このどうしようもないグロテスクさ。だだもれる作者の悪意。喜多くんが「僕が作る新世界の神として」とか言い出したときは、いっそ笑ってしまいましたが。

    そういうブラックユーモアも含めて、キャラクターもよくできているし、個人的にはとても面白く読めましたが、しかし鹿島田真希ならば、こんな搦め手=ラノベ読者への嫌がらせのような手法を弄さずとも、もっと正攻法で十代の問題に取り組んでも良かったのでは?とも思います。

  • マザコンというのはようするに母親への執着なんだけど
    母子姦のタブーゆえに、母が自分のものにならないと絶望した子供は
    その代替として
    「母になってくれるかもしれない女性」を探し始めるわけ
    んでもって、それを見つけてモノにしたと感じたとき
    彼は幼児期の全能性を取り戻して
    なんかとんでもない世界にトリップしちゃったりする
    こともあるのね
    一方、そういう男に魅入られてしまった女の子は
    母を演じようと必死になって
    大変なことなんだ

    「恐るべき子供たち」が
    アクロバットでさわやかな着地を決めたような小説だが
    もうちょっと恥を知れよと言いたい部分はあります

  • 思春期に触れたものは、人格の根底を刺激する。表紙はポップなのに中身はディープだった

  • 壮大な厨二病。
    結局のところ青春ラブコメ。

  • 好きかと言われればNoです。
    芥川賞作家の鹿島田さん、初読みです。
    タイトルは「来たれ、野球部」ですが野球部の話ではなく。
    青春物語という触れ込みですあり、確かに高校生たちの精神状態を扱った内容なのですが、爽やかさは無く。なにせ精神的に不安定な登場人物ばかり。自殺者(未遂も含む)が3人も出てくるし。
    鹿島田さんが何かを描きたかったのだろうというのは判るのですが、上手く描けているかと言えば多分上手く行かなかったのでしょうね。何かを伝えたかったけど、それが伝わってこない。そんな気がします。

  • 鹿島田真希版・青春小説。
    タイトルは『来たれ、野球部』だが、野球は殆ど関係がない。サッカーでもラグビーでも成立する。シュッとしたイケメンならサッカー部の方がいいのでは……というのは余計なお世話かw
    視点を頻繁に切り替えながら進むストーリーは、最初のうちこそよくある青春小説といった趣だが、途中からどんどん方向性がずれて行く。鹿島田真希だしな、普通の青春小説が出て来たらそっちの方が怖い。

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著者プロフィール

1976年生まれ。1999年、「二匹」で第35回文藝賞を受賞しデビュー。2004年、『白バラ四姉妹殺人事件』で第17回三島由紀夫賞候補、2005年『六〇〇〇度の愛』で三島由紀夫賞受賞。2006年「ナンバーワン・コンストラクション」で第135回芥川賞候補。2007年『ピカルディーの三度』で野間文芸新人賞受賞。2009年「女の庭」で第140回芥川賞候補、『ゼロの王国』で第5回絲山賞を受賞。2010年『その暁のぬるさ』で第143回芥川賞候補。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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