新装版 落日の宴 勘定奉行川路聖謨(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.85
  • (7)
  • (22)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 141
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778527

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 勘定奉行 川路聖謨の生涯にわたる話である。幕末に生を受け、半生を主に日露和親条約の取り交わしの命を完うするためにプチャーチンらと命を厭わずに懸命に交渉を重ね、幕政に尽くした人物である。その人格は高く、今の外交官の模範となる静謐さと沈着冷静な判断力と物事の先を見抜く力を持った役人であった。これまでの吉村昭の小説の中で最も影響を受けた人物の一人である。墓所は、上野池之端の大正寺にある。

  •  幕末、日本が諸外国から開国を迫られた頃、ロシアのプチャーチンと、開港・通商・領土についての交渉をした勘定奉行・川路聖謨(としあきら)の存在の大きさを知った。
     明らかに軍備、近代化の遅れを目にしながらも、屈せず、粘り強い交渉力、そして人柄が豊か。才能ある者は身分に関わりなく、埋もれず出てくる養子制度が、努力を絶え間なく続けていくような、偉人を生み出していったのだろう。通史と呼ばれている通訳の実力も凄い。
     長崎か交渉舞台が下田となり、この交渉中に起きた安政大地震の甚大な被害など、グングンと内容に引き込まれていく。世界遺産となった韮山反射炉はこの地震に耐え得ていたり、冬の強い海風、戸田村でのロシア船修復など、沼津出身の私にとって、情景が浮かんでくる作品だった。
     

  • (感想は下巻にまとめて書きます)

  • 江戸末期の勘定奉行であった川路としあきらについての小説。
    吉村昭作品には幕末の人物を書いたものが多く、川路はその中でも世間一般にはあまり知られていない人物であるが、ロシアの外交使節との交渉は本当に見事であり、一仕事人としての心意気が感じられる。

  • 80

  • 「吉村昭の流儀」というような、精密で臨場感溢れる「旅の描写」により、川路聖謨の活躍した時代や場所へ引き込まれてしまう…
    ロシアとの国交が拓かれた頃の物語だ…

全19件中 11 - 19件を表示

著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉村昭の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×