- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062883993
感想・レビュー・書評
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2019年4月10日読了。「CDが売れなくなった」と言われて久しい中、音楽は聴かれなくなっているのか?今の人々はどう音楽を楽しんでいるのか?そして「ヒット」とは何か?などについて小室哲哉・水野良樹といったヒットメーカーらへのインタビューやチャートデータなどを参照しつつ論考する本。「CDが売れなくなった」は事実だが、Youtubeやストリーミングアプリにより音楽を聴く人はずっと増えており、夏フェスが多くの参加者を集めTV番組もフェス形式を取り入れるなど人々の「音楽を聴く機会」が増えるよう時代もすでに変わっている、ということは分かってはいたことだが、改めて腑に落ちた。しかし、「誰もが口ずさめるヒット曲を作らないと、音楽が痩せてしまう」という危機感はどこからくるものだろう?みんながそれぞれの趣味で音楽を聞き、ばらばらな音楽がそこら中に存在する。そんな世界ではいけないのだろうか?
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音楽のヒットの変遷と、今どうなっているのか、そしてこれからは、という一連の流れが腑に落ちる本でした。すごく、希望に満ち溢れていると思います。
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レビュー省略
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いつから僕たちはCDが売れることをヒットと勘違いしていたんだろう。テレビの音楽番組がフェスになってるっていう著者の指摘は慧眼だ。ライブに行かない人には音楽のヒットが見えづらい世の中ではある。
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ここでいう「ヒット」とは、音楽(業界)における「ヒット」のこと。
最近の音楽業界のことはよくわかりませんが、なぜ、よくわからなくなったのかが、よくわかりました。
CDのような「モノ」から、ライブのような「コト」(経験)に、消費者の関心やニーズが移っている、というのは、データからも正しそうです。
このことは、この本の中にある、いきものがかりの水野良樹のコメント「歌は、聞かれることよりも、歌われることに、より意味がある」にも符合していると思いますし。
音楽のあり方は変わっても、自分にとって価値のある音楽は存在していますし、また、他の人にとって価値のある音楽も存在していますので、そのような音楽が存在する限り、音楽業界は、形を変えながらも、意味のある存在であり続けるのだと思います。 -
痛快で分かりやすい。音楽産業の今がうまく説明されている。CDが売れなくなって久しいけど、ライブやコンサートは活況を呈している。
かつてコンサートはレコードを売るためのプロモーションだったけど。今は逆だもんね。売れた曲とヒット曲は違うってことなんだ。かつては「みんなに愛される曲」でなければビジネスにならなかったけど、今は一部のマニアに認められれば、それでいける。ただし熱狂的に受け入れらなくちゃならないけど。
BABYMETALがまさにそうだよなぁ。 -
人々の価値観の抜本的な変化によってヒット曲が生まれにくくなった。
「モノ」から「体験」へと、消費の軸足が移り変わっていったこと…SNSの普及により流行が局所的に生じるようになったこと…などにより過去のヒットの方程式が使えなくなっている。
音楽ビジネスを中心に話が展開していくが、人々を取り巻く環境の変化や嗜好の変化、消費動向の行く末など、こと音楽に限った話ではない。
人がモノを消費するという行為、その消費を介したムーブメント、グローバルな流れなど、どんな業界においても参考になる「ヒット」論である。
様々な角度からの考察、その視点および解釈についてもよくできている。
良書である。 -
CDが売れなくなった? ここ20年で音楽業界に何が起こってきたのかを語る。
CDが売れなくなったというより90年代のメガヒット期が異様だった。現在はCDからライブへと音楽業界のヒットの比重は移っている。
ミュージシャンやオリコン関係者などのインタビューを交えながら、この数十年の音楽業界の変化を語っていく。この本のすごいとこは音楽業界に起きてることが全部分かったように腑に落ちるとこだ。若い人がフェスフェス言ってるのはそういうことだったのか。カバー曲ブームとかも一連の流れの中で綺麗に説明される。カバー・ブームの仕掛け人があの『イエロー・サブマリン音頭』をつくった人だったとは。。。びっくり!
音楽だけでなく、ネットやビジネスなど世の中の流れを理解する上で必読の一冊。
おまけ。
かつてCHAGE and ASKAのASKAは音楽を映画に例え、「シングルはパンフレット、アルバムがビデオ、ライブが映画」と語り、自身の音楽の中心がライブであることを話していた。
時が流れ、音楽業界全体がASKAの言ったようにライブ中心になったが、そう語っていたASKA自身がライブできないのがなんとも皮肉だ。