業物語 (講談社BOX)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062838924

作品紹介・あらすじ

“キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードってぇ名前は、俺様が付けてやったんだ――”
今から六百年ほど前、今はもう滅びた国に『うつくし姫』と呼ばれる女の子がいました。その美しさに誰もが命をささげ、彼女が歩く道は死体の山となりました……。
これぞ伝説の怪異! 怪異! 怪異!
青春は、童話のように残酷だ。

感想・レビュー・書評

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  • スピンオフ作品。
    久しぶりの「物語シリーズ」
    ウィットに富む言葉遊びは少し弱くなっているかな。

  • 面白かった。

    キスショットが生まれる前の切なくも気高い物語。
    「傷物語」に深さを与える。

    火憐が目覚め...たかもしれない物語。
    忍变化がアニメだとおもしろそう。

    忍野メメと委員長の掛け合い。
    忍野メメの語りが一語一語、気になる。
    委員長の成長(ある意味で退化?)が気になる。

    化物語シリーズのラストを思い出しながら愉しく読みました。

  • あせろらボナペティ
    かれんオウガ
    つばさスリーピング

    うつくし姫童話すごいな。
    清く正しくあれども話が綺麗であるとは限らないとは。

    かれん主役は珍しく、語尾の~だぜ になかなか慣れない…(笑)
    終わりが少しすっきりしないなぁ。

    つばささん、普通の女子高生ちゃいますやん。
    まだまだ続きそう…(笑)

  • うつくし姫は昔の忍ちゃんなんだが、美し過ぎて傾国どころか滅国のお姫様。スーサイドマスターはなんだか今後出てきそうな感じもあるので楽しみ。
    翼ちゃんはメメに会うまでの出来事語り。

  • 物語シリーズ、オフシーズンの2作目。
    忍ちゃん(というより、吸血鬼になる前のうつくし姫)と、火憐と、羽川さんのお話。
    愚物語より楽しんで読めました。
    全体的に忍ちゃん色の濃い話でしたね。
    羽川さんの話には、直接は関わってないけれど、間接的には関係あるし。

    スーサイドマスターとか、年齢が異なる忍ちゃん一族(違)とか、金髪になる羽川さんとか、ビジュアルが気になるものが多いです。
    あせろらボナペティは、叙述トリック的なところがあるので、映像化するのはどうするんだろう…という感じではありますが。
    スーサイドマスターと忍ちゃんとの邂逅は気になるところですが、今の忍ちゃんを見たらスーサイドマスターはがっかりしそうだなぁ…。

  • オフシーズン2冊め。
    前作の愚物語も意外と面白かったんだけど、本作も余計な語りが少なくて楽しめる一冊だった。
    キスショットの誕生秘話?、火憐の自分探しの旅、翼ちゃんの放浪の旅の3話構成でそれぞれに楽しめたんだけど翼ちゃんの放浪話はまだ1冊帰るだけのネタはありそう。というよりこれでシリーズ化すらできそうな感じ。
    基本的には番外編と言うかスピンオフ扱いのシリーズなんだけど残り2冊?も期待できそう。

  •  キスショットがどうしてヴァンパイアになったか、と、火憐の修行と、翼の旅の話。

     で、どの話も忍が絡んでくるのだが。
     「業(わざ)」というより「業(ごう)」だと思うのだがね。
     
     一つの願いのために、何もかもを消失させた姫のそれは自分自身に妥協が出来ないという業なのだと思う。
     で、相容れないから、アヤカシにつけこまれる。
     まぁ、それを愚かだとは言わないけれど、優しくはない。とういか、美しさと優しさは、実際には相容れないものなのだと思った。

     火憐は、自分というワザを磨くために山にいくのだけど…。
     相変わらず、お気楽で暦の苦労が思いやるのである。
     でも、この子は芯が揺るがなくてすごいな。愚かだけど、決して考えることをあきらめない。
     歪んだ人間が多いシリーズの中で、この真っ直ぐさはまぶしいぐらいだ。

     そして、忍野に旅の話を語る翼。
     って、彼女も人間離れしてきてるのですけど。まさに業火にやかれてる感じなのだが。
     それも、好きな男とその彼女のために、って業が深すぎる。
     彼女は、斜めになってる欲張りなのだろう。

     うん。
     今回も面白かった。

  • 忍野と羽川さんの話、いいなぁ!もっと読みたくなっちゃう。

  • “キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードってぇ名前は、俺様が付けてやったんだ――”
    今から六百年ほど前、今はもう滅びた国に『うつくし姫』と呼ばれる女の子がいました。その美しさに誰もが命をささげ、彼女が歩く道は死体の山となりました……。
    これぞ伝説の怪異! 怪異! 怪異!
    青春は、童話のように残酷だ。

  •  物語シリーズオフシーズン第二弾『業物語』。

     傷物語の映画化に触発されて書かれたという話をよく耳にしていたが、むしろ映画の来客数が落ち込む2週目にあえて傷物語に深く関係する業物語を発売し、一度映画を見たという人も、業物語を読んで2週目3週目にもう一度見に行きたいと思わせる、混物語と同じく集客効果を狙った西尾維新先生の策略なのではと感じた。

     そんな『業物語』には『うつくし姫』『アセロラボナペティ』『かれんオウガ』『つばさスリーピング』の計4編が収録されていた。

    『うつくし姫』は忍が吸血鬼ではなく人間だった頃の話で、うつくし姫と呼ばれたローラ姫の頃のお話。救いのない残酷でツラいお話で、見た目が綺麗なのか心が綺麗なのかということと、欲深い人間の中で心が綺麗ということの罪深さが問われた話なのではないかと感じた。
     忍が撫子のことを嫌っていたのは、このような美しいと周囲から言われ続けていた過去を持っていたからなのかもしれない。

    『アセロラボナペティ』は忍が吸血鬼ではなく人間だった頃の話で、アセロラ姫から吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードとなったお話。ボナペティとはめしあがれ、どうぞお食べなさい、という意味。
     この話は叙述トリックのオンパレードで、一切疑いもせず読んでたので何度も驚かされた。最初のスーサイドマスターが女性だったという叙述トリックは、トロピカレスクが見た目がいいから眷属にしたということ以外に、アセロラ姫の美貌に自我を忘れ会話が困難になるほどほど酔いしれなかった理由なのかもしれない。また、うつくし姫に対して王子様が現れると思わせておいての、相手が女性というミスディレクションの意味はもちろんあるだろう。
     また最後のあとがきで語られた死ぬたび若返るという裏設定は、傷物語でキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが阿良々木暦の血を吸って救われたときに幼児退行していたことに繋がるのかもしれない。スーサイドマスターの眷属なので能力を微小ながら受け継いでおり、一度死の淵から立ち直ったので、体だけ幼い体になってしまったのではないだろうか。
     ともあれ、これまでの忍の生き方、あの時代劇のような芝居がかった話し方の起源を知ることができて大満足だった。

    『かれんオウガ』は阿良々木火憐が自分探しのため山に籠る話。人は一人では生きてはいけないということを、人間離れした体力とガッツの持つ一人でも全然生きていけそうな火憐ちゃんを通じて訴えているかのようなお話。忍の時代がかった口調の意味を前の話で明かしたあと、この話で支え役として出演させて、多くの台詞を用意した西尾維新先生のにくい演出が光っていた。
     この物語の最後には、やはり忍がこっそり助けていたのか、それとも火憐の成長のための自問自答のようなものだったのか、もしや怪異のせいなのなのか。読者に答えを任せるようなオチが待っている。けれども『花物語』が『青春』についての話だったのと同じようにこの話自体が『成長』についての話なのだと考えれば、このようなオチもありなのかもしれない。

    『つばさスリーピング』は羽川翼が忍野メメを探しに行く際におきたトラブルの話で、羽川さんがまさかの一部とはいえ吸血鬼化する物語だ。この話のミソは、日頃休みの日でも勉強したりと遊びの概念がないのかと思うぐらい、超がつくほど真面目に生きていた羽川が、遊べなくなって自殺する双子の吸血鬼の様子を目の当たりにしたことだろう。脇道に逸れることを嫌っていた羽川にとって、遊べなくなっただけで死んでいく双子の吸血鬼は皮肉でしかない。それを遊ぶことも生きるうち、遊ばないと生きていけないのだと学ぶことのできた羽川は、やはり成長できたのだと言える。
     それにしてもずいぶん久しぶりの忍野メメの登場。痺れました。話し方からしてカッコいいですね。羽川の阿良々木暦愛も凄くて、2人のやり取りが心地よくて楽しかった。

     この『業物語』を読み終えて、全体の印象としては物語シリーズの話の中ではあまりインパクトの強いお話ではなかった。
     暦物語や憑物語、終物語上巻のように訴える物語が多かったのかなという印象だった。
     ただ、今回の『業物語』のテーマは『生と成長』だったのではないかと考えた。
     生きることと死ぬことを通して見ると、『うつくし姫』『アセロラボナペティ』では生きることとは食べること、相手に合わせて共存することであり、『かれんオウガ』では生きることとは誰かの助けを借りること、『つばさスリーピング』では生きることとは暇を潰すこと、遊ぶことがその答えだった。
     成長を通して見ると、『うつくし姫』『アセロラボナペティ』では心が美しいだけでは生きられないということを学んだアセロラ姫の成長が、『かれんオウガ』では一人では前に進めないということを学んだ火憐の成長が、『つばさスリーピング』では人は遊ばないと生きていけないということを学んだ羽川の成長が見えた。
    『業』には『 苦労してなしとげる事柄』と『報いを招く前世の行い』という意味がある。そう考えるとこの収録された4編は間違いなく『業』の物語だったと言えるだろう。

     あと2冊出るというオフシーズンも楽しみだ。

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著者プロフィール

1981年生まれ。2002年、『クビキリサイクル』にて第23回メフィスト賞を受賞してデビュー。デビュー作を含む「戯言シリーズ」は若い読者に大人気となる。2006年刊行の『化物語』は〈物語〉シリーズとしてシリーズ化され、アニメ化・ゲーム化され様々なメディアミックスが行われている。矢継ぎ早に刊行するすべての本が常にベストセラーとなり、当代随一の「物語師」として活躍中!

「2014年 『「偽物語」PremiumアイテムBOX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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