文明探偵の冒険 今は時代の節目なのか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 98
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883122

作品紹介・あらすじ

いつの時代も、変化している。
私たちはいつも、今は大変な時代だと思っている。

では、人類史という長い目で見たら、今はどういう時代なのか?
私たちは、たとえば中世から近代への移行に相当するような大変化の時代を生きているのか?
それとも、この変化は、ありふれた変化にすぎないのか?
いったい、どうしたらその答えを知ることができるのか?

さまざまな暦、占いといったちょっとアヤシイ領域から、科学的方法論の限界、私たちの時代認識の本質まで、文明探偵が縦横無尽に駆けめぐる愉快な知的冒険の書!


【目 次】

子の巻 節目としての暦
丑の巻 リスク社会の占い
寅の巻 時代の節目としてのオリンピック
卯の巻 プロフェシーとプロジェクト
辰の巻 科学と宗教の間
巳の巻 やっぱり予知はできないのか?
午の巻 科学をどうマネジメントするか
未の巻 関東大震災は予知できたのか
申の巻 芸術は文明を先駆ける
酉の巻 科学を推進するエンジン
戌の巻 歴史とは何だ?
亥の巻 世界を支配する「べき乗則」
陰の巻 時代と身体
陽の巻 時代とは何なのか

感想・レビュー・書評

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  • 全体に新しい感じはないけど、多彩な話題を読みやすくまとめてる

    最後にちらっと出てくる
    次の時代が中世に似た時代になる
    という予想についてをもっとしっかり説明して欲しかった

  • 今は、「時代の節目」なのだろうか。もしそうだとすると、どのくらいの節目なのか。つまり何年に一度くらいの「珍しさ」の節目なのか。文明探偵は、今、直感的に、世界は、かなり長い周期の節目の「寸前」にいるのではないかと感じている。暦、占い、クリームチーズケーキ、オリンピック、宗教、地震の予知、STAP細胞事件、科学の限界、アート、ディスクジョッキー、DNAの進化、ダイオウイカ、川口浩探検隊、『今この瞬間の、宇宙のすべての運動についてのデータさえ分かれば、未来は完全に計測可能である、というラプラスのデーモン』、『マグニチュードと震度、小玉西瓜の破片などの関係性を表す、べき乗則による支配』など諸々の観点でみたとき、それから見えてくる兆しは、やはり、「近代の終わり」なのである。

  • 「時代の節目」とは何か?それは「今がまさに時代の節目である」というように客観的かつ現在形で記述できる性質のものなのか?本書は「文明探偵」を自任する著者がこの謎を探るべく、暦、オリンピック、地震予知、STAP細胞、DJのサンプリング、ダイオウイカ、冥王星…等の一見とっ散らかったトピックに触れながら、「科学」と「歴史」の交錯関係を綴るもの。薀蓄満載の文章は読んでいて楽しいが、他の本で既出の情報の組み合わせであり新規性に乏しいのは否めず。肝心の結論もありがちで若干拍子抜けなのも残念。

  •  時代の節目と入った何を持ってそういうのか。今まで思ったこともなかったのでこの本を読んで衝撃を受けた。一風変わったテーマを取り上げているのが今回の本。

     「今日の運勢」人気の謎では、「暦」同様、依存することによって自分で何をするか決断する負担が減る。その一方で責任を他者にゆだねることにもなると指摘している。

     「ぐるなび」のようなグルメサイトがよく利用される理由も、他人の意見を参考にしてできるだけ「ハズレ」と言う要素を排除して、楽に決断したいという心理が透けて見える。

     「やっぱり予知できないのか」では、地震の予知が話題になっている。よく週刊誌でいつ頃地震が起こる可能性が高いと言う特集を目にすることがある。著者は、この手の記事の情報源について3つのパターンを挙げている。まずは専門家、科学評論家や民間の研究家、そして占い師、あるいは自称超能力の方。

     本当かどうかは、特にキャリアの長い人の場合、5年、10年、20年と過去の記事を探して読んでいけばこの人の言っていることはまともなのかそれともその場しのぎの発言をしているのかわかる。

     雲をつかむようなテーマで書かれたこの本。あまり見たことがないのでつい手にとって読んだ。著者曰く「節目の時代は案外、長い」と述べている。2015年も安全保障法案などこれからの日本に大いに影響を及ぼすものがどうなるか。そう考えると節目の時代のトンネルを抜けるのはいつのことやら。

  • 2015年6月新着

  • 随筆。ツイッターで様々な人が鋭いことを書くが、それらを寄せ集めたような感じ。一人で網羅出来てるから凄いとも言えるが、手広くフォロー出来てる人には目新しさは無いかも。

  • 節目となるもの、暦、占い、オリンピック、プロジェクト。科学と宗教、予知、科学のマネジメント。べき乗則。

    「今は時代の節目なのか」の問いを、順に検証していくつもりが、議論が進まないと思ったら、雑誌の連載エッセーでした。後付けではない、STAPの同時進行がありました。

  • 本屋でパラパラめくって気になって買ってみてよかった。今年読んだノンフィクションのなかで今のところ一番面白い。
    ただ、どんな内容の本かと問われると難しい。実際、このタイトルと帯で本の内容を想定すると科学と歴史についての本なんだろなぁ、というくらいだ。あと、ある程度、教養があった方が間違いなく楽しめるほんでもある。(特に科学哲学、科学史あたりの知識)

    タイトル通り、今は時代の節目なのか、という問いを中心に話は進むが、オリンピックの話、地震の話、音楽を含むコピペ文化の話、江戸の経済の話と、話題だけ見ると?しか浮かばないだろう。

    個人的に面白かったのが、申の巻の芸術は文明を先駆けるの話。音楽などいわゆるサンプリング文化が今後の科学研究の行く末を暗示しているというもの。

    読んで何かを学ぶことはあまりないが、刺激を受けることは間違いない一冊。

  • 2015/4/22

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著者プロフィール

1967年生まれ。千葉大学大学院国際学術研究院教授。専門は科学史、科学技術社会論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学、博士(工学)。旧・科学技術庁、旧・三菱化学生命科学研究所、東大ならびに阪大特任准教授などを経て、現職。朝日新聞客員論説委員。著書に『食品リスク』(弘文堂)、『文明探偵の冒険』(講談社現代新書)、『リスクの正体』(岩波新書)、共著に『没落する文明』(集英社新書)など。

「2022年 『「専門家」とは誰か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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