世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880008

作品紹介・あらすじ

顕微鏡をのぞいても生命の本質は見えてこない!?科学者たちはなぜ見誤るのか?世界最小の島・ランゲルハンス島から、ヴェネツィアの水路、そして、ニューヨーク州イサカへ-「治すすべのない病」をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 分けて失われるもの 情報 エネルギー

  • 確かにビジネスの世界では「解像度を上げよう」などと言うことがあるが、

    解像度を上げるとわからなくなることあるね。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90207987

    (推薦者:共生システム理工学類 小山 純正先生)

  • 生命現象をめぐる巡っている中で、部分を切り分けても、全体は語れないという主張。研究過程を通じて、それらを表現しようとしている。
    マップラバーマインドを持ちがちな現代人への警笛か。

  • タイトルに沿って、順を追って考察が繰り広げられるというよりは、いくつかのケースを紹介していって、タイトルの結論にもっていこうという趣き。細胞の活動、実はふたつにわけられていたヴィットーレ・カルパッチョの絵画、視線とは何か、マップヘイターとマップラバーの行動原理。境界を両サイドから写した写真家渡辺剛の写真集。そして12章中半分近い5章を割いた、癌細胞の解明でノーベル賞に近づいたと思ったラッカーとマーク・スペクターの栄光と挫折。◆全体は部分の総和以上の何ものかである。◆世界は分けないことにはわからない。しかし分けてもわほんとうにわかったことにはならない◆世界に部分はない。◆本当の意味の因果関係もない。◆「治すすべのない病」が絵画の話から"神の手"を使ってしまった研究者までつながるところがまた興味深かった。

  • 複雑なものを複雑なまま捉えたいという最近の欲求の一方で、ちっぽけな自分が解釈できる(分けられた)何かを「見たい」という願望は消えない。そんな時に手に取った一冊。

    目が良いから見えるものがあれば、目が悪いから見えるものもある。
    大抵のことは空目かもしれないけど、そう思いながら夜空を眺めたり細胞を眺めたりするのは、それはそれでワクワクする。趣味としてなら。

  • 230615〜230622

  • 生物を分解して理解する分子生物学でも動的平衡で存在する生命のなぞは解き明かされないが、着実に発見は続く。しかし答えを急ぐあまり捏造の誘惑に負けてしまうことも。科学研究の面白さと生命の神秘、飽くなき探求心を持つ科学者の悲哀が詰まったエッセイでした。

  • 分子生物学の先生が生命現象について平易に語った書。タンパク質やがん細胞など一般人にも耳馴染みのある言葉をはじめ、人間を構成する様々な要素を説明します。科学知識一辺倒ではなく芸術作品などからも思索を拡げていきます。
    生命はより詳しく調べようと細かく分けていってもそれだけでは正しい理解に至らない。周囲との動的な相互作用への視点が大切。そんなことを言っている本かな、と思いました。再読したくなる本です。

  • 写真を撮影するときに赤眼現象が発生することから分かるように、人間の眼は、ヒトが意識していないかすかな光を発している。ヒトが眼線を敏感に感じるのは、その光を察知している可能性も否定できない。
    つまり、ヒトは自身が意識している範囲の情報から因果関係を見出すことで、世界を理解した気になっているが、それがすべてではないということ。ミクロの世界で起きている確率的な現象も、マクロの世界で起きている複雑系もすべてのものごとの相関関係の末に起きている表層であり、分けようが、俯瞰しようが本当の因果関係は分からないということだと思った。
    しかし、因果関係を特定しようと試みること、多くの視点を取り入れて世界を理解しようとすることには意味がある。なぜなら、人間もその世界の一部であり、そうすることによってのみ認識は進むからである。ということだろう。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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