情報参謀 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883771

感想・レビュー・書評

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  • 自民党が野党だった4年間、情報、特にマスメディア、インターネットにおける情報を自民党に提供していた著者の本。自民党の茂木氏、平井氏、世耕氏らと共に活動していた。テレビ番組をテキスト化するにはまだまだ人力での作業のようだ。

  • 【流れを読み作る人】自民党が野に下ってから党勢を改めて軌道に乗せるまで,党の「情報参謀」として汗を流した著者の経験を記した作品。世論を味方につけるためにはいかなるデータを集め,それをどう活用すれば良いのかを徹底的に考え抜いた日々が綴られています。著者は,日経ベンチャー編集長,日経E-BIZ編集長等を歴任された小口日出彦。

    映画化もされた『マネーボール』の政治・選挙版といった印象を受けた一冊。勘や経験がモノを言わせていた選挙の世界に,データや統計といった乾いた情報を持ち込み,それらがいかに影響を与えたかを考察する上で欠かせない作品だと思います。

    〜支持するか支持しないかは別として,世論は「前提となる事実を知っているから支持にも批判にも回る」ということだ。〜

    それにしてもここ数年の情報文化の移り変わりの早いこと☆5つ

  • ◆本書が雄弁に語るのは、政治家の言葉から「真」と「誠」の喪失した要因、言葉や約束・公約が軽くなった要因。かような戦略が駆使されるなら、真の情報リテラシーが求められているのは我々選挙民。こう読み解くべき書◆


    2016年刊。著者は元日経ベンチャー、日経E-Biz編集長(現情報分析・情報表現コンサルティング業)。

    ◆自民党の下野時代に、民主党から政権を奪うべく、所謂SNSといったネット口コミ情報、インターネット情報媒体への露出度と、TVを中核とする既存媒体との関係性をかみ合わせて練り上げた、自民党の好感度上昇・支持率上昇戦略、そして民主党攻撃戦略。
     これらを、時期を追って、その中核を担った人物が解説する書である。

     こんな戦略に晒されていたのかと些かげんなりするが、SNS等から広がりを見せるキーワード・重要トピック抽出。それらに関するポジ・ネガ分析。これらを日・週・月単位で分析して、爾後の方向性に結び付けていった。その作業そのものについては、注視すべきものとして本書を読む意味があったと感じさせられる。

     しかしながら、有体に言えば、政治家の言葉に「誠」とか「真」はなくなってしまい、つまり、票を獲得するための言葉の使い方ばかりに意識を回している存在に、政治家(特に某党)が堕してしまった。だからこそ、何を実行するか、何を約束するか。これらの言葉が上滑りし、また何ができないかということを隠蔽し、表層を飾り立てるだけの政治家の発言が軽く薄っぺらになっていく。これも宜なるかな。
     正直こんな戦略に踊らされたくはない。そうだとすれば、個人的には、小さなことでも、自分の頭を使って考えるクセ、(簡単でもいいので)裏取りをするクセ、情報の出所を把握して真逆の立場から見るクセが重要だなと感じさせられた。

     そして、TV報道は殆どダメだということにも気づかされる(二か国語放送で英語のヒアリング学習に使えるくらい)。

  • 自民党が大敗して政権を失った2009年夏の総選挙直後から、2013年夏の参議院議員選挙に勝利して政権を完全に奪還するまでの4年間、同党の「情報参謀」役を務めた著者が、自民党が政権奪還に向けて行った戦略的な情報分析活動について、政権奪還にいたる4つのフェーズ(第1フェーズ(2009年秋~2010年7月参院選)、第2フェーズ(2010年秋~2011年夏)、第3フェーズ(2011年秋~2012年12月衆院選)、第4フェーズ(2013年1月~7月参院選))に分けて、その全貌を明かしている。著者は、本書で明らかにしたいことは、「政治に、テレビやネットの情報の分析が組み込まれ、人びとの小さな行動の集積が大きな政治活動の結果に結びつけられている、その最新の事実と仕組み」だとしている。
    自民党政権奪還の裏側でこのような戦略的な情報分析活動が行われていたということ自体が非常に興味深かった。データ分析の威力というものを感じた。そして、著者のようなスキルを持った人材が、生のデータをいかに意思決定者にわかりやすく加工するかということの重要性も感じた。今後も、政治の世界で情報分析・発信の重要性(それは今般の衆院選でSNSを効果的に活用した立憲民主党の躍進にも表れていると思われる)はますます高まっていくのだろう。
    著者から見た茂木敏充氏などの自民党政治家や民主党政権の3総理などの政治家評も実感のこもったものでとても興味深かった(特に、野田前総理が地味で真面目だからこそ一番戦いにくいという点)。

  • 自民党惨敗からの復活、第二次安倍政権までの情報戦略を担った民間人の一冊。一言の重みがあるからこそ緻密なデータ分析とあんにゅいな戦略が必要。

    思っているよりも自民党の党員や議員は優秀だなと。
    あと、自民党の外部業者への予算は少なそうだから思想が無いとアプローチしても損しそうだな。

    エム・データの社員は3交代制でテレビを見てメタデータを取得して販売している。

    <登場人物>

    茂木敏充
    平井卓也

    <登場企業>
    株式会社パースペクティブメディア
    株式会社エム・データ
    株式会社ホットリンク

  • 情報を報道で知って、ネットで検索し、ブログ等で自分の意見を書き込むという流れになっている。

    3章途中まで。

  • 陸軍中野学校の書籍を検索する中で出会った本書。自民党が下野してからの巻返しにITを活用すべく、著者のベンチャー企業に目を付けた。最小不幸社会を党公約にしてしまった民主党よりも、自助・共助・公助を前面に出す自民党にシンパシーを抱く著者。個人的には理解できるが、現在の政権与党が進める国民不在の政治運営には肯けない。インターネットとSNSが政治と政治家に及ぼす影響がたいへん大きくなった現代の情報戦略を考えさせられる一冊だった。

  • 仕事の話はかなり面白い!!特にテレビの露出は人力でカウントしてると言うはなし。でもどっぷり自民党に傾倒しすぎ。もっと悪いところも見ないと。麻生の演説が盛り上がってすごい雰囲気とか、客観的に見なすぎてあきれる。

  • 2009年から2013年の期間、自民党で情報分析を担当したエム・データ社の役割を紐解くもの。自民党が民主党に政権を明け渡してから、与党に返り咲くまでの間、どんな情報戦略をとったのかが分かる。
    驚いたのは、ネットを使う度合いが自民党と民主党ではまったく違っていたということ。それだけネットの価値に民主党は気づいていなかったってことなんだろう。
    著者が言うように、手の内を紹介するってことは、これからはこの本で紹介された事例はアドバンテージにならない。情報戦略の次の一手は何だろう。

  • すべてのテレビ番組をチェックして分析するデータベース、ネットの書き込みの傾向をリアルタイムで読み解き戦略を示すレポート。蓄積と索引と分析は労力を要する営みで、結局そうした監視・分析のできる、そのリソースを持てる人(組織)だけが情報を武器として利用できる。

    本書は戦略を立てる側の視点で書かれているので面白いが、一方でその戦略の向こう側にいる一有識者としての自分を想像すると、なんとなく怖い。自分で考え判断したつもりのことも、リソースを持てる誰かの戦略の中で仕向けられたとおりの行動かもしれない。
    この著者は自民党側の立場だが、他の党であっても、あるいは政治ではなくビジネス等の世界であっても、似たような戦略が二重三重にひしめきあっているのだろうな。

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著者プロフィール

一九六一年生まれ。慶應義塾大学卒業後、株式会社コスモ・エイティ、日経BP社ニューヨーク支局特派員、日経E-BIZ編集長、日経ベンチャー(現日経トップリーダー)編集長などを経て、二〇〇七年、株式会社パースペクティブ・メディアを設立。代表取締役となり、現在に至る。情報分析と情報表現のコンサルティングを手掛ける。ほかに株式会社エム・データ取締役など複数企業の役員を兼務。

「2016年 『情報参謀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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