愛と暴力の戦後とその後 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 406
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882460

作品紹介・あらすじ

「これは、研究者ではない一人のごく普通の日本人が、自国の近現代史を知ろうともがいた一つの記録である。
それがあまりにわからなかったし、教えられもしなかったから。
私は歴史に詳しいわけではない。けれど、知る過程で、習ったなけなしの前提さえも、危うく思える体験をたくさんした。
そのときは、習ったことより原典を信じることにした。
少なからぬ「原典」が、英語だったりした。

これは、一つの問いの書である。
問い自体、新しく立てなければいけないのではと、思った一人の普通の日本人の、その過程の記録である。

――「まえがき」より

感想・レビュー・書評

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  • 著書は思い込みの強そうな人物だと感じた。
    そして、その壮大な思い込みに付き合わされているような、感じが読んでいてした。

    頭が良くて面白い人なのだと思うし、ここまで日本というもの、戦争の結末を自分ゴトとして考えられるのはすごい才能だとは思うのですが。
    頭が良くて真面目な文系の人特有の言葉遊びというか、レトリックに付き合わされている感じがした。

    読んで何か得られるか、っていうとそういうものもなかった。
    視野が外に広がるというものでもなかった。

    なんというか、非常におすすめできません。
    戦後史とかを知りたいならジョンダワーの有名な本なり何なり、他に面白い本がたくさんあると思う。

  • 著者とは全くの同世代です。私にとって、戦後という言葉のくくりでの時代感覚はない。戦争を知らない子供たちですから、前も後もなく、時代論証としては、ガンダム世代、ファミコン世代、おにゃんこ世代、バブル世代、ネット世代みたいなキーワードで語られることご多いです。

    さて、そんな世代でも学生時代には興味の薄かった日本史を知りたいと、この歳になると自然と思います。歳をとるとはふしぎなものです。

    本書はタイトルには戦後というありますが、戦争や天皇のお話もふくみますが、それにべったりでなく、戦後という時代を経て育った日本の社会を考えています。社会学としてはパーソナルな視点に立脚しており正しい、正しくないではなくこの人はこう考えるんだ。と自然に伝わってくる読みやすいものでした。

  • 「がんばろう東北」ではなくて「嘆いていい、東北。あなたたちのために私たちはがんばる」と東北以外の人が言うのが、筋なのではないだろうか?
    に納得。それ以外の言葉は、気持ちの真相に挟まった感じですぐには出てこない断片になって我が身に入った。

  • ところどころに印象的な言葉はあるけど、全体的になぜだか思い込みの強さを感じてしまい少し受け入れられないところがある。まるで無農薬野菜の素晴らしさを説かれているように。

  • 読み終えて、タイトルは何だったかなーと思った。『愛と暴力の戦後とその後』だった。

    『東京プリズン』の方がテーマに迫れていたように思うのは、私だけか。

    日本人は根深い恨みを持たない民族だ、と評していたのは誰だったか。

    天皇が現人神ではないことに、我々は気付かなかったわけではない。それが西洋の宗教観とは違う所である。
    では、現在の我々は戦争に対して、誰かに、何かに恨み辛みを抱いているだろうか。

    忘れてはいけない事柄は、「受けた傷」であり、「傷を与えた存在」ではないことが殆どである。

    しかしだからと言って、敗戦に対する衝撃を忘れようとしている、と言い切れるのだろうか。

    言い切るためには、我々は確かに直視しなければならないと思う。

  • 大きなエッセイみたいなかんじだった。けっこう直観にもとづいていろいろと結びつける。たとえば「1980年に何か決定的な変動が始まった。」このような直観から考察が出発する。個人的な、主観から出発する近現代史の本だから、いいのかもしれないけど、あるいは、読みやすくするためにそうしているのかもしれないけど、事象の解説の論拠が「知合い一人の話」だったりして、薄いなと思ったこともたびたびあった。
    「神を創ってそのもとにまとまり、戦(聖戦)を戦い、そして負けた」ということでオウムと戦前の日本の類似性を指摘し、オウムを語りにくい理由としていた。たしかにそうではあるけれど、これはオウムや戦前の日本だけでなく、ほかにもそういう団体はあるし、その点はちょっと受入れがたかった。
    通底して伝えている何か、というより、ちょくちょく、そうともいえるなということもあったというかんじだった。自民党の憲法改正案や来る東京オリンピックの招致についての考えは自分に近いものだった。
    「何かあったら私が責任をもつから、君らは遊べ」といえるのが大人、というのはその通りだと思う、そうありたいものだ。

  • 憲法とは? そもそも「憲」ってどういう意味? アメリカ(GHQ)の押し付け憲法といわれているけれど、日本人が普段思考に使っている日本語も半分以上「漢字」(英語でいうとCHINESE CHARACTER)で出来ているし、いわば借り物なんじゃないか?

    翌々考えてみるとただ意味を覚えただけの知識を振り回してはいないか。「未曾有」を"みぞうゆう"と読んで叩かれた総理大臣がいたけれど、未・曾・有の三文字で"ミゾウユウ"ではなく"ミゾウ"と読むのは理屈ではなくて慣習だ。それを教養と言ってもいいとは思うけれど、日本はこういった慣習が多いのでは?


    この本の主題は憲法第九条である。そこから始まり日本の戦後近代を1964年に高円寺、荻窪、阿佐ヶ谷で生まれ育った一人の日本人の目を通じて語られる。
    その途中で「ドラえもん」や「太陽にほえろ」や「安保闘争」、「岡崎京子」「オウム」まで寄り道する。こういう言い方は非常に厭だけれど、いわゆるサブカルだ。その寄り道が日本の特色をくっきり浮かび上がらせている。

    「ジャイアンは時代に居場所(空き地)を奪われたガキ大将。」
    「松田優作演じるジーパン刑事は犬死にだからこそ伝説になった。」
    「オウムは縮小させた日本社会。」 ETC....

    冒頭の疑問に戻る。
    「憲」も「法」も掟という意味で似た意味の漢字だ。いわば憲法とは同語反復になる。日本人が憲法と呼ぶモノはCONSTITUTIANという。本当は国家構成法おとでも言ったほうがよかったのではと著者は言う。

    <blockquote>私たちは、漢字熟語に、「まとめよう」とすることに7慣れすぎているのではないだろうか? それで、知らない概念を、さらにわからないものにしていないだろうか?(P.241)</blockquote>

    この本は『東京プリズン』の補完というかエッセイ版とも言える。併せて読むことによって日本国憲法について考える補助線がよりくっきりと描かれるだろう。

  • 視点が良い。引きこまれた。
    が、最後になるほど感傷的になっている気がして残念。

  • 誰もが、無意識に、見て見ぬ振りをしてきた「タブー」に立ち向かう。
    この先に「まったく新しい物語」はあるのだろうか。 ---
    「戦前性と戦後性との、驚くほどの近さなのである。実は、何も変わっていないのではないか。」

  • ぼんやりした近現代史のとらえかたで生きているからこそ、現在に生きるぼくらの精神構造に少なからずその影響があり、よくわからない矛盾や苦悩が、意識上か意識下か、そのすれすれのボーダー付近から生じたりする。本書は、そのような、ぼんやりとしかわかっていないひとの多い近現代史を、自らもぼんやりとしかわかっていないことを認め、前提にして調査し勉強して、なにか「よすが」のようなものを見つけていくエッセイ。赤坂真理さんは小説家でもおありなので、出だしなどは、小説のそれのように、そして気合も乗っていて、迫力十分。また、肩に力の入った文章に読めますが、読んでいくうちにそれも気にならなくなっていきました。迫力に押されてしまったのかもしれません。終盤に近いところで、「自分が現在だけにぽつんと置かれたようなよるべなさ」と書いてあって、これって多くのひとが感じていることだろうなあと思いました。歴史の連続性を感じ得ずに、現代という舞台にいきなりいる感覚って、勉強不足という言葉では片付けられないものなんじゃないでしょうか?そして、「それは自尊心を蝕む」と続くのでした。現代の日本人はこれだけじゃなくて、いろいろ分裂した概念の板挟みになっていると説明されている。政治に文句は言うけれど選挙に行ったことがない、というひとだとか、社会上の分裂した概念が基盤になってしまっているからかもしれない。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。作家。95年に「起爆者」でデビュー。著書に『ヴァイブレータ』(講談社文庫)、『ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙』『ミューズ/コーリング』(共に河出文庫)、『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書)など。2012年に刊行した『東京プリズン』(河出書房新社)で毎日出版文化賞・司馬遼太郎賞・紫式部文学賞を受賞。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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